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スイス バーゼル大学で博士号 (Ph.D.) を取る選択

    大学院理工学研究科博士前期課程 2年
                宮腰 建さん ( 栃木県さくら市出身 )


バーゼル大化学科のそばを流れるライン川

山形大学への入学動機とこれまでの学生生活
 私は、現在大学院理工学研究科バイオ化学工学専攻生物有機化学分野今野博行研究室に所属し、「新規反応の開発と天然物の全合成」の研究を行っています。

 私が山形大学の門を潜ったのは2013年の春でした。霞城公園の満開の桜の下でこれから始まる大学生活に胸躍らせたのを覚えています。私が山大工学部に入学したのは何を隠そう第一、第二志望の大学に落ち絶望していた自分を山形大学が拾ってくれたからです。某動画サイトでバイオ化学工学科(現:化学・バイオ工学科)の存在を知り研究内容に興味を持ったため受験しました。高校では部活中心の生活だったため大学では学問に浸ろうと入学当時からサークルには所属しませんでした(3年次に国際交流系のサークルに籍は置きましたが)。
 その代わり、時間のある学部3年までに様々な経験をしようと決めました。特に大学にお世話になったのは2年次のSummer program, カナダへの短期語学留学、3年次の台湾への短期研修、ラトビアでの学生大使でした。これらの経験はその後の私の進路に大きな影響を与えました。

 4年次には元々薬学部志望だったこともあり生物有機化学を用いた面白い研究がしたいと現在の研究室に所属しました。研究はトライ&エラーの連続で特に有機化学系の研究室だと深夜まで実験が続くため向かない人にはとことん向きませんが、私は“M気”があるのか思い通りに分子変換してくれない化合物が可愛くて仕方ありませんでした(笑)。 エラー続きの実験から新規反応を見出せた時分析装置の前でガッツポーズしたのは恥ずかしい思い出です…。

なぜバーゼル大学(スイス)を選んだのか、何をしたいのか
 簡単です。それが自分にとって険しい道だと考えたからです。私は何かを選択する時自分にとって険しい方を選ぶと決めています。なぜなら今の自分が大変そう、険しいと思う事を乗り越えた時身についている何かは馬鹿でかい物だからです。実際出願から受験、合格に至るまで精神的、時間的に困難なことが多々ありましたが乗り越えたことで一年前とは比べものにならないくらい成長できたと思いますし、これからどんな未知の自分になれるか本当に楽しみです。

 バーゼル大学を選んだのは名門大学ですし何より興味のあるラボがあったためです。海外の大学ではPh.D.の学生は教授と雇用契約を結び給料が支払われます。大体私の初任給は高物価も要因ですが一般的な日本企業の初任給の2~3倍支払われるので(もちろん昇給します)自立した研究生活を送りたい学生には非常に良い環境だと思います。向こうでの研究生活の間に医農薬品分野に革新を起こす反応開発をしたいですね。
 またラボには中国人、スイス人、フランス人がおりバーゼルはドイツ語圏なので英語のほかに中国語、ドイツ語、フランス語も習得するつもりです。さらに働き方先進国での生活は日本人に適したこれからの働き方を考案できる良い機会だと考えています。将来は世界中の研究者と関わりながら最高な技術と化合物を人類に提供できる研究者になります。

後輩学生に一言

 私は大多数の方々と少し違う道を進んだだけなので偉そうなことは言えませんが、後輩学生に一言書けとありましたので次の言葉を送りたいと思います。
Life is either a daring adventure or nothing.
(人生は果敢な冒険か、つまらぬ日々のどちらかだ。)
ヘレン・ケラーの言葉です。
 皆さんはまだ若くてピッチピチで、自分さえも知らない可能性を秘めています。踏み出したかったら何も考えずにやっちゃってください。後悔は後でも間に合います。でもやらなかった後悔は一生付きまといます。ぜひ様々なことに挑戦して味のある人間になっていただけたらと思います。私も一層精進します。

 最後になりましたが寄稿文のご依頼をいただいた山形大学校友会事務局の皆様へ感謝申し上げるとともにこのような拙文をご覧戴きました皆様に御礼申し上げます。

                                    

ラトビアの薬学博物館で(筆者)


研究室での実験風景