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大崎教授の海外駐在記「ナイロビ駐在記(5)」

 ジョモケニヤッタ農工大学(JKUAT)のゲストハウスは、205.8ヘクタールあるキャンパスの東隅、正門入口から約1.2キロ奥に入った所にあります。赤に青とカラフルで夜間照明の冴える正門は、通常は閉められており、車が来ると門衛が現れ、車のナンバーを控え、入構番号札を渡して、門を開けてくれます。歩行者は正門脇の通用門にある、空港のボディーチェックのゲートのようなものを通らねばなりません。正門から最初の建物までは、紫のジャカランダや、黄色いモクセンナの並木道が約800m続き、左折して約400m行くと、ゲストハウスに達します。通用門は他に3か所にあり、いずれも門衛がいます。

 ゲストハウスは、ベンガラ屋根の平屋の2軒長屋の1軒で、隣は男子の国際学生寮です。6畳ほどのベッドルームが3部屋と、8畳ほどのリビングルームがあり、ゲストハウスには1部屋に1つのベッドが、学生寮には2つのベッドがあります。周囲には同じような二軒長屋が約50棟あり、教員住宅として使われています。女子の国際学生寮は、ゲストハウスの斜め向かいの二軒長屋のうちの一軒です。

 各家庭は、背丈よりも高い生け垣に囲まれた約130坪の敷地があり、ほとんどの庭には、屋根よりもはるかに高いマンゴーの木が植えてあります。ゲストハウスの庭は芝生で覆われていますが、その半分がマンゴーの木陰です。昨年滞在した時には、庭には、切られて放置されたたマンゴーの大枝やその他の剪定クズ、葺き替えられた屋根瓦の残骸などが散らばり、西洋芝が伸び放題に伸びていました。

 私は、週末を費やして庭の整備を試み、アウトドア用のチェアーを買って来て、マンゴーの木陰に置き、短く刈り込んだ芝生に覆われた庭で、爽やかなひと時を楽しみました。大きく育った緑色の、まだ硬いマンゴーもたわわに実っていました。

 今回は、このマンゴーの収穫期にJKUATにやってきました。庭のマンゴーの木には、薄紅色に色づいた実が沢山ついていました。しかし、マンゴーの木陰はごみ捨て場になっており、日の当たる芝生の庭は畑に代わっていました。植えられていたのは主に、インゲンのような豆と、ケニアで良く食べられるスクマという、キャベツに似た葉菜と、トウモロコシ、サツマイモ、ジャガイモ、キャベツでした。

 畑の持ち主について、ゲストハウスの管理人や周囲の作業員に聞いても、誰も知りませんでした。ただ、「ラッキーだ。採って食べれば良い」と皆が言いました。入居3日目に、庭で大きな物音がするので出てみると、2人の男がマンゴーの木に登り、次々と実を落としていました。そして、手の届く限りの実をすべて取って、持って帰ってしまいました。

 その2日後に、男の一人が、庭の畑で豆をもいでいたので、何者なのかを尋ねました。彼は、JKUATの職員ではないが、教職員のために働いている、と言いました。どうも、キャンパスの出入りを許されている、ボタボタと呼ぶ自転車タクシーの運転手のようでした。彼は、生垣に囲まれて目立たないゲストハウスの庭に自転車で通い、畑を開墾したのです。

 この男たちが取り損なったマンゴーの実が、その後、毎日落下してきます。拳2個を合わせたほどの大きさで、良く熟れた実が、毎日10個ほど拾えます。とても食べきれません。

ゲストハウスの畑と隣家のマンゴーの大木の画像
ゲストハウスの畑と隣家のマンゴーの大木

ゲストハウスの庭に落ちてくるマンゴー(ほんの一部)の画像
ゲストハウスの庭に落ちてくるマンゴー(ほんの一部)