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 松枝 怜(医学部6年)

派遣期間:平成29年2月24日~3月9日(14日間)

〈日本語教室での活動内容〉
 ラトビア大学での日本語教室は月曜日から金曜日、17:30~19:00の1コマでした。私がいた期間は参加者が多く、日本語を全くわからない人から日本へ旅行できる人までの様々なレベルの方々がいたので、beginner, middle, advancedの3つのレベル分けをして授業を行いました。各レベルは先生役の山形大学生1人に対しておよそ3~4人の生徒で、私はbeginnerクラスを担当しました。参加する生徒は高校生から社会人までの幅広い年齢とバックグラウンドを持った人々で、ラトビア大学は社会に広く開かれた学習の場を提供している印象を受けました。Beginnerクラスでは、主に日本から持ち込んだ小さいホワイトボードを用いてひらがなとカタカナを教えました。やり方としては、五十音表をコピーして配布し、正しい書き順を書いて見せて発音させることを主に行っていた。他には、「こんにちは」や「ありがとう」などの簡単な短文や、数字や時計の読み方を教えました。さらに、コラムとして日本のお金を実際に見せてみたり、日本の風景写真をパワーポイントのスライドで見せたりして、授業が楽しくなるように工夫をこらしました。
 Beginnerクラスの学生は日本語の発音と表記の違いに困惑していたようでした。例えば、”wa”の音は、基本的に「わ」と書きますが、『こんにちは』は『こんにち“わ”』とは書かないといったこと、「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」の違いなどです。これらの説明を理論的にわかりやすく、さらに英語で日本語の初学者に説明するのはなかなか難しいことでした。ある程度の準備なしで、これができる日本人はおそらく限られてくるのではないかと思います。もちろん私は準備をしてなんとか乗り切りましたが、いい経験となって、少し自信がついたような気がします。

〈日本語教室以外での交流活動〉
 授業後に毎回、日本語教室に来てくれた学生と夕食を食べに行っていました。日本語がかなり話せる人から、あまり話せない人まで様々でしたが、自分は英語を話す良いトレーニングだと思ってなるべく英語で会話するよう努めました。ラトビア人の母国語はラトビア語であり、英語は母国語ではないものの、彼らは英語に接する機会が多いためか非常に流暢に話していた。私はなかなか聞き取れなかったり、話せなかったりするもどかしさを強烈に感じました。
 宿泊先のHostel Primaにおいても、隣の部屋に住むトルコ人と仲良くなり、英語で会話することが多々ありました。日本やトルコの文化や宗教観、今までの歩んできた人生やこれからの将来像など多種多様な事柄を話しました。なかなか適切な英単語が思い浮かばずに苦労することもありましたが、なかなか得難い体験で、自分自身を見つめ直す良い機会になりましたし、雑談とはいえ、とても有意義な時間でした。

〈参加目標への達成度と努力した内容〉
 『英語力を含めたコミュニケーション能力』の向上は、特に日本で暮らしているとあまり機会がないリスニングとスピーキングの力を高めることを意識しました。特に、発音、アクセント、文の中の強調を意識して話すと、流暢に話すよりも意外と伝わることを実感しました。実際に、日本語を英語で教えるこのプログラムは、否が応でも英語でコミュニケーションをとる状況に追い込まれます。たとえば、話したい日本語に対応する英単語1つが思い出せなくても、知っている単語を組み合わせて説明的に話すことでなんとか乗り切る必要がありました。『臨機応変に創意工夫できる適応力』も相応に養われたと思います。『自分自身や日本人としての知覚力』と『相手や異文化への理解力』については、海外に身を置いて現地の人達と会話していると、自分が今までどんなことをやってきた、またはやっているのかを話す機会が多くあります。そこで、自分の文化を相対的にみる癖がついたと思います。人から聞いたいろんなものの考え方を自分で咀嚼して、いろんな軸にあてはめて比較するようなことをやっていたような気がします。昨今、排他的な考え方が世界で広まっている中、自分の文化を客観視して、相対化して視る力がさらに重要になっていると感じるため、この経験は貴重なものでした。

〈プログラムに参加した感想〉
 大学受験などで今まで勉強してきた英語を実際に使う機会がほとんどなく、このプログラムで英語の実際の運用ができたのは良い経験だったと思います。私は自力で海外に赴き、現地の人と英語でコミュニケーションを取りながら生活をするという経験が初めてだったので、大きな不安を感じていました。加えて、英語で日本語を教えるというこのプログラムは、自分にとってかなりの挑戦でした。これらのことを大学のプログラムで経験することができたのは、本当に関係したすべての方々への感謝の気持ちでいっぱいです。

〈今回の経験による今後の展望〉
 今回のプログラムの参加で一番の収穫は、英語でのコミュニケーションのハードルがとても下がったことにあると思います。私は今後、英文の論文や学会でのプレゼンテーションなどで英語に触れる機会が数多くある環境に身を置きます。そのような将来の環境が予定されているなかで、今までほとんど機会のなかった英語のコミュニケーションを考える機会を得られたのは、とても有意義な経験でした。
 自然科学の世界では、年を経るごとに知識が加速度的に増加しています。そして、ほとんどの一次情報は英語で発表されます。そこで、英語ができないとなると、その機会損失は莫大なものだろうと言われています。英語での情報が益々重要になる世界で、今回のプログラムで得られた経験が自分の将来をより良いものにすると感じています。

ラトビア大学玄関の画像
ラトビア大学玄関

授業後の娯楽の画像
授業後の娯楽

Beginner Classの画像
Beginner Class