○山形大学の研究活動における行動規範に関する細則

平成18年10月18日

(目的)

第1条 この細則は,山形大学の研究活動における行動規範に関する規程(以下「規程」という。)第41条第2項の規定に基づき,規程の実施について必要な事項を定める。

(一時的措置)

第2条 学長は,研究関係業務を担当する副学長(以下「副学長」という。)から告発の受理決定の報告を受けた後,副学長から調査委員会の調査結果の報告を受けるまでの間,告発された研究に係る研究費の支出を停止することができる。

(証拠の保全措置)

第3条 学長は,調査を行うに当たって,告発に係る研究に関し,証拠となるような資料等の保全措置をとる。

2 学長は,前項の措置に影響しない範囲内において,被告発者の研究活動を制限しない措置をとることができる。

3 学長は,前2項の措置をとる場合には,事前に被告発者が配置(教員にあっては,山形大学学術研究院規程第8条第1項に基づく主担当教員としての配置,その他の研究者にあっては所属をいう。以下同じ。)されている部局の長の承諾を得ることとする。

(調査経過の報告)

第4条 学長は,必要に応じ,調査終了前であっても,調査の調査経過を当該資金配分機関に提出することができる。

(研究又は技術上の情報の保護)

第5条 学長は,調査に当たっては,調査対象における公表前のデータ,論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が,調査の遂行上必要な範囲外に漏えいすることのないよう十分配慮する。

(特定不正行為の疑惑への説明責任)

第6条 被告発者は,調査において告発に係る疑惑を晴らそうとする場合には,自己の責任において,当該研究が科学的に適正な方法と手続きに則って行われたこと,論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを,科学的根拠を示して説明しなければならない。

2 前項の説明において,生データや実験・観察ノート,実験試料・試薬等の不存在など,本来存在するべき基本的な要素の不足により証拠を示せない場合は特定不正行為とみなされる。ただし,被告発者が善良な管理者の注意義務を履行していたにもかかわらず,その責によらない理由により,前述の基本的な要素を十分に示すことができなくなった場合等正当な理由があると認められる場合はこの限りでない。また,生データや実験・観察ノート,実験試料・試薬などの不存在が,各研究分野の特性に応じた合理的な保存期間や被告発者が配置されている部局が定める保存期間を超えることによるものである場合についても同様とする。

3 第1項の説明責任の程度及び第2項の本来存在するべき基本的な要素については,研究分野の特性に応じ,調査委員会の判断に委ねる。

(特定不正行為か否かの取扱い)

第7条 調査委員会は,規程第27条第10項第1号に規定する特定不正行為が行われたか否かの判断を行う場合,前条第1項による説明のほか,調査によって得られた,物的・科学的証拠,証言,被告発者の自認等の諸証拠を総合的に判断して行う。なお,被告発者の自認を唯一の証拠として特定不正行為が行われたと判断することはできない。

2 被告発者の説明及びその他の証拠によって,特定不正行為であるとの疑いが覆されないときは,特定不正行為が行われたと判断される。また,被告発者が生データや実験・観察ノート,実験試料・試薬の不存在など,本来存在するべき基本的な要素の不足により,特定不正行為であるとの疑いを覆すに足りる証拠を示せない場合も同様とする。

(認定の通知)

第8条 規程第30条第1項に定める文書の通知を行う際に,これを受けるべき者の所在を知ることができない場合は,その内容を民法(明治29年法律第89号)第98条第2項に定める方法によって公示することにより意志表示を行い,同条第3項の規定により,公示された日から2週間を経過したときに文書の通知があったものとみなす。

2 学長は,規程第30条第1項第3号の規定に基づき資金配分機関及び関係府省庁に通知する場合,告発がなされる前に取り下げられた論文等に係る調査で,特定不正行為が行われたとの認定を行った場合は,取り下げなど研究者が自ら行った善後措置や,その措置をとるに至った経緯・事情等をこれに付す(規程第30条第1項第2号ただし書の場合も同様とする。)

(不服申立て期間)

第9条 規程第31条第1項に定める不服申立て期間は,規程第30条第1項に定める文書(被告発者の不服申立ての審査の段階で悪意に基づく告発と認定された者については,第13条第1項に定める文書)の通知を受けた日又は前条第1項に定める文書の通知があったものとみなされる日の翌日から起算して14日以内とする。

(被告発者からの不服申立て)

第10条 学長は,特定不正行為が行われたと認定された被告発者(被告発者以外で特定不正行為に関与したと認定された者を含む。以下同じ。)から特定不正行為の認定に係る不服申立てがあった場合は,副学長,調査委員会,関係部局長及び告発者に通知するとともに配分機関及び関係府省庁に報告する。

2 副学長は,不服申立ての趣旨が新たに専門性を要する判断が必要となるものである場合には,関係部局長と協議の上,調査委員会委員の交代若しくは追加,又は調査委員会に代えて他の者に審査をさせる。ただし,副学長が当該不服申立てについて調査委員会の構成の変更等を必要とする相当の理由がないと認めるときは,この限りでない。

3 調査委員会(前項による調査委員会に代わる者を含む。以下,同じ。)は,特定不正行為があったと認定された場合にかかる被告発者による不服申立てについて,第1項の通知を受け,不服申立ての趣旨,理由等を勘案し,当該事案の再調査を行うか否かを速やかに決定し,副学長に報告し,副学長は,当該報告内容を学長へ報告する。

