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人文学部  川田  希

留学報告

留学先:イギリス・マンチェスター大学
期間:2011年9月〜2012年6月

 昨年度9月からイギリス、マンチェスター大学での9か月間に渡る留学を終え、無事日本に戻ってくることができました。渡航前の興奮を今でもはっきりと覚えています。不安な気持ちをあまり抱かず、楽しみな気持ちとたっぷりの自信を持って留学に挑みましたが、実際に現地に着いてからは楽しいことばかりではありませんでした。
 最初に直面したのはやはり言語の問題でした。あまり聞きなれないイギリス英語でみんなが話す上に、留学生が多いマンチェスター大学の学生にとって留学生を特別に気遣うことはあまりしないため、とても早口(早口に思えるだけで実際彼らにとっては普通のスピードですが)で話しかけてきます。オリエンテーションでの説明ですらなかなか理解できなかったため、このまま生活していけるだろうかと不安になりました。そして次に悩まされたのが、気候の問題です。イギリスは日本と比べると緯度の高いところに位置しているので、到着直後(日本ではまだ暑い9月中旬)からとても寒かったですし、冬が近づくにつれ日が暮れるのが早まったので活動も制限され少々辛い思いをしました。そして何よりもっとも悩まされたのは、食事の問題です。移民が多いイギリスの食事はいろいろな国の料理の「ごちゃまぜ」状態でした。また、味付けがしっかりしていないのでいつも何を食べているのか分からないようにも感じました。何度か海外旅行の経験はありましたが、これほどまでに日本食の偉大さを痛感させられた国はイギリスが初めてでした。今となっては、午後4時の真っ暗闇を経験したことも、イギリス風中華料理に果敢に挑戦したことも、どれもとても楽しい思い出です。
 学習面でも、毎日大変な思いをしていたように思います。前期に語学学校に通っていたころはそれほど大きな悩みを抱えることなく順調に授業を受けていましたが、後期から学部の授業を受けるようになるとそうも言っていられませんでした。やはり早口(に感じる)英語で進む授業についていくことは至難の業でした。それでも何とかやっていけたのは、マンチェスター大学の学習環境のおかげだと思います。マンチェスター大学での留学生活を通して強く感じたこと、それはこちらの学生の学習に関する意欲や意識がとても高いことです。こちらに来たばかりの頃のオリエンテーションで留学担当の事務の女性が「大学では、自立的な学習が一番大切です」と話していました。それを、多くの学生がまったくその通り実践しています。試験前にだけ混む日本の大学の図書館に比べ、こちらの図書館はいつでも勉強をする学生でいっぱいでした。授業を担当する先生方もちょうどいい程度に放任的で、学生たちの知的好奇心を高めてくれます。例えば、授業に関する内容の質問を学生に投げかけたりして、私たち自身に「考える」という作業を任せます。私ははじめ先生や学生のそのような態度に圧倒されましたが、これが本来の学生のあるべき姿なのだと痛感したのです。もちろん、日本での大学生活で学習を怠っていたわけではありませんが、それを遥かに凌ぐくらいの彼らの学習意欲の高さに感動し、それから私自身も自立学習を実行するように努めました。例えば、彼らはよく情報を得たときにその場でメモをとります。予定をしっかり管理し、自立学習を実践しているようでした。それに倣い私もスケジュール帳を一冊いつも必ず身につけ、日割りで学習の予定を徹底的にメモするようにしました。そのおかげでこちらに来てから自分の学習態度を見直すことができ、日本にいるときよりも計画性を持った学習を行えました。さらに感心したことは、こちらの学生は「徹夜」をしないということです。試験前であっても、レポートの締め切り前であっても、日本ではよく耳にした「昨晩は徹夜をしたから眠いんだ」というような会話を聞きませんでした。これも自立学習が徹底され、計画的に学習を行っているからでしょう。マンチェスター大学の学生のおかげで、学生としての態度を改めることができました。
 また多国籍の街、マンチェスターに留学したおかげで、世界の人々に日本がどのように映っているのかを直接聞くことができました。日本は経済的に発展していて、品質の良いもの、欲しいものが何でも揃うという印象を持っている人が多い一方で、特にヨーロッパの人々には「所詮アジア」と言われ、馬鹿にされるような態度をとられたこともありました。嫌な思いもしましたが、人の振り見て我が振り直せ、私自身もきっと実際に見たことのない国に対して偏見を持っているはずです。そういった点で、マンチェスター大学で学ぶ世界各国からの留学生に出会えたことはとてもありがたいことでした。様々な国の友人ができ彼らの国の様子を聞くことにで、その国の印象を改めたことが何度となくありました。ありきたりな言葉ですが、まさに自分の視野を広げることができたな、と実感しています。
 2010年度に海外語学研修のために人文学部からの援助をいただき、カナダの語学学校でイギリス留学のために必要だったTOEFL iBTの試験の対策を行うことができました。今回の短期留学も大学の派遣制度を利用したおかげで、安心して9か月間の海外生活を送ることができたのだと思っております。海外研修の支援から、渡航前の準備、留学、そして帰国まで1年以上の間、大学の皆様をはじめたくさんの方々に支えていただきました。このような素晴らしい機会を与えてくださり、本当にありがとうございました。
  

寮で行われた東日本大震災
チャリティイベントにて
オリエンテーション期間のBBQパーティ
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