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ジョモ・ケニヤッタ農工大学駐在記7(1)

  山大生を「学生大使」として送っている本学の海外拠点校には,それぞれ,学生の受入れに関わる現地調整を担う教職員がいる.現在,治安に対する懸念からケニアへの学生派遣を見送っているものの,派遣再開となり次第,JKUATで本学学生の受入窓口となるのがジョアン・チェベト・キトット先生(以下,「ジョアン先生」)である.今回は,このジョアン先生(JKUAT日本語教員)を紹介する.

  ジョアン先生の出身地は,ケニアの首都ナイロビの北西約300kmの都市エルドレットに近いチョイ村.ケニアの学制は,小学校8年,高等学校4年,大学4年の8・4・4制だが,彼女は,小学校から大学を卒業するまで全寮制の教育を受けた.大学時代は,ケニアの中央ナンディ県にあるバラドン大学で経営学を学んでいる.

  ジョアン先生の日本との関わりは,2008年,夫が博士号を取得するために単独で岡山大学に留学したことに始まる.翌2009年,娘さんと共に夫が住む日本に初めて渡り,3年間の日本生活が始まったのである.

  まもなくジョアン先生は,文化の違いに戸惑うと同時に,本来,社交的であるはずの自分が言葉の壁により交友を広げられないことに,大きなストレスを感じ始めたという.その状況を自ら改善すべく,彼女は日本語の習得に取り組み始めた.その日本語能力が一定レベルに達したとき,彼女の日本生活は一変した.友人が増え,日本人とのコミュニケーション自体を楽しめるようになり,料理教室などの地域行事に積極的に参加するようになったのである.さらに,諸行事において,ケニア文化の紹介役を務めるまでになった.滞在先の外国語習得が,そこでの生活をより充実させる好例であった.

  夫と共にケニアに戻ったのは2013年.ジョアン先生は,習得した日本語を活かそうと,夫が勤めるJKUATなどで週2回の日本語学習クラブを運営し始めた.折しも,彼女が岡山滞在中に英語を教えていた日本人母娘がケニアを訪れる.その日本人母娘がJKUAT構内で本学の大崎教授と偶然出会い,その時のちょっとした立ち話から,本学とジョアン先生との縁が結ばれることになったのである.それを機に,ジョアン先生は,本学ケニア拠点の日本語チューターを務めながら,山大生の受け入れに関わる仕事も担うようになる.この時期の活躍については大崎教授の駐在記を参照願いたい.

  このようにケニアでの日本語教育に関わる中で,ジョアン先生はJALTAK(Japanese Language Teachers Association of Kenya)の会員となった.やがて日本財団が主催する事業において,優秀なJALTAK会員を日本に研修派遣するプログラムがあることを知る.彼女は,このプログラムに応募した.その結果,厳しい選考をくぐり抜けて,2017年9月から2018年2月までの半年間,彼女は研修生として再び日本に渡ることとなった.そして,その研修修了を機に日本語教員としてJKUATに採用され,現在に至るのである.

  今日もジョアン先生は,日本語クラスを受け持ち,11歳と4歳の娘たちの母親役を務めながら,山大生の派遣再会に向けた仕事にも取り組んでいる.

ジョアン先生(JKUAT正門前にて)の画像
ジョアン先生(JKUAT正門前にて)

ジョアン先生の日本語クラス(約15名が履修)の画像
ジョアン先生の日本語クラス(約15名が履修)