山大マーク 運営諮問会議
第6回運営諮問会議議事録
平成14年9月28日(土)
13時00分から15時18分まで
山形国際ホテル
1 開  会
2 学長あいさつ
3会長及び副会長の選出
4議事
(1)国立大学の法人化に係る基本案の策定等について
(2)大学(国立大学)の構造改革の方針への対応について
(3)平成15年度概算要求事項について
(4)その他
5 閉会
出席者
(会 長) 財団法人山形県企業振興公社プロジェクトマネージャー 水戸部 知 巳
(副会長) 前東北芸術工科大学長 會 田 雄 亮
学校法人三島学園理事長
東北生活文化大学・三島学園女子短期大学長 池 上 雄 作
日本学士院会員
ラホイヤアレルギー免疫研究所名誉所長 石 坂 公 成
山形県教育委員会教育長 木 村   宰
山形市行政相談員 今 野 和 子
秋田県立大学長 鈴 木 昭 憲
株式会社山形銀行代表取締役会長 三 浦   新

欠席者 山形県副知事 金 森 義 弘
山形県商工会議所連合会会長 鈴 木 傳四郎

 列席者  学 長 仙 道 富士郎         
副 学 長 沼 澤   誠
副 学 長 鬼 武 一 夫
人文学部長 ● 木 紘 一
教育学部長 石 島 庸 男
理学部長 植 村   治
医学部長 遠 藤 政 夫
工学部長 遠 藤   剛 (代理 東山 禎夫 評議員)
農学部長 佐 々 武 史
附属図書館長 早 川 正 信
附属病院長 嘉 山 孝 正
事務局長 池 田 大 祐
総務部長 若 松 俊 一
経理部長 高 橋 清 夫
学務部長 木 原 英 三
施設部長 上 田 喜一郎
総務課長 鈴 木 成 巳

1 開会
 若松総務部長から,開会の辞の後,会長選出までの進行役を務めさせていただく旨発言があった。

2 学長あいさつ
 仙道学長から,4月に委員を改選したことから,再任及び新任の各委員に対し就任いただいたことへの謝辞があった。
 次いで,仙道学長から,本日の議題が地域に関わる内容であることを踏まえ,公開での開催としたこと及びそれに伴う報道関係者の入室について了承願いたい旨説明があった。

3 会長及び副会長の選出
 若松総務部長から,会長及び副会長各1人については,山形大学運営諮問会議規則第5条に基づき互選により選出する必要がある旨説明の後,諮られた結果,会長には水戸部知巳委員,また副会長には會田雄亮委員が選出された。

4 議事
 議事に先立ち,仙道学長から,大学の概要について参考資料に基づき説明の後,前回の本会議以降における大学の主な状況等について,次のような説明があった。

[1] 工学部の入学者選抜試験における合否判定過誤等について
ア 昨年5月に発覚した本件により,多数の受験生や保護者に対し多大なご迷惑をおかけするとともに,入試制度に対する国民の信頼を著しく損ねたことを本学として真摯に受け止め,社会的信用の早期回復に全学を挙げて取り組んでいるところである。
イ 現時点の状況としては,新たな正規の合格者428人のうち,入学された方が122人,入学を辞退された方が304人及び来年4月に編入学を希望する方が2人となっている。
ウ 新たに入学された学生に対するケアとしては,アドバイザー教官制を導入して学生個々に対する学修上の指導や生活相談を行うとともに,学生相談室を設置して専門カウンセラーによるカウンセリングの実施している。さらに,これらの方々を対象に合宿セミナーを開催し参加学生を上回る教官,先輩学生の参加を得て,今後の学生生活についての話合いを持っている。これらのことは,今後とも継続して卒業まで続ける考えである。

[2]自己点検・評価について
 本年3月に,大学基準協会の正会員への加盟・登録の承認をいただいた。
 また,大学評価・学位授与機構の評価については,平成12年度に着手したテーマの「教育サービス面における社会貢献」の自己評価書に対する評価結果が示され,本学の取組みは,自らが掲げる目的及び目標におおむね貢献している旨の評価を受けた。
 また,平成13年度に着手したテーマの「教養教育」及び「研究活動面における社会との連携及び協力」については自己評価を実施し,本年7月末に大学評価・学位授与機構へ自己評価書を提出したところである。


(1)国立大学の法人化に係る基本案の策定等について
 仙道学長から,国立大学法人制度の概要並びに山形大学における検討体制及び検討状況の概略について,資料1・2・3までに基づき説明があり,次いで種々意見交換がなされた。
 なお,主な意見は次のとおりである。
(○:各委員,●:大学側)

