【卒業生寄稿】海を超えた山形大学生の歩み

掲載日:2020.9.29

プロフィール

加藤 勇樹(宮城県大崎市出身)
平成25(2013)年3月 人文学部法経政策学科卒業
現在:香港企業の華南ビジネスマネージャー

略歴

大学進学卒業までの22年間を東北で過ごし、大学卒業後の就職を経て、2015年より中国香港での勤務を開始。日々の学びを楽しみつつも、新たなご縁を探している悩み多き青年。日本では趣味が高じてボクシングなどライセンスを習得したが、現在は街歩きや史跡巡りなどの文化系に転向。街歩き史跡巡り仲間を常時募集中!

 懐かしき山形大学の皆様、こんにちは、加藤勇樹です。2013年に人文学部を卒業したのち、24歳の時にチャンスをいただいて今は中国広東省の広州-深圳、そして香港で働いています!故郷を離れて、この地での生活も2015年から足掛け5年になります。

 学生時代は格闘技に情熱を注いでおりました。山形大学の設備や近隣の道場に出稽古を繰り返し、サンドバッグとバーベルが学生時代の最高の親友といえたかもしれません。残念ながら目立った活躍を格闘技では残すことができませんでしたが、今の仕事で数少ない私のPRポイントとして、一財産になりました。


地上最強を目指していた大学時代

 私自身、広い世界を見てみたいという単純な動機でしたが、「国際関係論」を専攻していました。ゼミでは髙橋和教授や学外活動に熱心な先輩方に囲まれ、広い世界や新しい分野に目を向けるきっかけを得ることが出来たのです!私は決して勉学では優秀とは言い難い学生でしたが、現在の行動力や発想の柔軟性はゼミ環境の賜物といえるでしょう。


大学時代友人とのひと時

 専攻と山形大学の留学推進という機会に恵まれ、外の世界を実際に旅する機会も大学生時代に得ることが出来ました。現在働いている中国に初めて来たのは学生時代の2011年に、ロシアからカザフスタン、モンゴル、さらには中国の黒竜江省‐吉林省‐遼寧省‐内モンゴルを旅した際です。当時私はチンギス・ハーンにあこがれており、彼と同じ旅路につこうと考えていました。考え抜いた結果、馬によるシベリア‐中央アジア横断の旅を思いつき、ロシアから出発し、山形大学の姉妹校がある中国の東北部まで目指すという長い長い旅を実行に移しました。


遊牧世界での冒険

 北の大地を旅したのちは、山形大学を代表してベトナムへ交流学生として派遣させていただくことになりました。ハノイ農業大学へ派遣され、現地のベトナム人学生と日本人学生の間で活躍し、日本語クラスや文化交流事業を通して日々親睦を深める素晴らしい日々を過ごせたのです。この交流を通じて私はベトナムで家族として迎えられ、現在も交流が続いています。近いうちにベトナム人の甥っ子に、叔父さんと呼ばれそうです!


ベトナムで結ばれた新たな縁

 大学卒業後は一転して神奈川県でサラリーマン生活を送っておりましたが、自身の人生に新たな挑戦の機会がないか、日々迷っていました。将来に悩んでいる中、「中国で一緒に事業を立ち上げないか」という恩人からの提案と、「香港に来て、その後も残ってほしい」と言ってくれる愛する人。日本を離れるという一大決心をした瞬間は、一生忘れることはないでしょう。こうして2015年から私の海外での生活は始まりました。


勤務中の一コマと、広州に残るきっかけをくれた愛する人

 24歳でこちらに来た際は、日本での社会人経験も浅い私が、何をすべきなのか、どのようにふるまうべきなのかといった、多くの悩みに毎日ぶつかることになりました。日本での社会人としての私の立ち振る舞いがまだ未成熟であったのに加え、中国香港での社会人としての立ち振る舞い、更にはビジネスの進め方、物事の進め方を日本式で考えるべきなのか、それとも今いる中国式で進めるべきなのかという疑問が尽きることがない日々だったのです。
 今の会社では、多くのメンバーが現地の人で、私は外国人社員として日々奮闘しています。日本人で経験が人一倍浅い私が迷惑をかけてしまうのではないのか、果たしてこちらになじむことが出来るのだろうかという不安に毎日駆られます。
 その一方で新しい環境には大いに魅了されつつあります。日本での生活では味わうことのできないような体験に驚きながら、楽しむことが出来る自分がいるのを発見しました。日々変化を遂げるスピード感ある街並みが目立つ一方で、正反対の緩やかなゆったりとしたテンポを感じる伝統文化。両方の側面がまさしく中国の環境の醍醐味といえるでしょう。


伝統文化が息づく広州と、ハイテク産業で注目される深圳

 今の仕事も、多くのことを学ばせていただける、学びの深い仕事だと感じております。コンサルタントとして中国での外資系企業進出という確かな手ごたえ、日本の学生や中国の学生に文化交流や研修を提供する現場での興奮、この二つに支えられて仕事に臨んでいます。
 また働く上の理念としても「企業に良し、人に良し、弊社に良し」三方皆良しを目指し、一人前のビジネスマン‐コンサルタントとしての研鑽を、日々積ませていただいております。なによりも発展しつつある広東省に、一部でも貢献できているのではないかという充足感が働く上での最大のやりがいです。最近では日本と中国の企業のご縁を結ぶ新事業を立ち上げたこともあり、日中双方のベンチャー企業の勢いや、新しいビジネスが生まれる現場を目の当たりにさせていただいております。


日本の大学生やベンチャー企業の中国視察研修事業では、私も日々刺激を得ています

 仕事上での未熟さや、文化の違いによる誤解など、学ばなければいけないことが多くある私にとって、周囲の皆様からは日々多くを勉強させていただいております。
 至らない自分、若輩者としての自覚はございますが今後も精進してまいります。山形大学の学生の皆さんも、活躍する機会を常に探してください!