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大崎教授の海外駐在記「ケニア駐在記(6)」

 今日、11月30日(金)は、JKUATの卒業式でした。朝8時頃から楽団の奏でる行進曲が、構内のゲストハウスにも聞こえてきました。会場に行くと、黒いガウンを纏い、房を垂らした正方形の角帽を被った学部卒業生、続いて修士修了生、そして紺と赤を基調としたガウンの博士学位取得者、最後に博士学位取得者と同じガウンと大きな紫色のキャップを被った教授達が、行列を作って会場に入場して行きました。

 会場は野外で、月曜から設営が始まっていました。常設屋外観覧席に面して、卒業生のための3000席の椅子を置いた大きなテントが張られ、その外側にはさらに家族のための4000席の椅子が並べられました。大学の正門から会場に続く数百メートルの道の両側には、ケニアとJKUATの旗が立ち並べられました。卒業生の年齢はまちまちで、妻子を連れた卒業生や夫や子供に囲まれた卒業生もいて、今日の一日を家族で盛大に祝うそうです。

 昨日は、私は園芸学科の卒論発表会への出席を要請されました。7つの項目に分けて50点満点の評価シートも渡されました。3~4人のグループ制作で、パワーポイントによる10課題の発表が3時間続きました。「マンゴーの実生苗に影響を与える土壌塩分濃度」「鉢植えトマトの生産量に影響を与える鉢の大きさ」「切り花の持ちと保存法の関係」などなど。私が最も興味を持ったのは、「土壌の肥沃化に影響を与える販売利用されている帰化ミミズと利用されていない土着ミミズの比較」コントロールとなる、ミミズのいない土壌に比べれば、ミミズのいる土壌は、様々な塩基類が豊富になるのですが、殊に、ケニア土着の利用されていないミミズの方が土壌を肥沃化する、という結論でした。

 卒業式を垣間見て、サテライトに来ると、昨日、卒論発表をした学生達が授業を受けていました。休憩時間に学生の1人に、なぜ授業を受けているのかを聞きました。今日は本来ならば全学休講のはずで、しかも卒業式の日です。しかし、国立大学のストのしわ寄せで授業をしている、と言うのです。9月に国立大学教員を含む公務員が200%の賃上げを要求して2~3週間のストをし、33.1%の賃上げを獲得しました。その影響で授業が終わっていない上に、11月から実施されるはずだった賃上げが反故にされ、明日から大学は再びストに入る。だから当分授業ができず、今日、授業をしている、というのです。昨日のテレビでは、9月のストに参加した看護師1万2000人は全員が首になり、再びストに突入したと報じていました。

 それにしても、君たちは4年生なのだから、今日が卒業式ではないか、と問うと、彼らの卒業式は6月で、今回は、一部の学部やサテライト・キャンパスの学生の卒業式だということでした。彼らは、昨日発表した卒業課題を基にして、6月までに卒業論文を書かねばならないそうです。

 日本語クラスの受講生は98人になりました。ほぼ皆勤と言う学生が5~6人います。彼らに簡単な和英・英和辞典を供与したいです。中古で良いですから、渉外課国際交流室にお寄せ下さると有難いです。

園芸学科の卒論発表会の画像
園芸学科の卒論発表会

卒業式に入場する博士学位取得者の画像
卒業式に入場する博士学位取得者