



ホーム > 大学紹介 > 学長室だより > 令和8年度入学生に対する学長告辞
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。また、これまで皆さんを支えてこられたご家族の皆さまにも、心よりお祝い申し上げます。山形大学の教職員、在学生一同、皆さんを新たな仲間として迎えられることを大変嬉しく思います。
まず、皆さんがこれから学ぶ山形大学についてお話しします。山形大学の嚆矢は、今から148年前、明治11年(1878年)に開校した山形県師範学校までさかのぼります。その後、明治から昭和にかけて山形県内で設置された5つの高等教育機関を母体とし、77年前の昭和24年(1949年)に山形大学は設立されました。
その後、昭和48年に医学部を設置し、昨年度にはデジタル時代の新たな教育組織として社会共創デジタル学環と大学院数理情報システム専攻を開設するなど、大学は時代の変化に応じて発展を遂げてきました。さらに、地域における教育課題へ対応するため、今年度、21年ぶりに教育学部を設置しました。現在では、7つの学部・学環と6つの大学院を擁する東日本有数の総合大学となっています。
このように、山形大学とその母体となった教育機関はいずれも、日本が激しい社会変動を経て近代国家として歩み始めた明治時代、あるいは日本が第二次世界大戦の惨禍から復興を進めていた時期という社会の大きな変革期に創設されました。そして、ここで学んだ11万人を超える卒業生が、それぞれの時代を切り拓く主役として活躍してきました。大学とは、社会が困難な課題に直面した時、自らの力で新しい知や技術を生み出し、より良い未来を拓くことができる人材を育成するために存在する教育研究機関です。つまり大学とは、社会が自己変革するために生み出した知的な仕組みであるとも言えます。
次に、大学における学びです。皆さんは、これから、まだ解明されていない課題や未知の領域に挑戦する学びを始めます。これまでの教育とは異なり、大学では身につけた知識や技能を使い、未知の事象を明らかにしていくという、まったく異なる学びが求められます。そして、その成果が世の中を変える力を持つこともあります。たとえば、本学では有機EL、ナスカの地上絵、重粒子線治療、アグリフードシステムなど、各キャンパスで特長のある研究が展開され、皆さんの学びに生かされています。
皆さんが生きる人生百年時代は、かつてないほど変化が激しく、そして可能性に満ちています。その時代は、単に長く生きるというだけではありません。一人ひとりが社会で活躍し、新たな挑戦を続けることのできる時間が大きく広がったということです。だからこそ、学び続ける姿勢が、これまで以上に重要な意味を持つようになりました。
皆さんは、まさに22世紀を見据える世代です。皆さんが社会の中心となる頃、世界は今よりもさらに複雑で、多様で、予測のつかない姿をしていることでしょう。しかし、その未来を形成していくのは、他でもない皆さん自身です。
私がちょうど40年前に大学を卒業したことを思うと、皆さん一人ひとりの中に、まるで未来からの使者のような役割を感じています。皆さんにはまだ見ぬ社会の課題を先取りし、新しい価値を創り出す力が秘められているからです。未来は、ただ訪れるものではありません。皆さんの今始まる学びと果敢な挑戦によって、創り出されていくものです。
大学ではどうか恐れずに学び、迷い、問い、そして地域や世界で行動してください。
最後に、AI時代に大切にしてほしいことです。AIの進展が加速する今、私たちは改めて「人間とは何か」を問い直す必要があります。AIが人間の創造性や判断の領域まで大きな影響を及ぼす時代だからこそ、その活用の方向性を決める人間の倫理観や、その技術を使う目的を絶えず問う姿勢が私たちには重要です。
本学は、基盤教育として、たとえば、健康・スポーツ科学やフィールド・ラーニングなどの身体性を伴う経験から知を得ることを大切にしてきました。こうした学びが、他者への想像力や世界との関わり方を育てます。大学は人間的な営みを支える場でもあります。AIを無批判に受け入れるのでなく、皆さんには自ら学び、問い、身体と感性を通して世界を捉え直し、新たな価値を創造することを期待しています。それこそが大学の使命であり、未来への責任です。
このように、現在、私たちの暮らす社会は急速な変化の真っ只中にあります。不安定な国際情勢や自然環境の急激な変化は、私たちの日常生活にも影響を及ぼしています。また、多様な価値観が尊重される世の中になり、働き方や社会の常識が大きく変わりつつあります。皆さんは、大学への入学という変化により、期待とともに不安を感じている方もいるかもしれません。
しかし、皆さんの存在を常に気にかけるご家族のほかに、大学では同じ目標を共有し、皆さんに寄り添う友人、教職員が必ずそばにいます。困難や迷いに直面したときは、どうか周囲に勇気をもって声をかけてください。私たちは、皆さんが安心して大学生活を送り、自らの成長を実感できるよう、これから卒業まで全力で支えていきます。
皆さんが山形大学での学びや生活を通じて充実した日々を過ごし、ここでの経験が多くの人々とつながり、明るい未来を拓く力となることを心から願っています。
本日はご入学、誠におめでとうございます。
令和8年4月3日 山形大学長 出口 毅