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学ぶ教師をエンパワーする新たな研修モデルの開発 ~文部科学省委託事業に採択されました~

掲載日:2023.07.06

本件のポイント

  • 学びたいけど学べない。忙しく勤務しているにもかかわらず、教員の研修時間は十分に確保されていません。現場で学ぶ教師をエンパワーする教員研修のイノベーションが喫緊の課題です。
  • 今年度、こうした課題の克服を目指した新たな教員研修のモデル開発に、山形大学が、山形県教育センター、山形県教育委員会との協同で着手しました。
  • 本モデル開発の取り組みは、新しい教員研修の在り方の開発とその全国展開を目指す、文部科学省 令和4年度第2次補正予算事業「教員研修の高度化に資するモデル開発事業」において、高い評価を受け採択されました。

概要

 日本の学校現場における研修時間の短さが深刻です。国際平均比で勤務時間は約1.5倍であるのに対して、研修時間は約3分の1(OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2018)。学びたくても学べない。忙しく勤務しているにもかかわらず、教員の研修時間は十分に確保されていません。現場で学ぶ教師をエンパワーする研修の充実が喫緊の課題です。
 こうした課題の克服を目指し、本学大学院教育実践研究科と地域教育文化学部では、山形県教育センターと協働で「学びを広げる力」の育成を目指した新講座「学校マネジメント講座」を開設しました。学校外研修での学びを参加者個人にとどめることなく、学校現場の学びの充実に展開し、大学や教育センターがその展開を支援するシステムを整備することを目指します。具体的には、講座参加者の所属校の数校に、研修機能に特化したスペース「学びカフェ」を設置し、常時オンライン空間において接続することで、従来以上に効率的で柔軟な支援を実現します。また、大学では、従来評価されてこなかった、同僚の学びをエンパワーする教師の力(「学びを広げる力」)を適切に評価できるように新たな基準を開発します。
 本講座の開発を中心とするモデル開発の取り組みは、文部科学省令和4年度第2次補正予算事業「教員研修の高度化に資するモデル開発事業」において、高い評価を受け採択されました(委託金額:約2,000万円)。この事業は、新しい教員研修の在り方の開発とその全国展開を目指しています。山形県における教員研修のイノベーションの実現と、そのモデルの全国展開が期待されます。

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新たな教員研修モデル開発の背景

 教員の多忙化が問題となっています。しかし、一層深刻なのは「多忙感」です。「多忙感」を助長する要因の一つに、現場での研修時間の短さがあります。最新の国際調査によると国際平均比で勤務時間は約1.5倍であるのに対して、研修時間は約3分の1(TALIS2018)。学びたくても学べない。そのような状態で「多忙感」は助長されています。そのため、現場の学びの充実を目指した教員研修のイノベーションが喫緊の課題です。

「学びを広げる力」の育成を目指した「学校マネジメント講座」の開発

 本学大学院教育実践研究科と地域教育文化学部では、山形県教育センター、山形県教育委員会と共に、全国に先駆けた新たな教員研修のモデル開発に着手しました。モデル開発のポイントは、学校外で多く行われている研修が抱えてきた以下の課題の克服です。第一に、講座参加者の学びが個人の学びにとどまっている点です。内容に着目したとき、これまで、学校現場における教員の学びをデザイン、コーディネートすることを主眼とした研修がありませんでした。第二に、その拡張性に着目したとき、教員個人の成長は評価される一方、同僚の学びをエンパワーする働きは適切に評価されていません。第三に、校外での研修における学びの現場への展開は、参加者個人の力量にゆだねられていました。集合型の研修以上に、教育センター及び大学による現場における柔軟な支援が必要です。
 こうした点を克服するために、山形県教育センターにて、「学校マネジメント講座」を開発し、今年度から開講しました。本講座の新しさは以下の点にあります。

①講座参加者を現場の学びコーディネーターとして、学校現場の学びをデザイン、コーディネートする力を養成することを目指した内容で構成しています。
②講座参加者の学校の内数校を拠点校として、山形県教育センターと山形大学が、現場の学びコーディネーターによる現場の学びの活性化を支援するシステムを実装しています。
③拠点校、山形県教育センター、山形大学に研修機能に特化したスペース「学びカフェ」を設置し、また、「学びカフェ」同士をオンライン上で常時接続し、支援の効率と柔軟さを実現しています。
④大学では、講座での成果を生かし、従来評価されてこなかった、同僚の学びをエンパワーする教師の力を「学びを広げる力」として、適切に評価できるように新たな基準を開発します。

今後の展望

 本講座の開発を中心とするモデル開発の取り組みは、文部科学省 令和4年度第2次補正予算事業「教員研修の高度化に資するモデル開発事業」において、高い評価を受け採択されました。この事業は、新しい教員研修の在り方の開発とその全国展開を目指しています。山形県における教員研修のイノベーションの実現と、山形モデルの全国展開が期待されます。
 8月8日(火)14時から、本事業のキックオフイベントとして「第1回 やまがた学校改革推進協議会」を山形大学小白川キャンパス基盤教育3号館にて開催します。

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