山形大学校友会
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  山形大学で得たもの

             大倉 友也さん   (福島県福島市出身)
                 H27.3 大学院理工学研究科物質化学工学専攻 修了
                 現在: 保土谷化学工業株式会社 郡山工場 開発部
  
〈学生生活について〉
  私にとって山形大学での6年間は一生の思い出であり、人として成長できた期間だと思います。大学時代はお金は無いが、時間はあるとよく言いますが本当にその通りだと思います。そのため大学時代はいろんな事に挑戦し、いろんな事を考えることができる貴重な期間です。私自身大学時代はいろんな事を考え、自分なりに挑戦もしたつもりです。

  また、今まで以上にいろんな人と出会える時期だと思います。私は大学時代になんでも悩みを話せる友人達(親友)と人生の恩師に出会いました。親友と出会ったのは私が大学で始めたフットサルがきっかけです。偶々一緒にフットサルをしたのを機に気づいたら頻繁に遊びに行き、“宅飲み”をするようになっていました(不思議なもので)。学生時代はいろんな悩みを聞いてもらったり、聞いてあげたりしていました。最近はみんな勤務地がバラバラなので集まれていませんが、偶にテレビ電話で近況報告をしています。なんでも話せる友人は社会人になるとなかなか出会えないと思います。皆さんも学生時代に気の合う、なんでも話せる友人を作ってください。

  恩師である大場好弘先生と出会ったのは研究室に配属になった時です。私が大場先生の研究室を選んだ理由は私が研究したいと思っていた有機半導体材料の合成ができるということと大場先生から研究の事以外も学ぶことができるのではないかと思ったからです(直感ですが)。いざ研究室生活が始まると大場先生は多忙ゆえに研究室に来るのは良くて1日1回、来ない時は1週間大場先生を見ないという時もありました。学部4年生の時は研究が思うように進まないのに大場先生に相談することができない状況で非常に苦戦していました。偶に研究の相談をする時間があってもアドバイスはしてくれるものの決して答えは教えてくれませんでした。学部4年生の時はなぜ答えを教えてくれないのだろうと思う時もありました。

  しかし、今思うと大場研究室でのこの経験が社会人になって非常に役に立っています。企業での研究開発はテーマや事業の方向性については上司の指示があるもののどのようにテーマに取り組んでいくかは自分で考えなくてはいけません(結構放任です)。つまり自分で考え、自分で行動する主体性が大切です。今思うとわざと答えを与えずに自分で考えるようにしていたのだと思います。研究室での3年間受動的ではなく主体的に研究をさせて頂いたことに感謝しています。また、研究以外の事でもいろんな事を学ばせて頂いたり、貴重なアドバイスもして頂き大変感謝しています。

〈現在の仕事について〉
  現在、私は郡山工場の開発部で製造の技術フォローや新製品の製造検討等を行っています。大学の研究室で行っていた実験と違いスケールが大きく、収率や品質が非常に大切なので大学の研究とは違う難しさがあります。ただ大学の研究も企業の研究・開発も共通していることがあります。それはどんな時もベースは「化学」であるということです。

  大学時代によく大場先生から「なぜそのような現象が起きるのか化学的根拠を見つけなさい」と言われていました。この言葉が現在の仕事にとても役立っています。ラボスケールから実機スケールにスケールアップをするとラボでは起きなかった事が実機で起きます。その時に大切になるのが化学的に考えるということです。長年、同じ分野の製造現場や開発部にいる人は過去の経験から原因を追究しようとします。そうすると起きている現象の本当の原因がわからず問題を解決できなくなります。

  私が皆さんにお伝えしたい事は自分が現在学んでいる分野の基礎をしっかり身に着けることがとても大切であるということです。よく社会人の先輩から大学で学んだ事は社会に出てまったく役に立たないと言う方がいます。これは間違いだと私は思います。大学で学んだ事が役に立たないのではなく、生かすことができていないだけです。大学で学んだ事を社会人になって生かせるように頑張って頂きたいです。


会社の人達と猪苗代マラソンに出場した時の集合写真
(前列右から3番目が本人)
〈将来への抱負〉
  私が大学ではなく企業人として化学の道を進んだのには理由があります。それは化学の力で今は無い新しい製品、新しい事業を創出したいと思ったからです。この目標は社会人になった現在も変わりません。私の勤めている保土谷化学工業は有機合成技術を生かし様々な分野の材料を製造しています。当社のような化学メーカーは既存の製品ばかりに目を向けて品質改良やコストダウンしか行わないといずれ海外メーカーと価格競争になり収益が減少して行きます。既存製品の課題を改善していくことは非常に大切なことだと思います。

  しかし、これからの化学メーカーは如何に「化学のちから」を使って新しい製品或いは新しい事業を生み出していくかが大事になっていくと私は考えています。そして新しい製品、新しい事業を創出し続けられる企業は成長し続けられる企業だと私は思います。当社がそのような化学メーカーになれるように私自身新しい製品、新しい事業を創出し続けられる技術者になることが現在の目標です。