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ラトビア大学駐在記6(2)

 2018年8月から9月にかけてのラトビアへの「学生大使」派遣に関しては,二つの新しい側面がありました.一つは,ラトビア大学側の受入れ機関が,従来のラトビア大学国際交流室からラトビア大学人文学部に移って最初の夏季プログラムとなること.もう一点は,今季の山大生の派遣数が過去最高の16人に上ったことです.

  そのため,ラトビアでの山形大学日本語クラスの運営に関しては,①ラトビア人受講生と山大生の人数的バランスと,②多数の学生を収容できる教室スペースを十分に確保できるかどうかという点が懸念されました.

 果たして,私が最初にクラスを訪れた9月4日時点では,山大生よりもラトビア人受講生が少ない状況で,クラスのPRが課題となりました.まずは,プログラムの受入母体であるラトビア大学人文学部にPR強化をお願いすると共に,ラトビア大学国際交流室を通じてラトビア大学ホームページなどでのPRをお願いしました.また,従来の受講生が関わるSNSにも情報をアップしてもらうことにしました.その結果,少しずつ受講生は増え始めています.

 この受講生数については,山大のクラスが開設される場所が,従来のリガ市街中心部(ラトビア大学経済学部)から,同中心部から徒歩で10分程度を要する施設内(ラトビア大学人文学部内)に移った影響も大きいようです.ラトビア大学の人文学部以外の学生や仕事後に参加する社会人にとって,クラスが中心市街地から物理的に遠くなってしまったわけです.したがって,クラスに参加してもらうためには,これまで以上に受講生にとって意義深いクラスにしなければなりません.

 もう一つの教室スペースの問題です.現在,ラトビア大学は,キャンパスの相当部分を,現在のリガ市街中心部から,市街を貫流するダウガヴァ川対岸に移転する計画を進めています.この動きの中で,市街中心部の教室スペースを大幅に削減しているのです.この秋からは,山形大学日本語クラスが開設される人文学部の建物で教育学部の授業も行われることになり,正に,「授業を行う教室が足りなくて困っている状況」(ラトビア大関係者)です.この反映で,山形大学日本語クラスに与えられるスペースも限られたものになってきます.

 この状況下において,山大日本語クラスのモットー”Anyone can participate in any class anytime.” (何時でも,誰でも,何度でも)を保持するため,山大生の取り組みが始まりました.履修登録など行わず,出席もとらないクラスですから,開講時間内においても受講生数は変化します.社会人受講生などが遅れて教室に到着しても,臨機応変に山大生間で担当を割り振りし直し,受け入れて行かなければなりません.これを,限られた教室スペースを見ながら進めることへの挑戦です.

 今期のクラスで初めて試みられたことは,授業スペースに関して,写真のように,ラトビア大学人文学部教員の研究室や同学部の中庭スペース,さらには周囲の公園や博物館も活用することにしたことです.各所で黒板代わりとなるのは,山大生が持参したミニホワイトボードです.全員の工夫と努力で,ラトビア人受講生をしっかり受け入れています.

 ラトビア大学のキャンパス移転による影響は,およそ2年後まで続きます,「学生大使」には,現地の学生や社会人にとってより意義深いクラスとするため,これまで以上の創意工夫と課題へのチャレンジ精神が求められます.

ラトビア大学人文学部中庭での授業準備の画像
ラトビア大学人文学部中庭での授業準備

ラトビア大学教員の研究室を使った授業の画像
ラトビア大学教員の研究室を使った授業