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大崎教授の海外駐在記「ラトビア大学駐在記(4)」

 ラトビア大学には13の学部がありますが、山形大学の看板である、工学部と農学部がありません。1945年にソビエトに併合された時に、別の工科大学と農科大学として切り離され、1990年の独立後も、そのままの状態です。現存する学部の多くは、山形大学の理学部と人文学部に該当する分野が細分化され、多くは直径2㎞圏内に分散しています。山形大学の理学部に当たる学部は、生物学、化学、地理学地球科学、物理数学、の4学部で、2009年に物理数学学部から分離独立したコンピューター学部が、山形大学工学部の情報科学科に当たるようです。各学部の基本単位は5~9人の教員で構成されている大講座です。

 生物学部の場合、大講座は、植物生理学、植物分類生態学、水生生物学、微生物生物工学、分子生物学、動物分類生態学、人間動物生理学の7つがあります。人間動物生理学大講座の研究テーマは、血管と循環の生理学、運動生理学、人間の生体におけるエネルギー代謝生理学、などで、この大講座の講義は医学部生も履修しています。分子生物学大講座の中にも、皮膚癌の研究者がおり、山形大学医学部がんセンターに非常に興味を示しました。生物学部の教員数は約50名で学生数は約500名です。

 化学学部の場合は、無機化学、分析化学、有機化学、物理化学、の4つの大講座と、環境研究センター、食品科学センター、化学教育センターがありました。学部の規模は生物学部と同程度です。

 地理学地球科学学部は3つの学科から構成されており、地理学科には、自然地理学、人文地理学、地球ジオマティクスの3つの大講座と5つの研究室があり、地質学科には基盤地質学、応用地質学の2つの大講座と4つの研究室、環境科学科には環境保護学と応用環境科学の2つの大講座と5研究室がありました。

 物理数学学部は3学科があり、物理学科には、実験物理学、理論物理学、数理モデル、電気力学、固体物理学の6大講座とレーザー研究センター、数学科には微分方程式近似法、数理解析学、一般数学の3大講座が、視覚光学科には視覚光学の大講座がありました。

 コンピューター学部は、コンピューター科学、プログラミング、コンピューター科学の基礎数学、インフォマティクス生涯学習、の4つの大講座と2つの研究室があります。新入生は250人で、1年間で半数が脱落し、他学部に転学部するという話でした。

 ラトビア大学の特徴の一つは、学部スタッフよりも所員の多い研究所が19もあることです。誰に聞いても「ソビエト時代の名残だ」と言う答えが返ってきます。ソビエトは、分野の近い幾つかの研究機関を統合して一つの研究所にして、ラトビア大学に所属させたそうです。学部との関係は希薄で、給料も研究費も学部より劣り、大変だ、と言う話でした。しかし、学生や院生によっては、研究所を主な研究の場にしているそうです。

 理系の研究所は、生物学研究所(所員71人)、微生物生物工学(44)、実験臨床医学(15)、心臓学(35)、高分子力学(36)、化学物理学(20)、固体物理学(119)、物理学(39)、天文学(19)、原子物理分光学(29)、測地地質学(14)、数学コンピューター(100)の12研究所があります

正面の表通り越しに見た生物学部。道路は石畳であるの画像
正面の表通り越しに見た生物学部。道路は石畳である

裏側から見た生物学部。運河は手前の新市街地と旧市街地を分けているの画像
裏側から見た生物学部。運河は手前の新市街地と旧市街地を分けている