ベニバナ

工学部機物質化学工学科
教授 小野寺 準一

炎天下でのベニバナ摘み
 本学卒業間際に全く思いがけぬことから急に大学に残ることになってしまった。とは言うものの大学の教員は自分には似合わないし、折を見て逃げ出そうと考えていた。しかし恩師小原平太郎教授とベニバナとの出会いがその決意を鈍らせ、とうとう定年まで母校で過ごさせていただくことになってしまった。小原教授と山形県に関係の深い仕事を、と始めたのがベニバナの色素成分に関する研究で、研究を始めた当初は数年で終るものと安易に考えていた。しかしベニバナの色素成分は予想をはるかに上まわる難物であった。意欲十分な研究室スタッフ、多くの修士、学部の学生さんと日夜実験に励み、分析機器の発達にも助けられてようやくその全貌が明らかになったのは研究を始めてから40年近くも経ってからであった。炎天下でのベニバナ摘み、徹夜での合成実験や分離作業で苦労に苦労を重ねた卒業生達は全員、卒業後企業人としてすばらしい活躍をしている。若い時の苦労と情熱が人を育てることを実感していると同時に、ベニバナという一つの植物研究を通して培われた固い絆は私達研究室スタッフにとっても、卒業生にとっても何にも変えがたい貴重な財産となっている。

 
山形大学を去るにあたって