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大崎教授の海外駐在記「ガジャマダ大学駐在記2(6)」

 6月17日は国立大学の入学試験日でした。試験は朝の7時から始まり、昼には終わりました。ガジャマダ大学の新入生の総定員は約1万人で、今回の入学試験は、その30%を決める全国共通試験だそうです。試験の実施者は国でした。

 試験を終えて、会場を出てくる受験生を、私立大学の入学案内パンフレットを持った人々が待ち構えていました。誰もいなくなったとき、構内には大量のパンフレットが散乱していました。ジョクジャカルタには、3つの国立大学と100を超える私立大学があるそうです。

 国立大学入学者の50%は、高校の内申点で既に決まっているそうで、内申点が希望の大学や学部合格に達しなかった受験生が、今回の試験を受けたそうです。試験と同じ時間帯には、内申点による合格者が大学に集められて、入学手続きをしていました。

 残る20%の入学生を決める試験は、6月22日に行われました。この試験は各大学が独自に行い、受験料もかなりの高額だそうです。入学者枠にとかくの噂のある試験だそうで、最も新しくできた制度だそうです。

 7月の第2週から、大学は2か月間の学年末休暇に入ります。この期間、3年生は全員必修の、2か月間の田舎体験学習があります。18学部中、最低でも4学部以上の学生によって混成される30人のチームを組んで、インドネシア全土、8000以上もある有人島のどこかに散って、大学生活3年間で得た知識を基に、田舎の近代化に努めるそうです。工学部のヌチさんは、カリマンタンに行くそうで、飛行機で2時間、バスで6時間、船で2時間、の乗り継ぎで行く田舎だそうです。パプア・ニューギニアに接するイリアン・ジャヤや、その手前のマルク諸島に行くという学生もいました。

 滞在先の最初の1週間は、観察を通して問題を探し、皆で討論して解決を目指すそうです。昨年、山形に来たジャトゥさんは、ジャカルタから飛行機で1時間の錫の採掘で汚染されたプリトゥン島に行ったそうです。島民は個々に穴を掘って錫を採掘していたそうで、島の産業を錫から観光に変えるように島民を説得したそうです。皆で15mの橋を作った、という学生もいました。牛糞を利用した電化事業を行った、という学生もいました。

 旅費や滞在費だけでなく、これらにかかった経費も学生負担だそうです。そのために、予め企業を巡って寄付を募ったり、自分たちでお菓子や花を作って販売したり、古着を売って資金を集めたそうです。しかし、総経費は1人平均約1万5000円だそうです。宿舎は公設の宿泊所や民宿を利用するそうですが、学生が笑いながら、「自分の宿舎は先生(私)の家のようだった」と言いました。このプログラムには、毎年茨城大学が2週間参加しているそうで、山形大学もぜひ参加して下さい、と、担当の先生から何度も勧められました。

 この17日の入学試験のあった日の午後、私は医学部で、学部長や副学部長を含む脳神経外科の教員を前に、山形大学医学部の癌センターについて説明会を開きました。特に、山形大学が導入しようとしている、重粒子を利用した癌の治療法を紹介しました。医学部の嘉山孝正先生の御提案で、学生だけではなく、研究者の本格的な交流を目指すことになったからです。両医学部の交流が本格的に進展することを期待しています。

日本語クラスの常連の皆さん。の画像
日本語クラスの常連の皆さん。

医学部での説明会。中央はTeguh Aryandono医学部長。の画像
医学部での説明会。中央はTeguh Aryandono医学部長。