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第5回
株式会社山形富士通(東根市)
第6回
山形カシオ株式会社(東根市)

はじめに
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第6回 山形カシオ株式会社(東根市)
     2006.9.25(月) 10:00〜


磯崎社長(中央)を中心にお話を伺う
製品について説明いただく

「日経ものづくり大賞」

「環境保全推進賞山形県知事賞」
記念撮影
 応接室に案内されると、受賞の賞状やトロフィーが所狭しと飾られている。「日経ものづくり大賞」、「プラスチック成形加工学会青木固技術賞」、「環境保全推進賞山形県知事賞」等々、すべて2005年の受賞である。最近になって会社の業績が一斉に開花したということなのだろう。
 しかし、そうした多数の受賞といった華やかな雰囲気は、社内の案内をしていただいた社長と2人の部長の方からは感じられず、地味な感じである。要するに、実力がある人はそれをひけらかしたりしないもののようである。
 「カシオ」といったら時計とデジカメを作っている会社だと思って工場見学に臨んだのだが、何か様子が変である。確かにそれ等を作ってはいるのだが、「山形カシオ」の売りは、それだけではないようである。機械音痴の私には、訪問した当初は訳が分からず苦悶したのだが、見学が進んでいくうちに少し分かってきた。「ものづくりのシステム」を自らが開発し実践していることが、この会社の売り(強さ)なのである。会社案内にも「・・・・・・最強のElectronic Manufacturing Service(EMS)事業」とある。設計から生産状況の監視、そして音声による警告まですべてがコンピュータによって高度に制御されるシステムが実際に可動している様を見たとき、「ウーン」とうなってしまった。そして、こんな時代の最先端を走っている技術の開発が山形しかも山大工学部との長い付き合いの中で生まれていたと言うことが、嬉しかった。「山形カシオ」で働いている74名の山大卒業生の更なる活躍を祈りながら会社を後にした。

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第5回 株式会社山形富士通(東根市)
     2006.3.20(月) 10:00〜


石田 祥二 社長
工場見学
卒業生との話し合い
 物事のタイミングとはやはりあるもので、山形富士通の訪問を予定していた一週間前に、特記すべき産業技術開発に与えられる大河内記念生産特賞を同社が受賞したことが日経新聞に報じられ、賞状を受けられる石田祥二社長の写真が掲載されていた。そんなわけで、会社訪問は、受賞のお祝いを述べることから始まった。
 パワーポイントによる概要説明の後、工場見学に移ったが、廊下に技術発展の歴史を物語る展示があり、何かすごい技術開発がこれまで延々と続いてきたことは感じることができたが、技術音痴の私が不正確なことを書くと申し訳ないことなので、この部分のレポートは同行した山形大学地域共同研究センター教授の小野浩幸先生にお願いした。以下はそのレポートである。
 「・・・山形富士通はHDD(ハードディスクドライブ)の記録媒体(磁気ディスク)を作っているメーカーである。大型コンピュータやパソコンなどのデータ記憶装置として使われているHDDは、1956年に世界で初めてIBM社が開発したもので、今年でちょうど生誕50年目となる。
 現在使用されているHDDの記憶密度(ディスクの大きさあたりの記憶容量)は、開発当時と比べて何と約1億倍にもなるとのことである。1億倍といわれても、あまりの数字の大きさにピンとこないが、会社内に展示してあった25年前の重量35キログラムもある大きなHDD(Eagle-1(F6421))が、記憶容量0.3ギガバイトであった。現在、モバイルコンピュータに一般的に使われている2.5インチのHDDの記憶容量を80ギガバイトとすると250倍以上である。今は1キログラムそこそこのモバイルコンピュータで扱えるデータを25年前の装置で記憶するためには、4トントラック2台でも足りないほどのHDDが必要であった計算となる。技術の進歩に感心させられた。
 これほどの高密度の記憶容量を可能としたのは、まさにナノテクの世界である。10ナノメートル(ナノメートル=百万分の1ミリ)の記録層に0.7ナノメートルの貴金属層を挟むという技術で、それまで熱ゆらぎなどで限界とされていた1平方インチあたり100ギガビットを実現したという。・・・」
 さて、私が山形富士通の訪問で楽しみにしていたことの一つは、同社にお世話になっている山形大卒業生との話し合いである。これまで知らなかったのは学長として情けない話なのだが、51名もの卒業生が同社で働いているのである。当日は工場に居た15名と昼食を共にしながらの話し合いとなったが、学長として考えさせられることの多い、有益なものであった。
 ほとんどの諸君が海外に赴任・出張した時の英会話力の不足に困った経験のことに触れ、実学としての英語教育を大学に要望していた。外部の会社に依頼して行った山形大卒業生のアンケートの中にも同じような意見が見られていたが、やはり現場で働いている卒業生の肉声のインパクトは大きい。彼らに英語教育の改革を約束し、現在その具体化を急いでいるところである。
 ほとんど完全にオートメーション化された工場の内部をテレビ画像を通して眺めさせていただきながら、数億円もする製造ラインを新たに発注するという話を伺っていると、この会社が今発展していく足音を聞くことが出来たような感じを受けた。そして、その発展に51名の山形大卒業生が大きな貢献をしてくれることを祈りながら山形富士通を後にした。
 当日、長時間おつきあいいただいた石田社長をはじめ、同社幹部の皆様にお礼を申しあげたい。

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