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大崎教授の海外駐在記「延辺大学駐在記2(2)」

 延辺大学の正門前は、昨年と比べて大きく変わっていました。正門正面に7階建てのビルができて、私の滞在中に、5階に大きな日本料理店がオープンしました。隣のビルの2階にも、昨年にはすでに日本料理店がありました。新たなビルの地下には、大型のスーパーマーケットもできており、食の安全を求めて、延吉一のデパートの地下食品売り場でしか買い物をしない、と言っていた人々が、この地下スーパーに移ってきていました。喫茶店も周囲に14軒も開店したそうです。最寄りの一軒に行ってみましたが、最も安いコーヒーのアメリカンが24元(1元=15円)もしていました。日本料理店で生ビールの中ジョッキーが10元、学食の定食が8元、タクシーの初乗りが4元ですから、非常に高いです。

 6月20日に、延辺大学理学院の朱衛紅先生の御一行と、中国、ロシア、北朝鮮、の3国国境合同点に行きました。延吉から途中の琿春までは高速を利用しての、片道3時間の行程でした。中国と北朝鮮の国境となる豆満江は、日本海に流れ出る手前15キロの地点から、北朝鮮とロシアの国境になります。この地点が、3国国境合同点で、吉林省琿春市防川村です。防川村は、砂丘と湿地と湖からできており、秋と春は、シベリアと日本を行き来する、タンチョウヅルの中継地だそうです。周囲でひときわ高い150mの丘が張鼓峰で、1938年7月に、この張鼓峰を巡って、日本とロシア、当時のソ連が戦い、日本軍525人、ソ連軍717人が戦死しました。

 この3国国境合同点に、吉林省は新たな観光施設として10階建ての展望台を5月に竣工しました。その2階フロアーに、この地帯の自然環境の特徴を紹介する施設を10月までに作るそうで、この日は、北京から企画立案デザイナーの張さんという若い女性と、延吉市内の製作会社の林課長と、アドバイザーの朱先生、彼女の専門は景観生態学ですが、この3人が現場で企画検討会を開きました。私もアドバイスを頼まれ、展望台からロシアや北朝鮮を眺めるだけではなく、 周囲の砂丘や、湿地や、湖を訪れ、展望台の2階フロアーを歩き回りました。その結果、展望台から眺めるパノラマの模型や、特徴となる景観の、それぞれの四季の移ろいを短時間で紹介する、スクリーンの設置を提案しました。

 防川村の唯一の食堂で、昼食としてナマズ料理を食べることになりました。庭にある生簀にナマズが飼われていたのですが、食堂の夫婦が網をもって捕えようとするのですが、なかなか捕えられず、同行した理学院の院生2人とデザイナーの張さんも参加して、上半身ずぶ濡れになりながらの10数分間の捕獲劇がありました。最後は食堂の奥さんが、素手でナマズをすくい上げました。

 理学院で、私はセミナーをしました。セミナー後に、市中の焼肉屋でコンパがありました。理学院の大学院は修士までしかないのですが、国費留学生として、 ソウル大の博士課程に進学することが決まっていた女子学生が、英語が非常に堪能で、彼女の通訳で、院生たちと私の専門とする生態学の話を、賑やかに語らうことができました。やはり国費留学生として、東大の博士課程に進学の話が進行中の女子学生もいました。

3国国境合同点の展望台の画像
3国国境合同点の展望台

延辺大学正門前にできた日本料理店の開店式の画像
延辺大学正門前にできた日本料理店の開店式