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大崎教授の海外駐在記「ケニア駐在記(9)」

 12月20日(木)にJKUATの期末試験は終わり、深夜まで、ゲストハウスにも歓声が響き渡っていました。しかし、この文章を書いている22日は、キャンパスは朝からひっそりと静まり返っています。この試験期間中に、日本語クラスに最も頻繁に通って来た学生の中に、大学院で生物統計学を専攻しているEmaさんとSamuel君がいました。

 Emaさんは、日本語クラスがあったので、この間30キロの道のりを毎日JKUATに通ってきた、と言っていました。Samuel君は、何かというと、寿司を話題にしました。「私はすしが好きです」「あなたはすしを好きですか」「私はきのうすしを食べました」しかし、彼は寿司を食べたことも見たこともないそうです。他の受講生は、寿司と言う言葉すら知りませんでした。そこで、期末試験の期間にもかかわらず、日本語クラスに通い続けた学生だけに声をかけ、寿司パーティーをしました。

 まず、寿司米になる短粒ヤポニカ米の調達を試みました。訪れたのは、ナイロビとは逆方向10キロ先にあるチカ市の3階建てスーパーのタスキーズでした。食品売り場には80品種もの長粒インディカ米、特に香り米がありましたが、ヤポニカ米はありませんでした。

 次にケニアで最も大きなスーパーのナクマットが、ナイロビ東部の高級住宅地カレンに作ったお店に行ってみました。威風堂々とした石造りの2階建ての建物で、付設の遊園地では、子供たちのはしゃぐ声がしており、中央広間では合唱団が澄んだ声で讃美歌を歌っていました。しかし、インディカ米しかありませんでした。

 ナイロビ東北部の国連機関や大使館が集中する超豪邸地区に、明るい南欧風のビレッジ・マーケットがあります。中庭のフード・コートを囲んだ、おしゃれな2階建てのモールです。ここにもインディカ米しかなかったのですが、魚屋に、イカ、エビ、カニ風味、とびっこ、ウナギのかば焼きパック、などが置いてありました。

 ナイロビ中心街にチャイナ・センターがあるというので探してみました。中国の古いタイプの様々な商店が入った3階建ての雑居ビルディングでした。スーパーに大きな麻袋に入ったヤポニカ米がありましたが、あまりにも大きな袋で、買う気になれませんでした。

 チャイナ・センターの近くに、近代的な5階建てショッピング・センターのヤヤセンターがあり、寄ってみました。1階のスーパーには、うどんとソバ、天ぷら粉と朝日ビールがありました。隣の八百屋には、こんにゃく、豆腐、味噌もありました。しかし、ヤポニカ米はありませんでした。2階の高級ブティック街を歩いていると、健康食品店の看板に出くわしました。とても食品店には見えない粋な趣の店内に、量り売りのヤポニカ米「スシライス」を見つけました。海苔も醤油もありました。

 ゲストハウスの台所に8人が集まり、御飯を炊き、具材を調理し、手巻き寿司、散らし寿司、冷奴、味噌汁を作りました。しかし、具のない寿司米も大変に好評でした。お寿司風に味付けした調理法を、アフリカの人気女優を用いて、中国電視台のアフリカ中央テレビのCFとして流せば、ヤポニカ米を「スシライス」としてアフリカ全域に売り込むことも可能だな、と、感じました。山形のコメを売り込むチャンスがあるとは思いませんか?

タスキーズのお米コーナーの画像
タスキーズのお米コーナー

Samuel君の初めての寿司 の画像
Samuel君の初めての寿司