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大崎教授の海外駐在記「延辺大学駐在記2(3)」

 6月22日に、延辺大学より日本に戻りました。大学のゲスト・ハウスから延吉空港までは車で15分程度ですが、農学院の尹哲友先生が送って下さいました。22日は土曜日の休日だったので、空港まで送って行く、という先生の申し出を断ったのですが、「見送りなしで帰国するなんて寂しいですよ」と言って、手に入れたばかりの鼠色の日産サニーに乗って、ゲスト・ハウスにやって来ました。手には、農学院副院長の梁成云先生から託されたという、お土産を持っていました。お客を大事にする、っていうのが中国の文化のようです。

 この日、ゲスト・ハウスは停電で、エレベーターが止まっていました。私の部屋は7階にあり、早目にやってきた尹先生は、私の水色のラゲッジを手にして「どうですか。見送りに来てもらって良かったでしょう」と軽口を叩きました。尹先生は東大で博士学位を取得した農業経済学者で、東大には12年間いたそうです。奥様も東大で博士学位を取得した、延辺大学の応用動物学者で、前回も今回も、御夫婦で私を食事に招いて下さいました。

 帰国前日の21日の夜は、全永男先生が、大学近くの焼肉店に招いて下さいました。全先生は阪大に9年間在籍して博士学位を取得した阪神タイガースの大ファンで、現在は外国語学院の副院長であり、日本語学科の主任でもあります。この夜、全先生は、延辺大学病院の女性外科医の林先生も招待されていました。林先生は、この3月末まで京都府立医科大学に7年間滞在され、博士学位を取得されたそうで、下宿が同志社や京都御所のある烏丸今出川にあった、京都が懐かしい、京都に戻りたい、と話されていました。

 全先生は、この日も、山形大学の学生を、日本語チューターとして派遣して下さい、と言っていました。国際学生寮を2部屋無料で提供します、いつでも空けて待っています、と繰り返されました。さらに、山形大学の教員の方がサバティカルで長期間滞在してくれるのも歓迎します、退職した先生も歓迎します、ゲスト・ハウスを無料で用意します、と熱っぽく語っていました。学生さんがしばらく滞在すれば、朝鮮語と中国語の2つの言葉をすぐに覚えられる環境ですよ、とも強調されていました。

 20日の夜には、ゲスト・ハウスに、理学院の朱衛紅先生がやって来ました。女性の生態学者で、ソウル大学で博士学位を取得され、その後の博士研究員時代を、京大で2年間過ごされたそうです。修学院にある京大国際交流会館での生活を楽しそうに話されていました。この日、朱先生は、お土産だと言って、いたずらっぽい笑みを浮かべて、6星の白酒が入った群青色の箱を差し出されました。理学院が主催したパーティーの折に、大学近くのスーパーに並ぶ酒類が、普段、私が買う20~40元の白酒に比べて20~30倍も高価なので、いったい誰があんな高い酒を飲むのかと話題にしました。朱先生はその時「中国には、高い酒は他人が飲み、安い酒は自分が飲む、という諺があるのですよ」と言っていました、その高い酒を、お土産だ、と言って、2本も持って来て下さったのでした。

 延辺大学に限らず、海外の協定校には日本留学を経験された先生方がいます。彼らは、日本で過ごされた時代を懐かしみ、日本との絆を深めたいと考えています。彼らの思いに応えるためにも、山形大学と協定校の国際交流が、活発化することを願っています。

延辺大学正門前の喫茶店の窓から望む外国語学院の画像
延辺大学正門前の喫茶店の窓から望む外国語学院

中露北朝鮮の三国国境合同点の琿春市防川村の食堂で。中央は朱先生。の画像
中露北朝鮮の三国国境合同点の琿春市防川村の食堂で。中央は朱先生。