4 学長は,前項の報告を受け不服申立てに係る再調査開始の決定を行った場合には,副学長,調査委員会,関係部局長,被告発者及び告発者に通知するとともに資金配分機関及び関係府省庁に報告する。

5 学長は,第3項の報告を受け不服申立ての却下を決定した場合には,副学長,調査委員会,関係部局長,被告発者及び告発者に通知するとともに資金配分機関及び関係府省庁に報告する。この場合,学長は,当該不服申立てが当該事案の引き伸ばしや認定に伴う各措置の先送りを主な目的とすると調査委員会が判断するときは,以後の不服申立てを受け付けないことができる。

6 調査委員会は,第4項の通知を受け被告発者に対し,先の調査結果を覆すに足る資料の提出等,当該事案の速やかな解決に向けて,再調査に協力することを求める。また,その協力が得られない場合には,再調査を行わず,審査を打ち切る旨を通知する。再調査を打ち切った場合には直ちに副学長に報告し,副学長は,学長に報告する。

7 学長は,前項の報告を受け再調査の打ち切りを決定した場合には,その旨を副学長,調査委員会,関係部局長,被告発者及び告発者に通知するとともに資金配分機関及び関係府省庁に報告する。

8 調査委員会は,再調査の開始後,50日以内に先の調査結果を覆すか否かを決定し,再調査結果を副学長に報告し,副学長は,当該報告内容を学長に報告する。

(告発者からの不服申立て)

第11条 学長は,告発が悪意に基づくものと認定された告発者(被告発者の不服申立ての審査の段階で悪意に基づく告発と認定された者を含む。以下同じ。)から不服申立てがあった場合は,副学長,調査委員会,関係部局長,告発者が所属する機関及び被告発者に通知するとともに資金配分機関及び関係府省庁に報告する。

2 副学長は,不服申立ての趣旨が新たに専門性を要する判断が必要となるものである場合には,関係部局長と協議の上,調査委員会委員の交代若しくは追加,又は調査委員会に代えて他の者に審査をさせる。ただし,副学長が当該不服申立てについて調査委員会の構成の変更等を必要とする相当の理由がないと認めるときは,この限りでない。

3 調査委員会は,第1項の通知を受け30日以内に再調査を行い,再調査結果を副学長に報告し,副学長は,当該報告内容を学長へ報告する。

(不服申立てに関わる認定)

第12条 学長は,第10条第8項又は前条第3項による再調査結果の報告を受け,役員会で審議した後,不服申立てに関わる認定を行う。

(不服申立てに関わる認定の通知)

第13条 学長は,前条の規定に基づき,特定不正行為が行われたと認定された被告発者からの不服申立てに関わる認定を行った場合は,その旨を被告発者,被告発者が本学の職員でない場合には被告発者が所属する機関及び告発者に文書で通知する。加えて資金配分機関及び関係府省庁に報告する。

2 学長は,前条の規定に基づき,告発が悪意に基づくものと認定された告発者からの不服申立てに関わる認定を行った場合は,その旨を告発者,告発者が所属する機関及び被告発者に文書で通知する。加えて資金配分機関及び関係府省庁に報告する。

3 前2項の文書の通知を行う際に,これを受けるべき者の所在を知ることができない場合は,その内容を民法第98条第2項に定める方法によって公示することにより意志表示を行い,同条第3項の規定により,公示された日から2週間を経過したときに文書の通知があったものとみなす。

4 学長は,不服申立てに関わる認定を行った場合は,経営協議会へ報告する。

(部局長への通知)

第14条 学長は,第12条による不服申立てに関わる認定を行った場合は,速やかにその旨を関係部局長に通知する。

(調査資料の提出等)

第15条 学長は,資金配分機関から当該事案に係る資料の提出又は閲覧を求められた場合,調査に支障がある等,正当な事由がある場合には,これを拒むことができる。

(特定不正行為は行われなかったと認定を行った場合の措置)

第16条 学長は,特定不正行為は行われなかったと認定を行った場合には,当該事案において特定不正行為が行われなかった旨を調査関係者に対して周知する。また,当該事案が調査関係者以外に漏えいしている場合には,調査関係者以外にも周知するなど,特定不正行為を行わなかったと認定された者の名誉を回復する措置及び不利益が生じないための措置を講ずる。

2 学長は,特定不正行為は行われなかったと認定を行った場合には,調査に際してとった第2条に定める一時的措置及び第3条に定める証拠の保全措置を解除する。

(その他)

第17条 この細則に定めるもののほか,この細則の実施に関し必要な事項は,教育研究評議会の議を経て,学長が定める。

この細則は,平成18年10月18日から施行する。

この細則は,平成20年4月1日から施行する。

(平成23年4月1日細則第17号)

この細則は,平成23年4月1日から施行する。

(平成25年7月10日)

この細則は,平成25年7月10日から施行する。

(平成27年3月11日)

1 この細則は,平成27年4月1日から施行する。

2 この細則の施行前に告発があった事案への対応については,なお従前の例による。

(平成28年3月9日)

この細則は,平成28年4月1日から施行する。

山形大学の研究活動における行動規範に関する細則

平成18年10月18日 種別なし

(平成28年4月1日施行)