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大崎教授の海外駐在記「延辺大学駐在記(1)」

 7月2日~9月24日まで、中国吉林省延吉市にある、延辺大学サテライト・オフィスに駐在しました。今回も3回にわたって駐在記を紹介させていただきます。

 延吉市は朝鮮族自治州80万人の州都で人口50万。市民の40%が朝鮮族、60%が漢族で、街の看板は中国語と朝鮮語の併記が義務付けられていました。町は北朝鮮との国境の豆満江から車で1時間、七色のネオンに綾取られた高層ビルが林立し、市域の隅々から新たなビル建設の槌音が沸き起こっていました。戸建ての家はなく、私の住居も17階建ビルの15階で、住居用ビルのすべての入り口横には、家族で経営する超市(スーパー)が郊外のビルでも例外なく存在し、電話ひとつで、酒でも何でも直ぐに持って来てくれました。ここには、住民の高齢化に伴う買い物難民問題は存在していませんでした。

 延辺大学は1949年の創設で、3年前の2009年に市の西北の丘陵地帯に276.5ヘクタールの新たなキャンパスを設けた、中国全土1994大学の中の19校の重点総合大学の1校でした。教員の70%、学生の40%が朝鮮族で、残りは漢族ですが、講義はすべて中国語で行われていました。学部は、農学部、医学部、理学部、工学部、科学技術学部、体育学部、芸術学部、師範学部、法学部、経済管理学部、人文社会科学部、朝鮮韓国語学部、中国語文化学部、外国語学部、の13学部で、他に13の研究機関がありました。外国語学部には、英語科、ロシア語科、日本語科があり、1学年400名の学生が日本語を勉強しおり、3年生になるとほぼ完璧な日本語で私に対応して来ました。

 キャンパス内には超近代的でカラフルな高層建築が散在していて、巨大な柱や、巨大な壁、円形のホールやガラスの筒に覆われた螺旋階段など、デザイン重視の実用には無縁な装飾が随所に凝らしてありました。ただ、学内中に植え込まれた樹木や草花は、まだ根が地についてない、という段階でした。

 学生数は学部1万6748名、修士2202名、博士143名。学部学生は原則全寮制で、キャンパスの一画には13階建てを主とする学生寮が10数棟ありました。中には1階が公安警察署というものもありました。寮の周囲には体育館のように広い3階建ての食堂が4カ所あり、大抵の階には、日本の大型スーパーのフード・コートのように、様々な種類の食堂が横並びにお店を構えており、日本料理店もありました。大型のスーパーマーケットも2店舗あり、日本のスーパー銭湯のような浴場もあって、午後になると入浴セットを持って歩く学生を見かけました。

 教員数は、教授206名、副教授385名、講師419名、助手299名で、日本と異なる点は、大学のトップが学長ではなく、元小学校教員の共産党委員会書記でした。大学執行部は、党委書記、学長、3人の党委副書記、3人の副学長から構成されていました。11月15日に成立した中国の習近平体制のベスト3の張徳江氏は、延辺大学朝鮮韓国語学部出身、北朝鮮の金日成総合大学大学院終了の元延辺大学副学長で、延吉市共産党委員会副書記として政界入りして現在まで登りつめました。

延辺大学総合図書館の画像
延辺大学総合図書館

延吉市夜景の画像
延吉市夜景