○中期目標・中期計画に関しては文部科学省が査定をするのか。

●中期目標・中期計画は,大学が原案を作成し,文部科学大臣が原案を尊重し,大学の特性に配慮し定めることとなっている。また,文部科学大臣が定める際には,あらかじめ文部科学省に置く国立大学評価委員会(仮称)の意見を聞いた上で認可されることとなっている。

●中期目標・中期計画の期間は,6年を原則としており,6年間の中で評価が行われ,改善点等が指摘されるものと考えており,それらが次の6年間の運営交付金に反映されていくこととなろう。

(2)大学(国立大学)の構造改革の方針への対応について
 仙道学長から,資料4〜10及び追加資料に基づき,大学(国立大学)の構造改革の方針の概略を説明の後,特に教育学部の再編・統合問題についての経緯及び本学の検討状況等について説明があった。
 次いで,教育学部の再編・統合問題に関連して,笠原山形県文化環境部長から,去る8月27日に山形県から提出された「山形大学教育学部の在り方についての提案」について,詳細説明があった。
 引き続き,各委員から,次のような意見等が開陳された。

○特に小学校の教員は,児童の人間形成に影響を与える極めて重要な存在であり,幅広い実績と地域に根ざした教育を行える力を有するべきと考える。
 したがって,養成の段階から地域に目を向け,地域行事に参画し,課題を把握していることが望ましい。
 小学校は,10科目もあり,かつ高度化等をしており,4年間の修業年限では十分であろうかとの懸念がある。三大学で話し合われているが,山形大学は,総合性の点で他の2大学と比べ優位性を主張できると思うので,養成機能だけではない計画養成の学部として存続願いたい。

○基本的に基本理念に異存はないが,実際問題として山形大学からの山形県教員採用者数は12%(13人/111人)ということでは,県としてどの程度大学に期待しているのかわからない。
 宮城教育大学又は福島大学から,山形県が何人を採用しているのかを含め,111人の出身大学内訳のデータがあれば示していただきたい。

○ご質問に叶う資料を持ちあわせていないが,資料6の添付資料3−1の採用者数には,教員養成課程卒業者以外の中学校・高等学校教員の採用者数を含んでおり,小学校教員だけとすれば分母は30〜40人となると思われる。今年度は県の「さんさんプラン」により,分母は70人程度となる予定である。

○採用率が低いことを教育学部教官がどう考え,かつ,解析しているかを伺いたい。福島大学では理科の補習を,宮城教育大学では教員採用試験1次合格者に対し補習をしている。教育学部の自己評価書があればいただきたい。また,5月21日に教授会決定をしたが,その際に,どういう新学部に切り替えようとしているのか資料に書いていないし,新しいものを作るときには目玉となるものが大切であり,アドミッションポリシーのない段階で教授会決定が行われたというのであれば,それはおかしいことである。
 中期目標・中期計画は大学から具体的にどう提出するのか。附属学校をどうするかも伺いたい。在り方懇報告書では,地域との話合いを意識して書いているようだが,教育委員会との連携はいかがか。

○生徒数が減少したことに伴い教員採用数が少なくなったから組織を集約するというが,民間的発想からいえば,そうして上手くいくのは量産する場合であり,教員養成は,小さい組織できめの細かい指導が必要と思う。商売はニーズがあって成り立つが,子供が少なくなったとはいえ,教育に寄せる期待は大きいし,リカレント教育等他のニーズが発生していると思われ,少子化という観点だけでは捉えきれないのではないか。
 教育学部をどのように改組していくのか,大学の展望を聞かせてていただかないと再編の是非は判断できない。

○現状を上手く照らして考えられれば,大学として展望が開けるもので,地域の教育学部に対する期待はよくわかるが,採用率は何を意味するのか,数字に反映されていないと思う。今は,教育学部に特化しているが,大学としての問題があるのではないかと想像する。地元と連携してより広く情報交換を行い妥結点を見い出していただければと思う。

○これまで県民が大学に関心を寄せたことはなかったのではないか。教育学部はあって当たり前と思っていたのではなかろうか。大学としては突如として担当校を断念したものではなく種々検討した結果であると伺っている。教育学部がどういうビジョンをもってやってきたのかがはっきり見えてこない。地域の熱い思いに関しては,大学でも予想してなかったのではないか。教育に係る今後の大学のビジョンは明確ではないが,県民の熱い思いを汲みながら教育学部として存続いただければ良いのではないかと考える。

