山大マーク 運営諮問会議
第3回運営諮問会議議事録
平成13年3月29日(木)
11時30分から13時10分まで
山形大学事務局第一会議室
1 開会
2 学長挨拶
3 議事
(1)山形大学のあるべき姿について
(2)国立大学等の独立行政法人化問題に係る文部科学省等の検討状況について
(3)平成13年度予算について
4 閉会出席者
出席者
(会 長) 財団法人山形県企業振興公社プロジェクトマネージャー 水戸部 知 巳
(副会長) 東北芸術工科大学長 會 田 雄 亮
国際コミュニケーションレディースクラブ会長 井 上 みやま
山形県副知事 金 森 義 弘
元山形市教育長 後 藤 和 弘
山形県商工会議所連合会会長 鈴 木 傳四郎
株式会社山形銀行代表取締役会長 三 浦   新

欠席者 山形県医師会長 國 井 一 彦
秋田県立大学長 鈴 木 昭 憲
岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所長 毛 利 秀 雄

列席者 学長 成 澤 郁 夫     人文学部長 ● 木 紘 一
教育学部長 丹 羽 健 市 理学部長 鬼 武 一 夫
医学部長 仙 道 富士郎 工学部長 奥 山 克 郎
農学部長 上 木 勝 司 附属図書館長 近 藤 慈 夫
附属病院長 堀 川 秀 男 事務局長 中 根 孝 司
学生部長 加 藤 静 吾 庶務部長 七五三掛 哲郎
経理部長 中 川 義 明 学生部次長 久 原   勇
庶務課長 山 ● 淳一郎 企画室長 樋 口 敏 昭
施設課長 永 澤 清四郎

1 開 会
水戸部会長から,開会の辞が述べられた。

2 学長挨拶
 成澤学長から,本日の会議に御出席いただいたことに対する謝辞が述べられた後,前回の会議以降における大学の主な状況等について,次のような説明があった。

(1)大学改革について
1)前回説明申し上げた山形大学の将来像については,「山形大学のあるべき姿」を策定すべく大学改革特別委員会に「起草のためのワーキンググループ」を設置して,各学部等における検討結果報告の内容を整理・調整しながら,大学全体としての取りまとめ作業を行っていたが,このたび,成案を得たところである。
2)今後は,本日の当会議において頂戴する御意見を踏まえ,「あるべき姿」の実現に向けて具体的な改革案を策定していきたい。

(2)学寮問題について
1)本学の学寮については,昨年6月以降一時閉鎖の措置を採っていたが,去る2月19日と2月27日の2日間で,山形地方裁判所の執行官による学寮の「明渡断行の仮処分」の執行が行われ,怪我人や逮捕者もなく,無事終了し,学寮が大学の管理下に戻されたところである。現在もなお,明渡請求訴訟の本訴や国家賠償請求訴訟は継続中であるが,大きな山を一つ越したものというふうに考えている。

2)幸いにも,文部科学省からの改修予算についても確保される見通しであり,今後は,できるだけ早い時期に男子,女子及び外国人留学生の混住寮として改修を終え,真に入寮を必要としている学生が快適な寮生活を送れるよう今後とも努力していきたい。

(3)国立大学等の独立行政法人化問題について
1)前回会議では,文部科学省と国立大学協会における検討項目を資料とし,その概要を説明申し上げたが,学内でも特別委員会を月1回のペースで開催し,両機関の検討状況を見据えながら勉強会を行っているところである。
このたび,国立大学協会等の独立行政法人化に対する一つの考え方が示されたので,後ほど説明させていただきたい。
2)去る3月10日(土)に,文部科学省の担当官を招き,独立行政法人化に関する講演会を開催したが,教職員の意識も高く,土曜日にも関わらず160名余りの出席があった。

(4)国際交流の推進について
1)国際交流推進のための取組方策については,当会議から頂戴した意見を踏まえ,現在,大学間交流の締結及び国際交流を中心とした資金確保構想を具体化すべく,関係委員会で検討中である。

(5)自己点検・評価について
1)平成13年8月に大学基準協会の加盟判定審査を受けることとしている一方,大学評価・学位授与機構が実施する「教育サービス面における社会貢献」及び「教養教育」の全学評価を同時期に受けることとなっており,現在,自己評価委員会において,今年度実施してきた自己点検・評価の取りまとめを行っている。

