ホーム > 国際交流・留学 > 海外拠点情報(駐在記) > リガ海外拠点(ラトビア) > 大崎教授の海外駐在記「ラトビア大学駐在記4(1)」

大崎教授の海外駐在記「ラトビア大学駐在記4(1)」

春のラトビア

 4月26日~6月24日の日程でラトビア大学に駐在しています。ラトビア人と言うと、無愛想で個人主義、という印象が強かったのですが、駐在4回目ともなると、見知った顔から笑みがこぼれてきます。

 リガ国際空港には夕方遅くに着きました。出迎えは、黒いダウンジャケットを着た、国際交流課の公用車の運転手のRolandsさんでした。髭面の50歳前後の男性ですが、私達を見つけてニコニコと近づいて来て、同行の犬の所在を尋ねてくれました。犬の入った軟ケージを示すと、犬のために、まず空港敷地内を散歩しようと提案しました。

 宿舎は、2年前に利用した、リガの旧市街から東に6㎞ほどのラトビア大学の学生寮内にある家族室で、2Kでトイレとシャワーが付いています。昨年室内を改装したそうですが、日本ではちょっと見られない雑な仕上がりです。一般に、ラトビアの家屋は、室内外の装飾は、遠目にはとても素晴らしいのですが、近くで見ると、その雑さに驚きます。

 宿舎はレンガの5階建てで、出入り口の扉の横には午後11時の門限まで、扉番が常にいて、人の出入りを監視しています。扉はオートロックで、解除用のカードを渡されました。

 扉番は何人かが交代で務めています。廊下の掃除や、屋外を掃き清める人々も、すべてが50歳前後の御婦人で、英語を誰も話しませんが、いつもにこやかな笑みを向けてきます。

 大学までの足の便は、徒歩5分圏に、トラム(路面電車)、トロリーバス、3種類の系統バスの停留所があります。ラッシュに当たらなければ、30分程度の行程です。

 学生寮の周囲は、一戸建ての住宅地で、各家庭の敷地は500~600坪は優にあります。1週間前に着いた時には、庭には梅のような白い小さな花と黄色のレンギョウが咲くだけで、葉をつけた樹木はありませんでした。しかし、季節は瞬く間に変化して、梅のような花木に葉が付いて、各家の庭で最も数の多いリンゴの木に大柄の白い花が開き、トチノキは蕾を膨らませて大きな葉を広げ、白樺の木立も黄緑色の葉が目立ってきました。

 庭や、広い通りの両側には、緑の芝生が張り詰めてありますが、その中から、白、黄色、青、紫の小さな花が開いて来ました。雪柳の白い花も満開になりました。そして、最もポピュラーなのが、赤いチューリップの花です。

 5月1日はメーデーの祝日で、4日は独立宣言の日の祝日でした。1990年のこの日、国会において、ラトビアはソ連からの独立を宣言したそうです。いずれの日も、すべての家庭や商店やアパートの、すべての建物が、暗い赤地に白の横線の入った国旗を掲げていました。祝日の日は警察が街を巡回して、国旗を掲揚していない家庭に注意を促すそうです。

 5月4日が何の祝日か思い出せなかった学生も、ラトビア人としてのアイデンティティーを強調します。ラトビアの人口は約230万人。独立後に制定したラトビア人の定義は、ラトビア語を話せることです。人口の27%は、主にソ連時代にやって来たロシア系で、その半数がラトビア語を話せず、ソ連時代に作られたレンガのアパートに住む無国籍者です。

外は夜の10時を過ぎてもまだ明るい白夜で、各家庭の庭では、バーベキューを楽しむ歓声が途絶えませんでした。