○山形県はどんな教員を望んでいるのか,山形大学から教員を採用できるのか,教育学部の必要性がはっきりしない。山形県の考えは「大教養人」を作るということであるが,小・中学校教員については,心の温かい豊かな人間が必要だと思う。高校の場合はそれと異なると思うが,東北芸術工科大学でも教職課程を整備すると多くの人員配置が必要であり大変であった。ついては,地域性をわきまえた教員だけではなく,逆にバラエティに富んだ人材等幅広く人材を求めた方が良いのではないか。 大学として何を特色にしていくかが重要であり,教育学部は存続した方が望ましいでしょうが,先に設置した「やまがた高等教育懇談会」のようなコンソーシアムを基に県内の高等教育機関の交流を深める手だてをするなど広い視野で考えていくことが必要ではないか。

○県の提案の「地域性」については,三県の定員535人の関係となると他県からみれば地域性に欠けてしまうということにならないのか。

○山形県は,綴り方教育,僻地の複式教育,少人数学級の導入など,地域における行政施策に優れていると考えている。

○現在の教育学部のままで存続する意見は少なく,内容を大幅に変える必要があると思う意見が多かったが,大学としてはいかがか。

●在り方懇報告書では対応すべき多くの課題があり,特に,情報教育,環境教育等新しい課題に応えていくには教員数が足りない。また,学生定員についても一地域で解決できない問題である。

●大学のビジョンが見えないという御指摘を多くいただいたが,現在,平成13年度に作成した「山形大学のあるべき姿」を基に大学の計画を具体化する作業を行っている。一方,法人化に伴う編成や基本構想と併せ検討しているところである。
 私見として概念的に申し上げれば,教育で人間性のある人材を育成するのが必要であると考える。教養教育を重視した人間教育を行おうと考えているとともに,地域社会のニーズに応える実学を行っていきたいと考えている。
 教育学部の決定については,近隣の大学と話し合いながら自主・自律的に決めていくこと が良いと判断し早い段階で検討に入った末の結果である。

○教育学部にもインターンのようなものがあっても良いと思うし,山形大学は総合大学であることから,色々な学部の先生が協力してスケールの大きなものに組み換えて新学部とすべきであり,説得力のある学部構想の理念がなければ実現が難しく県民の了解も得ることはできないのではないか。

●個人的には,教育学部を中心として,地域貢献型となろうと考えており,その内容は,[1]教員養成機能,[2]就職は難しいこともあろうが,山形の地で働ける人材を育て,スポーツ,芸術等の地域文化に貢献し,?地域の行政に携わる,それらを総合して山形の地を発展させていくような学部を考えている。

○その考えは,学内や県・市等で,ある程度調整しているものか。

●まだしていない。県の提案も十分に参考にしながら,新しいもののファクターとして検討し,一つの案にまとめられたらと考えている。

○「山形大学のあるべき姿」には特徴がない。新しく学部をつくるものがあれば特徴が必要であり,特徴を出すことを考えていただきたい。

● 学部構想については,学内に対して,どういう考えで,どの方向でいくかも話していない状況であり,ただいまの学長のちょっと踏み込んだ発言を訂正したい。学内に周知し,ある程度の了解を得た後に正式に説明したいので,今しばらくの時間をいただきたい。

○本日の各委員の意見を参考にしていただき,大学において責任のある検討を行い案を示していただきたい。

(3)平成15年度概算要求事項について
仙道学長から,資料11に基づき,概算要求事項の内容について説明があった。

(4)その他
木村委員から,おおむね次のような発言があった。
[1]高等学校と大学の接続について
AO入試の導入や専門高校からの推薦枠の拡大とともに,高校生を対象とした講座の開設や教養教育科目の受講を可とすることなど,円滑な接続を検討いただきたい。

[2]地域貢献について
 「さんさんプラン」の理論化に協力いただくなど,地域連携を更に密にし,また,教官も学生も街づくりへの参画など目に見える地域貢献にご努力願うとともに,地域連携のパイプをもっと太くしていただきたい。

 次いで,関連して會田委員から,おおむね次のような発言があった。

[3]山形は,文化がもっとも重要であり,県全体で統一して考えていく必要がある。高等学校との交流は大事であり,大学教育との格差を埋める必要性を感じている。海外と比べれば3年遅れている。県内各大学が一緒になって考えていくべきである。


 これらを受け,水戸部会長から,本日の討議内容は,議事要旨として取りまとめ,各委員の了承を得た後,山形大学のホームページに掲載し,大学の内外に公表することとしたい旨発言があった。


5閉会
 水戸部会長から,閉会の辞が述べられ,会議を終了した。

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