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トップ > 卒業生のひろば > 卒業生からの寄稿コーナー
「これからのみんなに」 |
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大谷 元さん (神奈川県横浜市出身) H7.3 農学部生物生産学科 卒業 現在: 特許業務法人きさ特許商標事務所 弁理士 私は「弁理士」であります。 一応サムライ業の一つであります。 しかも、意外と難関な資格でもあります。 学生の皆さん、「弁理士」って知っていますか? 知らない人の方が多いかと思います。 私自身、学生時代に「弁理士」なんて知りませんでしたから。 現時点において「弁理士」という資格を知っているかどうかは別として、こんな私でも何とかやっているってことを、皆さんに少しでも理解してもらえればいいかなって思います。 「弁理士」を簡単に言うと、知的財産に関するプロフェッショナルであります。 知的財産を簡単に言うと、物や不動産のように形として存在する財産ではなく、特許や著作権のように人間の知的創作の一貫として存在する財産であります。 何で私が「弁理士」になったかということをお話します。 私が大学に入学した頃は世間的にはバブルで、世の中はかなり浮かれているような時代でした。しかしながら、バブルは長く続きませんでした。 私が大学3年の時にバブルがはじけました。 すると、一気に就職氷河期になっていきました。 まして、私は、大学4年生の時の担当教官とあまりいい関係性を築けておらず、就職及び進学を含めて、担当教官と将来的な話しをしたことがありませんでした。 しかも、世間をかなり甘く見ていたため、将来なんてどうにでもなるってくらいにしか考えておりませんでした。 そのため、就職先も決まらず、進学もすることなく、大学を卒業することになってしまいました。 焦りや不安などよりも、ワクワクするような気持ちの方が大きかったと思います。 今振り返ってみれば、なんと恐ろしいことをしてきたんだろうって思います。 若さは武器にもなりますが、若さは無謀でもあるってことですね。 大学を卒業して2、3年経った頃、子ども達と関われる仕事をしたいという気持ちが湧いてきました。 そこで、学習塾に就職することにしました。 世間的には少子化が進行していると話題になり始めた頃でもあります。 そんな時ふと立ち寄ったコンビニで「稼げる資格」のようなタイトルの雑誌を発見しました。 特に興味があったということではありませんが、何となく手にとって、中を見てみました。 そこで始めて「弁理士」というキーワードが目に飛び込んできました。 ただ、このときはまだ「弁理士」になろうっていう気持ちではありませんでした。 学習塾に勤めるようになったときから結婚を考えるようになりました。 また、将来性を考慮した結果、情報通信系の会社に転職しました。 最初のうちは仕事を覚えるので一生懸命だったのですが、仕事を覚えてくると、このままこの会社の会社員だったらどうなるのかっていうことが気になり始めました。 このあたりから、定年のない仕事、つまり資格を持つということを考えるようになりました。 そこで、「弁理士」という資格を詳しく調べ始め、チャレンジすることにしました。 「弁理士」の試験には、知的財産に関する法律の試験の他に、理系の知識を問う選択試験があります。 「弁理士」になってみて、発明の多くは物理に関するものであります。 しかし、農学部出身ということからも容易に理解できるかと思いますが、私は物理が大嫌いです。 そのため、選択試験では、生物、化学を選ぶことにしました。 この選択試験に足を引っ張られ、合格まで時間がかかってしまいました。 大学時代に遊び回っていたことのツケでしょう。 まあ何とか諦めずに、資格を取得することができました。 今は、特許事務所に勤務しながら、書類作成の日々を送っています。 簡単に言うと、企業から提案される新しい技術(いわゆる発明)を、文章で表現するということを毎日行っております。 学生時代から将来的なビジョンを何も持っておらず、何がやりたいのかということをずっと模索してきた結果、やっと「弁理士」という資格に到達したわけです。 ただし、資格をとったことがゴールではなく、資格をどのように活用していくかということを考え、実践していくことが、これからの私の課題だと思っております。 次に、在学中の私の反省点についてお話します。 私の反省点は、在学中、大人達の話を真剣に聞かなかったということです。 社会と大人を正直なめていました。 そのため、大人達の話を聞かなくても、自分で何でもできるって考えていました。 しかし、大人達の話を真剣に聞いていれば、もっと早くに自分の進路が決定していたかもしれません。 なんでもっと真剣に大人の話を聞かなかったのか、本当に反省しております。 また、大人達の話を真剣に聞いていれば、もっと視野が広がっていたかもしれません。 卒業後から現在に至るまで私のもう1つ反省点についてお話します。 それは、 1つ目の反省があるにも関わらず、自分の生意気な経験を自分よりも若い世代に伝えてこなかったということです。 若い世代の中には、私の在学中のような考えで行動している人達もいるかもしれません。 しかし、私は、積極的に、若い人達に伝えるという努力をしてきませんでした。 もっと積極的に若い世代と関わりをもっていれば、私のことを反面教師とするなど、役に立てたかもしれません。 この点についても、本当に反省しております。 このような反省を教訓とし、現在の私は、積極的に大人達及び若い世代と関わりを持とうと思っております。 特に、皆さんのように若い人達には、将来のことを真剣に考えて欲しい、必要な情報、知識を取り入れることができるようになって欲しい、そして、かっこいい大人になって欲しいと思います。 最後に、皆さんの先輩としてお話します。 皆さんには、身近にいる大人達の話をたくさん聞いて欲しいと思います。 もちろん身近にいる大人達に限定するものではありません。 気になる大人達の話を聞いてください。 大人達は、積極的に自分から若い世代に近寄ることをしないかもしれませんが、若い世代からの接近を拒みませんし、自分たちの話をすることを嫌がりません。 どんな人にも、それぞれの歴史があり、それぞれの重みがあります。 参考になることは少なくないはずです。 他人の経験を聞くだけで、自分の経験値が少しだけでも上がります。 そして、これからの世界の担い手として、様々な経験を積み、人間としての幅を広げ、他人に優しく、思いやりのある大人になって欲しいと切に願います。 結局のところ、人の魅力は、人それぞれの人間力であると思います。 この人間力をそれぞれの感性で磨いて欲しいのです。 私は、両親を含め、いろいろな人に迷惑、心配をかけて、今に至りますが、何とかやっています。 たしかに時代の変化、技術の変化、世界情勢の変化等、自分だけではどうにもならない問題が山盛りですが、皆さんには、自分のことを信じて、自分のことを裏切らないで、自分のことを好きになって、日々の生活を過ごして欲しいと思います。 「弁理士」という資格を取得できたのも、自分に対して正直であったからだと思います。 学生の皆さんはまだ若く、可能性に充ち満ちています。 資格はきっかけの1つに過ぎません。 資格を取得するかどうかということで人間力が上がったり下がったりするものではありませんが、自分に自信をつけるためにも、何か武器になるものを身につけるということもありかなと思います。 「弁理士」に興味のある人は積極的に連絡して欲しいと思います。 最後まで、お読みいただきありがとうございました。 なお、これからの時代、英語は必須なものとして考えておいた方がよいかと思います。
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