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大崎教授の海外駐在記「ラトビア大学駐在記(3)」

 駐在校に開設した無料日本語クラスは、語学クラスとして機能するだけではなく、親日家や山形大学への留学を夢見る学生たちのサロンに発展しています。サロンの学生は、山形大学から派遣されるチューター達を旧知の友のように受け入れるので、チューター達は短期間に、深い異文化体験をします。その結果、彼らは相互の相違を認識し、理解し、感動して帰国しています。各国のサロンは相互にフェイスブックで繋がれています。

 ラトビア大学でも、無料日本語クラスの開設を目指して、渡航前から先方の国際交流室に協力を依頼しておきました。しかし趣旨に誤解があり、ラトビア大学では、人文学部のアジア研究学科日本コースに、日本語会話クラスとして用意されていました。ラトビア大学の学部年限は3年で、会話クラスは各学年のために週3回用意されていました。しかし、私の意図はラトビア大学全学が対象です。そのため、人文学部や国際交流室と何度か話し合い、全学向けに週に上級コース3回と基礎コース5回を開くことにしました。前者は人文学部で、後者は徒歩15分離れた本部ビルディングに於いて開講しました。学生募集は、ラトビア大学のHPと、各学部のセクレタリーを通して行ってもらいました。初日に無料日本語クラスに登録した学生は34人で、コンピューター学科の学生が17人いました。

 人文学部とは、Faculty of Humanities の訳で、約2500人の学生を擁する、ラトビア大学の最大規模の学部です。各国や各地域の言語、文学、民俗学、宗教、芸術、文化人類学を対象としており、7学科から構成されています。英語圏研究、比較言語・翻訳・通訳、古典哲学・人類学、ドイツ・ローマン研究、ラトビア・バルト地域研究、ロシア・スラブ研究、アジア研究の各学科です。ローマンとは古代ローマ帝国の版図に含まれる地域で、フランス、イタリア、スペイン、そしてラテンアメリカも含んでいました。バルト地域とは、バルト3国と北欧のことです。英語圏研究には、北米、オセアニアも含まれます。

 アジア研究学科には4つのコースがありました。日本、中国、アラビア、トルコです。日本コースは、各学年約20人の学生と、3人の教師がおり、うち2人が日本人です。日本コースでは、選択科目になぜかチベット語があり、韓国語の履修も可能でした。なお、最近、中国が孔子学院を提供したそうで、3人の教員と数人のスタッフがいるそうです。

 9月まで山形大学人文学部に1年間の留学をしていた、日本コースの大学院2年生の恵恋菜(エレナ)さんに、日本語上級クラスで山形大学留学の話をしてもらいました。「山形の冬はラトビアに比べると雪は多いが、寒くなく、涼しかった。」「指導教員の中村唯史先生が、ペラペラのロシア語をしゃべるので、びっくりした。」「考えたこともなかった国(東南アジア)の留学生との交流があり、楽しかった。今でも不思議だ」作家志望で、出版社と契約して、日本語小説を翻訳中だそうです。

 日本コースの新入生のサンタさんは、入学前に日本に渡り、稚内から知覧まで2か月かけてヒッチハイクをしたそうです。三味線と習字が好きな5か国語に堪能な美少女で、東京芸大志望です。同じ新入生のヤーニス君は、寿司やラーメンを作る剣道家で、地域教育文化学部の剣道家の竹田隆一先生の許に絶対に留学するのだと言っていました。

ラトビア大学本部ビルディングの画像
ラトビア大学本部ビルディング

日本語基礎クラスの画像
日本語基礎クラス