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大崎教授の海外駐在記「ガジャマダ大学駐在記3(4)」

 5月19日に、ガジャマダ大学で卒業式がありました。卒業式は、2月、5月、8月、11月の年間4回あります。4年生の新学年は9月に始まり、翌年の2月に在学3年6カ月で最初の学生(1%未満)が卒業します。続いて今回の5月に在学3年9カ月で次の学生(約1%)が卒業します。そして、8月の卒業式が正規の期間満了、在学4年の卒業式です(約10%)。しかし、現実には、多くの学生の卒業は、在学4年3カ月の11月にずれ込み、さらに翌年の2月、5月とずれ込んでいきます。学生の平均在学期間は4年5カ月だそうで、各卒業式での卒業生の数は、結果的に2000人ぐらいに均等化するそうです。

 学生数が多く、一斉に全員の卒論を見るのは無理なので、各卒業式の2か月前までに、卒論製作を許可され、実際に卒論を提出した学生を、順次卒業させているそうです。卒業と同時の就職はまずないので、誰も卒業に汲々としていません。それでも、昨年までは7年間の在籍が許されていたのですが、今年から5年目の8月が最後のチャンスになりました。

 日本語クラスリーダーのロサさんも、今回の5月に農学部農業経済学科を卒業しました。彼女は、黒いアカデミックガウンの上に、成績優秀者に授与される、「CUMRAUDE」と書いた黄色い帯を、肩から斜めに掛けて卒業式に臨みました。成績優秀者とは、GPAが3.5以上で、在籍4年以内に卒業できた人だそうです。優秀者の多くは女子学生でした。

 日本の大学と比べて、東南アジアの大学の著しい特徴は、女性教員の比率が非常に高いことです。その背景として、教員採用法が、学部卒業直後の学生を対象にした試験で、助教や講師を採用するからです。その結果、高い確率で、真面目に勉強する女子学生が採用されます。そのことを、卒業式の風景を見て、改めて知りました。日本の大学教員採用法は、一部の大学学部を除けば、試験をせず、学部卒業時の成績も全く考慮せずに、原則、大学院生時代に示す研究能力や論文作成能力に負っています。

 卒業式は、午前6時に全員が大学大講堂に集まり、7時に始まりました。女子学生達は、午前4時頃美容院に行ったそうです。会場には、父兄は2人までしか入れなかったそうですが、外に親類縁者友人が集まって、11時頃に会場から出てくる卒業生に花束を渡していました。ロサさんの場合は、御両親と叔母さん、妹さん、2年前の日本語クラスで知り合った卒業生の青年起業家ソニー君、それに、写真係りの日本語クラスの男子学生が集まりました。卒業生は昼食を摂らずに、さらに学部の卒業式に臨み、2時頃に散会していきました。

 午前4時とか午前6時と言う時間には、初めは戸惑いますが、当地では極めて普通の時間帯です。一日の始まりは、日没直後です。日没直後の午後7時頃に、人々はモスクに集まり、一日の最初のお祈りをします。2度目のお祈りは夜明け前で、午前3時過ぎには起き出し、沐浴して身を清めます。午前4時半頃が、夜明け前の祈りの時間です。

 夜明け前は、煩く賑やかで、周囲のモスクから、のどを競って祈りの時間を告げる大音響が流れ、雄鶏が激しく鳴き叫び、水を浴びる音が聞こえます。その後のお祈りは、12時、午後3時半、そして日没前の午後6時で、日没とともに一日が終わり、新たな一日が始まります。モスクからは、祈りの時間が近づくたびに、歌うような呼びかけが流れてきます。

ガジャマダ大学の卒業式の画像
ガジャマダ大学の卒業式

日本語クラスのロサさん、黄色いたすき帯は優等賞です。の画像
日本語クラスのロサさん、黄色いたすき帯は優等賞です。