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理学部  渡邉 侑子

研修旅行を終えて

 私は2012年2月26日から3月11日までの2週間、CERN(欧州原子核研究機構)に滞在してきました 。CERNは、スイスのジュネーヴ郊外でフランスと国境地帯にある世界最大規模の素粒子物理学の研究所です。今回の研修では、山形大学クォーク核物理学研究グループが参加しているCOMPASS実験の装置をはじめとして、国連ヨーロッパ本部やILO(国際労働機関)等も見学することができました。
 COMPASS実験施設の見学では、CERNに常勤している堂下先生からわかりやすく解説して頂きました。実験装置は想像以上に迫力があり、それらを生で見ることでCOMPASS実験の内容をより深く理解することができました。
 国連ヨーロッパ本部やILOの見学では、日本にいた時とは異なった視点で第1次世界大戦や第2次世界大戦などの世界の歴史をとらえることができました。現地で活躍される日本人の方から様々なお話しを聞くこともできて嬉しかったです。
 滞在期間中CERN駅から出る路面電車に乗ってジュネーヴの街に1人で視察に
行ったこともありました。街ではレマン湖の噴水を見たり、サンピエール大聖堂、国際宗教改革博物館や歴史美術博物館を見学したりしました。スイスの文化や芸
術、宗教を全身で感じることができ、非常に刺激的な体験となりました。旅の途中、CERN駅の切符販売機がエラーを起こしていたり、ジュネーヴの街中で道に迷ったりするなどのハプニングもありましたが、英語と少しのフランス語でなんとか街の皆さんに助けてもらい、乗り切ることができました。街の皆さんは本当にやさしくて、私はジュネーヴの街が大好きになりました。
 私が今回の研修で最も刺激を受けたのは、周りから聞こえてくる様々な英語で
す。CERNの中ではフランス人やロシア人・ドイツ人など、英語を母国語としない
人々が英語で会話をしているため、自分が今まで聞き慣れていた英語とは異なった“英語”があちらこちらで飛び交っています。正直、日本にいる間はアメリカ英語とイギリス英語しか聞く機会の無かった私にとって、様々な種類の英語が交錯している環境には少し違和感がありました。しかし、CERNの中ではそれが“当たり前”なのです。CERNで働いている方がどれほどたくさんの種類の英語に親しんでいるか、圧倒されるばかりでした。自分の英語は理解してもらえるのに、相手の英語を理解することができない生活は、本当にもどかしかったです。
 それでも、毎日それらの言語に囲まれているうちに、自然と耳も慣れ、1週間程
経った頃には十分聞き取れるようになっていました。そのお蔭で自分の言語力にも自信が付き、研究室秘書のアンさんをはじめ、CERNシャトルバスの運転手のお兄さんや食堂のレジのおばさん、バス停で知り合った中国人学生などとも積極的に会話ができるようになりました。本当に楽しかったです。
 日本に帰って来て強く思うことは、もっと自分自身を磨かなければということです。物理や数学、言語の力をより強くするために、今後一層の努力をしていきたいと思います。そして将来は、CERNで出会った皆さんのように、世界で活躍する物理学者になりたいです。

堂下先生(後列)とCERNで活躍する研究者
左からロシア・フランス・フィンランドの皆さん
サン = ピエール大聖堂の尖塔からの景色
国連ヨーロッパ本部前にて記念撮影