教養教育:1つの問題提起

理学部 井町 昌弘(素粒子論)

 山形大学では教養教育は「自由開講・自由聴講」を原則としている・・・これは大学新入生をミスリードしている。

・入試に苦労して山形大学に入ってきた学生を育てるにはこの原則のみでは十分でない。新入生のエネルギーを引き出し鍛えることをあわせ実行することが必要である。現状は基本的にどのように学生を育てるかの方針が不明確であり、基礎力獲得のためのトレーニングが欠如している。

・この状況を打破するため教養の時間割編成において方針に基づく計画性を取り入れることが必要だ。

・私の専門分野である物理学を例にとると、物理学に関連した理学部・工学部の学生が1年生に在学している期間に組織的に物理学の基礎が鍛えられるシステムとはほど遠い。教員側から見ると、物理とは何かを伝え物理で鍛える教育システムになっていないし、せっかく物理に興味を持って入ってきた学生側から見ても物理にふれることなく1年間を過ごしあとで物足りないと感じるといったことが起こりうるのが現状である。

・有り余る人的資源ではなく年々厳しくなる一方の状況でこのような無計画性は早急に改善する必要がある。

・トレーニングを含む物理学の授業としては40から80名程度の規模の授業が適正ではないかと思うが現状は100名を超える年があるかと思えば20名をきる年もあるといったように年毎に受講数が大幅に変動し適正規模とはほど遠い状況である。現行の時間割編成のシステムは少ない人的資源で有効な教育を行うという課題に対応できていない。

・入学して4年間を過ごし卒業するまでにどれだけ力をつけるかが大学にとって最大の課題であるがこの現状は大いに問題ありといえる。

・授業改善の最大のポイントは「自由開講・自由聴講」に思い切ってメスを入れることではないだろうか。必修科目を今より増やしクラス分けなどを行って計画的時間割編成を行うべきだと思う。

・新学習指導要領で育った学生が平成18年度から入学してくるが、多様な学生にきめ細かい指導を行うためにも適正規模の受講数を実現する時間割編成を計画的に行う必要がある。

 次は医学部の若林 一郎さんお願いします。

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