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医学部  小松 美華子

日本国外の医療を見て

 この度はこのような機会を与えてくださって、ありがとうございました。
 図らずもオリンピック開催中にイギリスへ行くこととなり、結果として世界中の人々で賑やかな状態のロンドンに滞在することができました。病院内見学は個人情報保護の問題で叶いませんでしたが、いくつかの病院のエントランスは見せていただくことが出来ました。日本の病院よりも受付が小規模で、標示なども少なく感じ、これでは一人で初来院した時に戸惑うのではないかと思われました。また、お祭り騒ぎのせいか救急車をよく目撃しましたが、一般車の救急車優先度は日本と同等でした。
 ロンドン中心部には多くの医療系博物館があるということで、ゾーン1~2内にある5つの博物館を見学しました。特に印象に残ったのはハンテリアン博物館の解剖の標本展示のうち、骨の異常をきたしたものです。前期に学習した水頭症や巨人症、末端肥大症の患者の骨が展示してあり、いまいち想像がつかないでいた病態を理解することが出来ました。学習したことを実際に思い出せたことも嬉しく感じました。
 また、滞在中に偶然、テレビニュースで「Black Wednesday」について報道されていました。毎年8月1日から全国の医学部の卒業生が現場で働き始めるために、患者の死亡率が上昇している、そのための対策が必要だという内容でした。ニュースでの死亡率の上昇が誇張されているように感じられたので、ナイチンゲール博物館の職員の方々にお聞きした所、ブラックウェンズデイという言葉自体聞いたことがないと言われました。親切にもネットで調べてくださり、「経験の浅い医師が一度に働き始めるから、死亡率があがるというのでしょう。今日は病院見学には向いていませんでしたね」と冗談めかして教えてくださいました。職員の方の口ぶりから、イギリスでもマスコミの言う医療と実際の医療とは乖離しがちなのだと感ぜられました。
 今までイギリスという国に対して、先進国という朧気なイメージしか持っていませんでしたが、生活に深く関わる医療をメインに観察することで新たな発見もありましたし、日本と比較することで日本の医療を見直すことも出来ました。たいへん貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。