WORKS
山形大学
近年、災害が激甚化、頻発化するなか、自助・共助を担う一般市民の防災実践力の向上に対する社会的関心が高まっている。そこで、災害環境科学研究ユニットは、一般市民の地域防災力向上を目的として、公開講座を企画・開催した。
災害時避難所は、大地震や豪雨などの自然災害時に命を守るための地域防災の鍵となる社会的な仕組みだが、課題も多い。災害時には、避難所の運営は避難者自身が行うという‘自主防災意識’が地域住民の間に根付いているかどうかが、いざと言う時の成否の分かれ目になる。
このような社会的な背景のもと、自主防災の担い手を育成することを目的に全国規模で防災士養成事業が展開されている。この事業は日本防災士機構により2003年にスタートし、山形県は2015年から参加、県が主管して防災士養成研修講座が毎年実施されている。この講座の内容は座学による理論中心の講話であり、体験型のプログラムは組み込まれていない。
そこで、2年目となる地域防災力向上セミナーでは、発展的な内容のオンライン講義に加え、ワークショップによる実践的な学びの場を企画した。ワークショップは、11月30日(土)に「被災生活と避難所」に関するセミナーと炊き出し体験を行った。体育館は山形市指定避難所であり、被災時に炊出し場所となる可能性が高い。そこで、体育館前にテント、炊き出しカマドを設置し大鍋で芋煮を調理した。
屋外で衛生管理を徹底して大量に手際よく調理することの難しさ、調理に不可欠な上下水道設備を整備することやスタッフ連携の必要性を実感することができた。災害時用マンホールトイレの設営も体験した。体験後の振り返りでは、特に地域住民に飲食料の家庭備蓄を普及させるための手立てについて参加者による熱心な意見交換が行われた。
実施後のアンケートでは、vol.3を期待する意見もいただき、今後さらに講座を充実させていきたいと考えている。
◯担当教員
◯関連情報
防災力セミナーガイダンス
熊谷先生による講演