(6)やまがた高等教育懇談会について
1)山形県内の高等教育機関12機関が集まり,県内の高等教育の充実を図るとともに,県民や産業界等との連携を推進・強化し,地域の発展に貢献する目的で,去る2月19日(月)に設立総会を行った。
2)当日は,会則及び役員を決め,会長には成澤山形大学長が,副会長には會田東北芸術工科大学長と小池山形県立保健医療大学長が選出された。
3)今後は,県の関係部課長の列席も得ながら,年2回開催することとし,内1回は県知事の出席もお願いすることとしている。

(7)副学長の設置について
1)本年4月1日付けで副学長2名の設置が認められ,人文学部 沼澤誠教授(主として教育・研究担当)及び理学部 加藤静吾教授(主として学生生活担当)に就任していただくこととなっている。

(8)バーチャル・インスティチュートについて
1)総合大学の特色を活かし,学部間の枠を超え先駆・学際的な自主的共同研究を推進するため,その認定のための学内規則を整備した。
2)これは,施設や人員の措置はされないが,学内で融合的な研究を進めるための1つの形なき姿なき研究所ということで,本年4月から学内募集し研究所の設置を図りたいと考えている。

3 議事
(1)山形大学のあるべき姿について
成澤学長から,資料1に基づき,成案に至った審議経過を踏まえながら「山形大学あるべき姿」全体の概略について説明の後,各委員から,次のような意見等が開陳された。

(○:各委員,●:大学側)
○山形大学の特徴を要約すれば,1つは山形県という地域に根ざした大学であり,各学部が揃った総合大学であること,そして,もう1つはキャンパスが分散している大学であるということができるのではないか。

○報告書には地域密着という表現があり,地方自治体としても地元の大学ということをさらに認識を深め,これまでは県や市町村の審議会等の委員として参加していただいていたが,昨年の4月からスタートした地方分権法を契機に,今後,県から市町村に仕事が移行していくと思われ,是非大学の先生方にもその過程で参画いただき,具体的に指導いただきたい。
 また,自然との共生という点では,県も環境に優しい県土つくりを目指しており,工業技術センターや民間企業も熱心にこの環境問題に取り組んできており,大学で本テーマを意識していただければ県内の各機関・企業にも好影響を与えてもらえるものと期待したい。

○地方との連携に関して,大学はさまざまな人材を輩出するという大きな使命があると思うが,山形大学の今年の就職内定率はどのような状況かを伺いたい。
 また,就職にしてもミスマッチがないようにするためインターンシップ制度も取り上げていると思われるが,一旦就職され,企業を辞められるという事例がどの位あるか質問したい。

●就職率については,本年3月16日現在で,平均85.6%となっており,昨年の同時期の74.2%に比し,11%程上回っているという結果が出ている。なお,就職後の追跡調査については,現在のところまとまったデータはない。

○一般的には,地元の大学に集まる傾向が強い中で,本学の場合は県内出身者が低下傾向にあるという指摘もあったが,高校側でも地元の大学の実態をよくつかんでいないケースもある。情報の問題という点で,県内の高等学校長会との連携をこれまで以上綿密に行って入学者の傾向,学生の傾向などを情報提供してはどうか。
 また,いわゆるAO入試の検討に当たっては,競争を勝ち抜いたという,いわば学生の迫力,気構えがなくなっていくことも心配である。正しい競争原理がなくならないよう入試の厳しい形は譲らないといった姿勢もあっていいのではないか。

○卒業生を受け入れる立場から提言させていただくと,専門的な知識も必要であるが,人間の心の痛みが分かるような人材を育成していただきたい。そのためにも「教養教育」に力を入れていただきたいと考えている。

○大学間の連携が進んでいるということは,あまり県民も地域も理解していないと思われるので地域に開かれた大学をもっとPRしていただきたい。

○大事なのは,大学を卒業し社会に出た時の学生に対する評価だと思う。それが山大の評価につながっていくと思われるので,そこを強調していただきたい。

○大学間の国際交流の推進については,資金面が重要なことを強調し,地域と連携してどんな形でどんな風にその基盤をつくっていくことができるかが今後の我々も含めた課題だと認識している。

○分散キャンパスといえば,従来はマイナスイメージであったが,4つのキャンパス所在地を中心とした地域間の連携,地元高校との連携の具体的な取組みを進めていくことにより,それをメリットとして捉え直していくことを期待したい。山形県も県内4地区に計画立案機能を分散しようとしており,これと呼応して相乗効果を上げるのではないか。
 なお,バーチャル・インスティチュートについて詳しく伺いたい。

