ホーム > 国際交流・留学 > 海外拠点情報(駐在記) > 延辺海外拠点(中国) > 大崎教授の海外駐在記「延辺大学駐在記3(1)」

大崎教授の海外駐在記「延辺大学駐在記3(1)」

 2014年4月22日~5月7日の予定で延辺大学に駐在しています。私が中国に行くことを、誰かがフェイスブックに載せたので、各国の日本語クラスの学生から、「先生、今、日本と中国の関係は良くありませんね。注意して下さい」という類のメイルが舞い込みます。しかし、私の訪問を、最も盛大に歓迎してくれているのは、実は中国です。

 背景の一つに、豊かさがあります。他の協定校だと、幹部教員による歓迎の昼食会、ところによっては、送別の昼食会も催してくれますが、とても慎ましやかで、支払いの段階で、私が払うと言うと、あっさりと支払いを任せてくれます。

 しかし、延辺大学では、連日、昼食会や夕食会に招待されます。それも、食べ切れる量の3倍、4倍の品を注文し、昼から、ビールや白酒が出ます。食べ続けることに気力が失せ、招待を固辞すると、「お疲れですか」と大変に心配してくれます。

 週末は、観光地に誘ってくれます。この土曜日は、農学院の教員とプロ2部リーグのサッカーを見に行きました。入場料は20元でした。地元の延辺泉陽泉(飲料水会社)と重慶力帆(自動車会社)の試合で、観客は約2万人、1対2で延辺が負けましたが、チアリーダーやブラスバンドも繰り出して、大変に盛り上がっていました。そして夜は夕食会です。

 日曜日には理学院の教員が、北京に通ずる高速道路を車で西に2時間半ほど離れた敦化市にある、巨大な仏教尼寺の正覚寺へ案内してくれました。米国籍の宗教家が、古いお寺の跡地に資本を投下し、六県山と言う山の斜面に煌びやかな大伽藍を幾つも作りました。最近、山頂に金県大仏という世界一大きな大仏も設置され、共産党政府が観光の目玉として支援しているそうです。入り口周囲には、幾つものホテルやレストランが建設中でした。駐車場で車を降り、80元を払って中に入ると、川を堰き止めて作った湖に沿って、境内へは電気自動車で移動します。湖には鯉を放って、鯉料理も観光の目玉にしたそうです。

 2009年に、延辺大学は、分散していた学部を統合し、延吉市の西の郊外の丘陵に276.5ヘクタールのキャンパスを作りました。2年前に、初めてこのキャンパスを訪れたときには、キャンパスの南に当たる丘陵の麓にビール工場があり、その東側に崩れかけたレンガ造りの平屋建ての長屋群があって、その周囲に高層のマンションがパッチ状に建てられていました。ビール工場の西側は、農村で、真新しく巨大豪華な州政府庁舎、陸上競技場、民族博物館、などが、畑の中にポツン、ポツンと建っていました。

 しかし、2年後の今日、ビール工場は移転し、レンガの平屋建ては全て潰され、高層建築に代わっていました。州政府庁舎なども全てが建設中の高層建物に囲まれ、市街地は、西へ西へと延びています。その果てには、北京から伸びてくる新幹線の駅を建設中でした。その駅の近くにある延吉空港は、周囲が市街地化してきたので、移転するそうです。

 延辺大学の周囲に建った高層マンションは、1室150平方メートルが標準だそうですが、延辺大学の教員も2室、3室と購入し、それがこの数年で3倍に値上がりしたそうです。そして、それを売って、トヨタ、ニッサン、ホンダ、などの日本の高級車を買うのがブームで、2年前には閑散としていたキャンパスには、非常に多くの日本車が目につきます。

プロサッカー2部、延吉vs重慶の画像
プロサッカー2部、延吉vs重慶

電気自動車より見た金県大仏の画像
電気自動車より見た金県大仏