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人文学部 齋藤  薫

留学報告

留学先:台湾・銘傳大学
期間:2012年8月〜2013年2月

 私の留学の目的は二つあった。一つ目は中国語の運用能力を上げることである。特に日本にいては向上させることが難しい会話能力を向上させたかった。二つ目は台湾の文化を知ることである。特に台湾から見た日本について知りたいと思った。
 銘傳大学では週15時間の中国語の授業があり、少人数で学生のレベルに合わせた中国語教育が行われている。私が参加していた初級のクラスは、韓国人4人とアメリカ人1人と山形大学からの日本人が3人のクラスだった。授業の内容は文法、会話練習などで、初めは先生の言っている言葉が全く聞き取れないという状況だったが、学生の状況に合わせた、ゆったりとした授業で、徐々にレベルを上げることができたと思う。特に発音の面では、中国語の授業以外に学生ボランティアに指導してもらい、かなり改善された部分が多いと思う。また中国語の授業以外では日本語学科に所属し、日本語学科の授業にも積極的に参加し、台湾の学生とコミュニケーションをとる機会を作った。また言語交換パートナーを募集し、日本語を学ぶ学生とお互いに教えあうこともあった。このように中国語を聞いたり話したりする機会を積極的に作ったことで、帰国前にはだいぶコミュニケーションが取れるようになり、自分自身の設定した目標には近づけたと思う。これからはHSKや中国語検定などの受験に向けて更に能力を高めていきたいと思う。
 国際交流という面では、中国語のクラスの中で自国の文化についての発表などがあり、さまざまな国の文化を知る機会もあった。さらに、授業以外の雑談の中で、領土問題や同性愛の問題についても話題が広がることもあり、非常に刺激的なクラスだったと思う。特に領土問題については、アメリカ人の学生が、「日本は尖閣諸島を譲らなくてケチだ」と言ったことが印象的だった。日本国内にいると、領土については自国と相手の国の間の関係の問題しか語られず、ほかの国から見た視点をなかなか知ることができないので非常に貴重な体験だったと思う。
 日本語学科では、学科の学生のほかに、社会人向けの日本語講座の受講者の方や、日本語を学んでいる高校生との交流の機会もあり、さまざまな年代の人と交流することができた。日本語を学びたいという学生・社会人も多く、日本に対する関心が高い台湾人が多いことが印象的だった。さらに台湾に留学して驚いたのは、ドラッグストアなどの商店に行くと日本の商品が多くみられるということである。また、テレビをつければ日本のテレビ番組が放送されているなど、日本のものが多く台湾に輸出されていることが私にとっては印象的なことだった。もちろん、歴史的にも領土についても台湾と日本の関係は非常に複雑なものがあるが、文化の面ではこれからも友好的な関係を築いていくことができると感じた。
 さらに留学の目的の達成以外にも思いがけないさまざまな体験ができた半年だった。台湾に留学に行って、一番ショックを受けたことは台湾人や韓国人の学生の語学能力の高さだった。特に台湾に到着した当初は、日本語学科の3年生にサポートしてもらいながら生活をスタートさせたが、ほとんど中国語の聞き取れない私たちに日本語を使ってコミュニケーションをとる学生もいれば、日本語が使えなくても流暢な英語を使って説明してくれる学生もいた。私は自分自身との語学能力の差にショックを受けた。中国語のクラスで一緒だったある韓国人学生は中国語の足りない部分は英語で完璧にカバーし、中国語のクラス以外はすべて英語の授業を受けていた。こんなに近くのアジアの国々の学生が努力して素晴らしい語学力を身に付けているということが、私にとって非常にショックな事であった。このことからグローバル化した社会の中で、果たして日本人はこれだけの語学力を持つアジアの学生と国際競争を勝ち抜いていけるのだろうかと危機感を感じた。ただ、少なくともこのような危機感を抱けたということは私にとってはよい収穫であったように思う。では国際競争力を持つにはどうしたらよいかということが今の私の一番の課題である。
 この半年間は私にとっては非常に刺激的で、ショックを受けることも多く、非常に貴重な体験だったと思う。ただ、半年間という期間はあまりにも短く、あっという間に過ぎてしまい、あと半年間あればと悔やまれることも多かった。しかし、この留学を通して得られた能力や経験を自分の将来に生かしていきたいと思う。
 この留学では校友会様よりご支援をいただき、留学先でも安心して学習に専念することができました。心より感謝申し上げます。

人文学部 齋藤 薫 人文学部 齋藤 薫