●今までは,何人かの研究者が学部を超え共通のテーマを協力して研究を展開するといったことを大学としてオーソライズするシステムがなかった。それを研究所という形で認知しよういうものである。施設設備もないが科学研究費をはじめとする外部資金の獲得についてもグループ単位で行ったり,学外向けに研究所名義の名刺を用いるなどPRできる部分が多々あると期待している。

○学際的な共同研究という点では,米沢にあるVBL施設を見てきたが,卒業論文や修士論文のテーマを外部から募集し,企業化に向けた研究を行っていることなどは,ユニークで画期的な取り組みだと考える。必要は発明の母であるという印象を受けた。

●企業のニーズなり社会のニーズがうまくつかめないことには連携といっても羊頭狗肉に終わるおそれがある。
 卒業論文や修士論文のテーマに置き換えて一緒にやっていけたらというもので,昨年は50数件応募があり,7件をテーマに採択した。その後,1件が共同研究に進行していった。学生にとっても自分の研究が現場の企業で役立つといった励みになると思われる。企業側からも試みをしたこと自体への好感を含め好意的な評価をいただいている。

○こういった試みが,県内の中小企業が大学を訪問する際の敷居を低くする役割を果たしているのではないか。

○この卒業論文等テーマの話題は工学部との関係だが,中央商店街の活性化に関しても人文学部に研究をお願いするといった応用も可能ではないか。大学から活性化の提言をいただければありがたい。

○山形大学の卒業生でベンチャーマートという仕掛けをした方を,勉強会に呼んで若者のニーズを話していただいたが非常に参考になった。今までにないタイプの企画力のある青年が山形大学出身ということで,いいリーダーになりつつあるということで今後に期待している。

●数年前,地域との懇談会を開催した際に商店街の活性化のことが話題となり,それ以降,人文学部でも貢献しようと他県の例の調査・分析も含め,市の中心街の活性化にどういう政策提言ができるか研究している。相互啓発的に,かつ積極的に学術研究を通じた地域との連携をこれから真剣にやっていきたいといった議論をしている。

○例えば県,市,商工会議所が予算化して研究テーマを依頼することは可能か。

●もちろん可能である。このような依頼は,今まで理工系学部が主であったが,21世紀地方の時代といわれる中,我々文系の学部も地域に貢献できればと考えている。窓口として人文学部長が受けることで差し支えない。

○慶応大学のグローバルセキュリティセンターにおいてエイズ問題を研究したプラットホーム構想のように,山形大学が持っている力を横断的に結集して地域社会に貢献していただければありがたい。それには地域のニーズを探ることも大切と思う。地域が行うプロジェクトに大学の力をいかに結びつけるかを検討していただきたい。

○国際化に関して,東北には英語以外の外国語学校がないということで,教養教育として特に中国語,韓国語,ベトナム語といった東南アジア系の言語を教える講座の開設をお願いしたい。

○学部横断研究に関連して,山形県のこれからの最大のプロジェクト候補として最上川の清流化構想があり,山形大学の全学部の協力を得て推進していきたい。

以上のような意見交換等の後,水戸部会長から,本件については,各委員から出された意見を大学として踏まえていただいた上で,当面,この「あるべき姿」に沿った山形大学における改革努力を見守りたい旨発言があり,了承された。

(2)国立大学等の独立行政法人化問題に係る文部科学省等の検討状況について
成澤学長から,本件について,資料2に基づき,現時点における文部科学省及び国立大学協会の検討状況についての概要説明の内,特に,国立大学協会の長尾委員長の試案及び今後の動向について説明があり,種々質疑及び意見交換がなされた。

(3)平成13年度予算について
中根事務局長から,本件について,資料3に基づき,平成13年4月から新設される講座,施設・設備等の紹介を含め平成13年度予算の概要説明があり,次いで,種々質疑及び意見交換がなされた。

これらを受け,水戸部会長から,次のような発言があった。
1)本日の討議内容は,議事要旨として取りまとめ,各委員の了承を得た後,山形大学のホームページに掲載し,大学の内外に公表することとしたい。
2)次回開催日は,5月から6月上旬頃を目途とし,詳細は,後日,大学側から連絡させることとしたい。

4閉 会
水戸部会長から,閉会の辞が述べられ,会議を終了した。

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