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新モンゴル学園駐在記1(2)

  モンゴルにおける学生大使派遣プログラムには,他の国にはない特徴が2つあります.

  一つ目は,派遣先の本学海外拠点校となる新モンゴル学園が幼稚園から大学までの一貫教育校であるため,山大生は,授業の中で同世代の大学生だけではなく,幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び高等専門学校の児童,生徒とも接する機会があることです.

  例えば,写真は,山大生が新モンゴル学園の高校2年生を対象に授業をしている場面です.この日は,初めに山大生が日本文化の一部について絵を用いて紹介し,それに倣ってモンゴルの高校生にモンゴル文化を紹介させる課題を与えていました.

また,将来,小学校の教員になりたい山大生は新モンゴル学園の小学生相手の授業を体験させてもらえますし,幼児教育に関心のある山大生は新モンゴル学園の幼稚園を視察することもできます.高専の4年生以上は山大生と同世代となりますが,山大の2年生に相当する新モンゴル高専の5年生は就職に直面していることから,お互いが置かれた環境の違いから刺激を受け合うことになります.

  さらに,日本語や日本文化を授業の中で紹介する場面だけではなく,山大生が,日本留学を希望している受験生が書いた入学志願書を添削し,微妙な書き言葉のニュアンスの違いを教える場面もあります.モンゴルの受験生の立場からは,自分が進学を希望する日本の大学から来た現役学生と直に話せるわけですから,とてもよい刺激になると新モンゴル学園の先生も仰います.この点において,新モンゴル学園を訪れる山大生は,他の本学海外拠点にはない役割も期待されています.

 もう一つの特徴は,山大生がホームステイを経験しながらモンゴルに滞在することです.モンゴル家庭の特徴は,家に招き入れる以上,縁戚関係の有無によらず,また,モンゴル人であるか外国人であるかにもよらず,家族同然に扱おうとすることです.例えば,山大生は「お客様」ではなく,ホストペアレンツの息子や娘と同じように,家事や子供の世話などの手伝いを期待される存在となります.このことは,モンゴル家庭が特に家事に追われているからではなく,家族内の人と人の間の距離が日本のそれよりずっと近いために,山大生ともその距離感で接しようとすることによる現象です.したがって,山大生は,あらかじめこの点を意識してモンゴル家庭に入らないと躊躇することになります.実はこの点,私も今回のモンゴル訪問で初めて気づかされました.これまで派遣した山大生にはこの点の説明が不十分であったと反省していますが,一方,今後モンゴルに向かう学生には,モンゴル家庭に関する予備知識を備えた上でホームステイに挑戦し,モンゴル人とのメンタリティーの違いを肌で感じて来て欲しいと思っています.

また,ホームステイの場合,週末もホストファミリーと一緒に行動することが基本となります.その中で山大生は,滞在中に一度はモンゴルの草原や首都ウランバートル郊外の散策に連れ出されます.日本人に人気の「草原でのゲル宿泊体験」を例にすれば,ホストファミリーの親戚のゲルに招待され,観光向けではないありのままのゲル体験をしてくる山大生もいます.例えば,山大生をもてなすために生きた動物が肉となり,調理されて目の前に現れる過程に触れることもあります.

このように,ホームステイ体験も,異文化理解に深さをもたらす要因となっています.

高校2年生を対象としたクラスの画像
高校2年生を対象としたクラス

ホームステイ先での夕食の画像
ホームステイ先での夕食