日韓交流をめざして

農学部 岩鼻 通明(人文地理学)

 96年度の教養部改組以前から、一般教育を主として担当する者として、授業改善の試みを今日まで続けてきた。83年に教養部赴任以来、10年近くは地理学概論的な講義を続けてきたが、一般教育科目が自由選択へ以降した前年の92年度から、多様な内容を提供できるように変え始めた。

 94年から年に数回の訪韓を重ねてきたが、講義で韓国に関する話題を提供できるようになったのは、95年度から総合領域で有志と始めた「平和と人権」の中でのことだった。

 この講義は、02年度まで断続的に行ったが、98年夏に日本学術振興会の韓国短期派遣の機会が得られ、それを契機に99年度以降は「韓国の文化と民俗」と題した授業を続けてきている。

 この間に、南北および日朝首脳会談やW杯サッカーの日韓共同開催、さらには「冬ソナ」ブームなどが相次ぎ、韓国への関心は、過去にないほどの高まりをみせている。それを受けて学生に基礎的かつ最新の情報を提供するべく工夫を続けてきたが、つい先日の授業で「ペパーミント・キャンディー」という光州事件を題材にした韓国映画を鑑賞したところ、毎回集めるコメントで、受講生の誰一人として、光州事件に触れた者はいなかった。

 このように、韓国人にとっては常識的なことでも、日本人には欠けている基礎知識は少なくない。21世紀の未来を担う若者たちに、世界平和の前提となる国際的な相互理解の芽を育てることもまた、我々大学教員の任務のひとつといえよう。

 これからも、似て非なる部分と共通点の双方を有する隣国に関する授業を、より理解が促進されるように、訪韓を繰り返しつつ改善していきたい。

 次は人文学部の大河内 昌さんお願いします。

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