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人文学部 荻原 秋穂

自国を見つめなおすということ

留学先:アメリカ合衆国・コロラド州立大学
期間:2013年8月 〜 2013年12月

 私は、高校まで神奈川県にいました、大学に入ってから山形の地を踏んだ人間です。このたび、山形大学の交換留学制度を利用して、一学期間コロラド州立大学にて勉学をしてまいりました。その体験を通して得たものは、ありきたりではありますが、自国、日本の確固とした像でした。
 コロラドはロッキー山脈の東の麓に位置し、大変標高が高く、また気温の年較差の非常に大きい土地です。その北部にあるフォートコリンズという小さな町に、4ヶ月間お世話になったコロラド州立大学はあります。到着後、まず驚いたのは、大学教育の違いでした。米国の大学ではほぼ毎回と言ってよいほど宿題が出され、それに加えて毎回の予復習が不可欠でした。図書館も夜12時まで開館しており、自習室は24時間開放されていました。こんな環境で果たしてやっていけるのかと不安になった記憶があります。部屋もお世辞にも綺麗とはいえず、湯に浸かることも出来ず、更に最初の1ヶ月ほどは英語をろくに聞き取ることも話すことも出来ず、かなりつらい思いをしたことを覚えています。
 コロラド州立大学では多くの国からの留学生がおり、お互いに自国のこと、世界のことについて意見を交わす機会が多くありました。その中では、“世界から見た日本の姿”を垣間見ることが出来ました。それは、自分が予期していたものとは大きく異なるものでした。多くの友人が日本を良い国だと捉えてくれていたのです。米国にくるまでは、日本はなんと数多くの問題が溢れ,未来に希望がなく、閉塞感に覆われた国なんだとばかり感じておりました。その自国に対するイメージを彼らが根底から覆してくれたのです。彼らの口から出る日本のイメージといえば、「きれいだ」「平和だ」。中には「日本が最も世界で完璧に近い国だ」とまで言ってくれた学生までいました。彼らの目には日本が将来目指すべき国の像の手本の一つになっているようでした。この経験を通して自分の日本に対するイメージが少し良くなったように思えます。
   その一方で、残念ながら、日本が世界に見習わなければならないと感じる部分が少なからずあったことも事実です。とりわけ、日本という国が外国人観光客に対して決してやさしくないということを、身を持って感じました。近い未来にオリンピックが日本で開催されることが決まりましたが、日本に来た観光客が果たして心から「満足」し、また「感動」して日本を離れてくれるのかというと、私の中では多く疑問符が付きます。例えば、日本の交通機関。日本ではおそらく新幹線をはじめとした鉄道が国内の移動手段になるかと思いますが、果たして日本語の全く理解できない訪日客がキップをスムーズに取ることができるでしょうか。街中で迷った時に誰に話しかければ良いのでしょうか。また,海外では当たり前になりつつあるフリーWi-Fiスポットも日本にはほとんどないと言っても過言ではありません。日本がまだまだ時代の変化についていけず、古いものの見方、考え方に固執しているように思え、日本はもっともっと外国人にやさしい国になれるはずだと確信しました。
 海外で4ヶ月住むというこの貴重な体験を通し、果たして将来の日本、そして世界がどうなっていくのか、また自らがその中でどのように生きていけばよいのか、それを知る道標の一つを得たように思えます。残念ながら、その内容は簡単に言語化できるものではなく、むしろ限りなく感覚やカンに近いようなものであるようにさえ思えます。
 この感覚を活かしながら、まずは学部生生活残り2年を、先を見据えつつ、懸命に過ごして行きたいと思います。