楽しいと思うこと

工学部 香田 智則(統計物理学,応用物性)

 子供と遊んでいると,私が楽しいと思わないことでも,子供は楽しいと思う場合が,沢山あることに気がつきます.楽しいと思うことの種類や数は,その時々で変動していると思われます.物事を良い方向に導くには,楽しいと思うことがとても大切です.無条件に楽しいこともありますが,多くの物事の中には,楽しくないと思い始めると,楽しくなってしまうこともあります.極めて主観的な問題です.どういう訳か,「楽しいことの実体」を議論し始めると楽しくなくなってきたりします.大学で勉強するだけでなく,バイトをしたり,映画を観たり,テレビを観たり,ゲームをしたり,旅行をしたり,ぼーっとしたり,そういったことをすることも,楽しいと感じる心の下地を作る上で大切なことだと思います.皆さんは,自分はこれをしているとき楽しい,ということを幾つくらい挙げられるでしょうか.

 試験を楽しいと思う人がどれくらい居るのか分かりませんが,私の場合,入学試験,定期試験など,試験と名が付くもので楽しかったものはない気がします.得意な問題が出て,解いている時は楽しいのですが,試験の前は嫌なものです.これは何故なのでしょうか.試験の成績が悪かった場合のペナルティ,すなわち,進学できないことや,入学できないことが重いからでしょうか.

 授業改善と何の関係があるのでしょう.分かりやすくて良い授業を成立させるためには,受け手に楽しいと思ってもらうことが強力な助けになります.楽しいと思ってもらうためには,受け手にある程度の余裕と,楽しいと思う心の力が必要だと思います.私の授業は,まだまだ,「楽しい」という領域には達していないと思います.試験も有りますし,理解するのに努力を要する内容も有ります.そういった試練を,学問への興味を求心力にして,ある種の「楽しい」といった感覚で乗りきること,それは社会に出て生き抜いて行く上でも大切なことだと思います.そういったことの大切さが分かってもらえるような授業を目指したいと思っています.

 次は人文学部の砂田 洋志さんお願いします。

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