WORKS
山形大学
災害時に要配慮児者が直面する困難や必要な配慮事項への理解を深めるため、学習会を開催した。また、福祉避難所や個別避難計画のあり方を検討することを目的に、以下の3つの調査を実施した。
①自治体へのインタビュー調査
県として避難行動要支援児者に特化した施策は行っていなかった。また、福祉避難所の設置や個別避難計画の作成状況には市町村で差があり、統一した基準がないことが課題となった。一部の町では水害が予想される行政区の全世帯で個別避難計画を作成している例もあった。
②福祉避難所へのアンケート調査
山形市内の59施設にアンケートを実施し、17施設から回答を得た。福祉避難所開設訓練を実施していたのは2施設のみで、準備や対応力の不足が明らかとなった。また、避難スペースは多くが会議室や多目的ホールで、プライバシーや快適性に欠ける環境だった。
③当事者へのインタビュー調査
避難所の環境や心理的負担から利用しにくいとの回答があった。また、個別避難計画の申請や利用手続きが不明確で、不安を感じていることがわかった。
以上の調査から、以下の課題が明らかになった。
①個別避難計画:自治体間で作成状況に差があり、実効性を高めるための改善が必要である。
②福祉避難所の運営体制:運営方法やマニュアルが不足しており、開設訓練やスタッフ教育が必要である。
③当事者の不安と抵抗感:手続きの不明確さや避難所環境の問題が心理的抵抗感につながっている。
今後もこれらの課題について継続的に検証し、支援体制と環境改善を進めていく必要がある。
〇担当教員