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大崎教授の海外駐在記「ペルー駐在記(4)」

 ラモリーナ農業大学は、スペイン語でUniversidad Nacional Agraria-La Molina(略称UNALM)です。1902年の創立で、300ヘクタールのキャンパスに、学部学生が4521名、大学院生が549名在籍しています。学部数は、農学、生命生理科学、森林科学、経済計画、食品科学製造、農業工学、水産科学、動物科学、の8学部で、20学科に分かれています。

 リマの西にあるカトリカ大学から、遥か東に低い山並みが見えているのですが、ラモリーナ農業大学は、その山並みの麓にあります。ラモリーナ農業大学のキャンパスから見る限り、山は一木一草もない灰色の禿山です。しかし、大学のキャンパス内は緑豊かで、中心部には見渡す限り芝生が張ってあり、熱帯の樹木が配置良く植えてあります。

 ラモリーナ農業大学はカトリカ大学から直線で約13㎞離れていて、タクシーで1時間から、渋滞時には1時間半かかります。リマのタクシーにはメーターがついていません。したがって、乗車前に行く先を告げ、値段の交渉をします。交渉が決裂すれば、次のタクシーを止めて、また交渉します。タクシーの運転手には英語が全く通じませんから、予め、スペイン語で書いた行き先と、「いくらですか」と書いたメモを示します。そして筆談で値段の交渉をします。今日の往路の最初の運転手は45ソルス(1ソル=39円)と主張し決裂、2番目の運転手は25ソルスと言ったので、一発で交渉成立しました。復路は渋滞時で、最初のタクシーには遠すぎると拒否され、次のタクシーと30ソルスで話がつきました。

 路線バスもあり、一律1ソルと安いのですが、様々な会社の様々な大きさのバスが入り乱れて先を争い停留場に走り込み、車掌が張り切って客引きします。路線の権利を買ったバスの持ち主が運転手を雇い、運転手の賃金は収入に対する歩合制だそうで、車掌は運転手が雇うそうです。行き先が良くわからないので、今のところ、利用していません。

 ラモリーナとは、この大学が存在する地区の名称で、隣接して、国際ジャガイモ研究所、ペルー農業省研究所、などがありますが、周囲は活気ある商業地区です。ジャガイモの原産地はペルーで、200種もの品種があり、色も味もカボチャみたいな黄銅色の甘い品種もあります。カトリカ大学は、日本の私大にも見られる、美しいキャンパスを売りにした都会のモダンな学園という雰囲気溢れた大学ですが、ラモリーナ農業大学は、守衛以外の警備員はおらず、日本の国立大学に良く似た開放感があります。カトリカ大学の多くの先生方はネクタイをしていますが、ラモリーナ農業大学では、まだ見かけていません。

 私は、農学部の昆虫学科にオフィスを設けました。私の専門が昆虫進化生態学だからです。ここには10人の昆虫学者がおり、私は火曜日と金曜日の週2日滞在することにし、金曜日には、毎週、農学部でセミナーを行うことになりました。ラモリーナ農業大学には、一般に公開した小さな昆虫博物館があり、昆虫分類学の先生が常駐しています。その方が、「リマの海岸地帯に生息していた白いチョウが最近いなくなり、そのチョウが利用していた植物が、今は別のチョウに利用されているが、とても不思議です」と話されました。私は、私の研究を通して思い当たることがあり「恐らく、その理由は、16日の金曜日に行う、私のセミナーで分かると思いますよ」と予告しておきました。

オフィスから見た禿山の画像
オフィスから見た禿山

ラモリーナ農業大学構内の画像
ラモリーナ農業大学構内