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大崎教授の海外駐在記「ガジャマダ大学駐在記(3)」

 国際交流担当の安田副学長より、山形大学とガジャマダ大学の活発な交流を促進するために、ガジャマダ大学各学部に山形大学の紹介を兼ねて、各学部にどのような学問分野があるのかを調査するようにとの依頼が来ました。そのことで、日頃、大変にお世話になっている、農学部の植物病害虫診断学のAchmadi Priyamojo先生に相談しました。その結果、翌日より、彼と一緒に各学部の学部長や副学部長に会いに行く行脚が始まりました。緑深いキャンパスを、農学部の自由使用できる自転車に乗って、毎朝朝7時20分頃に出かける探訪です。まず、Achimadi先生のお嬢さんの通う医学部から始めたのですが、18学部21研究センターを擁するガジャマダ大学がいかに巨大な研究機関かを実感しています。

 例えば、日本での農学部は、ガジャマダ大学では、農学部、林学部、農業工学部、獣医学部、畜産学部と、5つに分割されています。日本の国立大学で独立した畜産学部を持つ大学は、帯広畜産大学だけです。他は、大きくても、農学部に畜産学科として存在し、せいぜい5研究室で教員数は10~15人。小規模校だと、農学科内に畜産学研究室があるだけで、1研究室で教員数は2~3人です。しかし、ガジャマダ大学は、13研究室80人の陣容です。

 ガジャマダ大学では、日本の農学部に当たる学部は5学部に分割されていますから、必然、ガジャマダ大学の農学部の学科数は少ないはずです。調べてみると、農業社会経済学科、農学科、作物保護学科、農業微生物学科、土壌科学科、水産学科、の6学科に分かれていました。日本でいうと、農業社会経済学科、農学科(農学、作物保護学、農業微生物、土壌学)、水産学科の3学科か、農学科、水産学科、の2学科分の内容です。

 私の専門に最も近い分野は、作物保護学ですが、これは、日本では農学科の昆虫学研究室2~3人と植物病理学研究室2~3人の4~6人からできているのが基本です。それが小規模校だと病理昆虫学の1研究室2~3人、大規模校でもせいぜい3~4研究室6~12人です。しかし、ガジャマダ大学には10研究室に29人の教員と10人の技官がいました。

 昆虫学は、基本的には、系統分類学、生態学、生理学の3分野に分かれています。日本の各大学にはいずれか1つの分野だけしかなく、伝統的に、北大と九大に系統分類学研究室が、山形大学や京大には生態学研究室が、東大に生理学研究室だけがありました。しかし、近年、大規模校に限って、それぞれに欠けていた生態学や生理学の研究室を分離増設し、大学によっては、昆虫だけではなく、ダニや線虫という、害虫と見なされている生物を扱う研究室も増やしました。その結果、日本にある農学部を持つ国立大学約31校すべてを合わせると、5~6分野の昆虫学関連研究室がありますが、ガジャマダ大学農学部は、そのすべてをフォローしています。

 ガジャマダ大学には生物学部もあります。日本ならば、理学部に生物学科として存在し、5研究室10~15人。大規模校では、動物学科と植物学科に分かれていて、合わせて10研究室20~30人ぐらいの規模です。しかし、ガジャマダ大学の生物学部は、15研究室に70人の教員がいます。その中に、昆虫学研究室を含む、昆虫関連分野が5研究室あります。

 他の学部の研究室や教員の数の多さも、推して知るべし、です。

農学部の画像
農学部

畜産学部の画像
畜産学部