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令和8年3月卒業者・修了者向け学長メッセージ

 このたび卒業・修了を迎え、学位を授与された皆さん、誠におめでとうございます。卒業生・修了生の皆さん一人ひとりに、心からお祝いを申し上げます。
 また、ご家族や関係者の皆様には、長い年月にわたる学生生活を、温かく見守り支えてこられたことに、大学を代表して深く感謝申し上げます。本日は誠におめでとうございます。
 卒業生・修了生の皆さんは、大学生活の中で、さまざまな経験を積み重ねてこられました。楽しかったこと、心に残ることがたくさんあった一方で、思い通りにことが進まなかったときや日常生活で悩んだこともあったかもしれません。しかし、そのような困難を乗り越え、学びの目標を達成されたことは、本当に誇らしいことです。山形大学の教職員一同、皆さんのこれまでの歩みを心から讃え、今日からの新たな門出を心から応援します。
 いま私たちが生きている社会は、かつてない速さで変化しています。テクノロジーの進歩、とりわけAIの発展により、これまで当たり前だった仕事がなくなり、新しい仕事が次々と生まれる時代です。これまでの常識が通用しない場面も、さらに増えていくでしょう。
 そのような時代においては、皆さんが大学で学んだ知識の大部分は、いずれ古くなります。そして、皆さんより後に生まれた人たちが、より新しい知識を身につけて社会に入ってきます。だからこそ、これからも学び続けることで自分をアップデートしてください。
 そのときに、役に立つのは大学で身につけた「学ぶ力」と「考える力」です。物事をさまざまな角度から考える批判的思考力、他者の意見を丁寧に聞き出す傾聴力――こうした行動特性、いわゆるコンピテンシーは、これからの人生のあらゆる場面で役立つものです。専門知識が古くなったとしても、大学で身につけた学び方や考え方は、皆さんの一生の財産となるでしょう。
 また、これから学び続ける中で、自分が関心を持つことだけでなく、「自分には関係ない」と思えることにも、ぜひ目を向けてください。
 いまの社会では、自分が見たい情報、聞きたい情報、関心のある情報だけが選ばれて届く仕組みが広がっています。知らないうちに、私たちの考え方や行動が誰かによって誘導される可能性もあります。
 そのような社会で、本当に自分らしく生きるためには、見たいと思わないものを見て、聞きたくないことを聞き、知りたくないものにも関心を持つことが大切です。そうしながら、自分の立ち位置を確かめ、学び続けていってください。
 世界を見渡せば、大きな経済力や軍事力を持つ国が影響力を強め、少数の強い発信力を持つ人々が世論を動かす時代になっています。情報操作はますます巧妙になり、私たちが正しい判断をすることは簡単ではありません。
 偽りや悪意に満ちた情報が増えるなかでも、学問の自由を尊重する大学は、ファクトやエビデンスに基づいた信頼できる知識を社会に提供しています。この姿勢は、これからも変わることはありません。皆さんが社会で経験を重ねる中で、もう一度学びたい、新しい知識を身につけたいと思うときがきっと来ると思います。そのときは、ぜひ母校を訪れてください。私たちはいつでも、皆さんを温かく迎えます。
 世界に目を向ければ、いまこの瞬間にも戦争が続いている地域があります。その影響は、日本で平和に暮らす私たちにも及び、世界全体が協調から対立、平和から戦乱に向かう気配がみられます。これから皆さんが歩む長い人生の中では、社会全体が大きな選択を迫られる転機が訪れることでしょう。
 そのような時代にあって、私が皆さんに期待するのは、社会の変化に受け身でいるのではなく、自分自身の考えで社会が進むべき道を選んでほしいということです。不確実な時代だからこそ、可能性は無限に広がっています。変化を恐れず、挑戦する心を持ち、自分の信じる道を進んでください。皆さんのこれからの活躍を、心から楽しみにしています。
 皆さんの学生生活を温かく支えてくれたご家族や関係者の皆様、そして各学部・大学院の同窓会や地域の皆様の思いを忘れず、感謝の気持ちを胸に、これからの人生を歩んでください。
 結びに、皆さんの未来が、自分らしく生きることのできる社会であり、すべての人が尊重される平和な世界となることを心から願い、私からの告辞といたします。

令和8年3月25日 山形大学長 玉手英利

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