教養セミナーと学部専門科目のちがい

理学部 日野 修次(生物地球化学,陸水学)

 私が山形大学に来たのは,ちょうど教養教育の改革が始まった年で,今年で10年になります。それまでは教育には縁もゆかりもない地方自治体の研究所にいたので自信はありませんでしたが,その年に工学部の先生が亡くなられたための代理として教養教育を担当して翌年まで開講しました。その次年度から環境問題をテーマとした教養セミナ−を担当し,現在まで続いています。

 今,考えているのは,教養セミナー(教養教育科目)と学部専門科目との大きな違いです。教養セミナーでは,20名前後の学生を対象に学生の希望を入れた各自のテーマを設定し,調べてきたことを発表し,また疑問点を提起することから始まります。ですから,最初は手助けしても,あとは学生自らが,主体となってデイスカッション形式で進めなければならず,学生にとっては緊張の時間となります。その一方で,終了後は達成感があり,学生にとっては(もちろん教師側もですが),大きく前進できたと思うようです(もちろん全員がそうだとは限りませんが)。途中で,簡単な実験あり,野外観察ありで,教室内だけで実施するだけではないので,適度な開放感もあるようです。授業評価も高く4.5-4.8位で推移しています。

 翻って,学部専門科目では,学生実験を別にして,教師の側から,40−50名程度の学生を対象に講義をし,時々質問を聞くという程度で,ほぼ一方通行状態になります。一般的な事例をあげながら進めてはいますが,専門科目ですからだんだん難しくなるのと試験でいじめる(?)ので,科目によっては,学生に嫌われることもあります(授業評価の得点を見れば明らかですが)。

 この違いは何なのでしょう?自分でもよくわかりません。また,教師の側から見れば,教養教育と専門教育をどう考えればいいのか,悩むところでもあります。教養教育科目は専門にとらわれないで幅広い内容を対象にし,一般教育とも異なるようにとのことです。一方,専門教育科目は,このようには行かず割り切って実施しているのが現状です。また,一般教育と教養教育との違いが,私にはそもそもわからないのです。皆さんはどうなのでしょうか?

 私としては悩みながらも,学部専門教育は専門教育として取り組み,教養教育は,その実体が自分にはつかめないまま,毎年,桜の花咲く春を迎え,また,悩みながらも進行方式を少しずつ変えながら開講しています。そして,暑くなる頃には学生の声に励まされ,またはめげながら,また頑張ろうという気持ちをもち続ければと思っています。

 次は工学部の松下 浩一さんお願いします。

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