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大崎教授の海外駐在記「ハノイ農業大学駐在記3(3)」

 8か月振りに訪れたハノイ農業大学の周囲の環境は、大きく変わっていました。ハノイ市中から農業大学に行くためには、11番系統の市バスに乗り、日系工業団地のある、北部の工業都市ハイフォンに至る片道3車線の国道を、10数キロ東に行きます。そして、バスが国道沿いの最後のバス停を過ぎて南に右折すると、そこから2つ目のバス停は、農業大学正門を入ったキャンパス内にあり、3つ目のバス停が終点の大学本部前です。

 国道を離れて大学に通じる2キロほどの道は、バスのすれ違いが容易でないほど細く、店の外に小さな椅子やテーブルを並べた飲食店や、商店、民家などが立ち並んでいました。しかし、その道が2車線の舗装道路に変わり、道の両側に、化粧レンガ造りの広い歩道が作られ、沿道には大きな窓ガラスのwifiカフェなどが出来ていました。

 この道は大学正門手前で分岐し、直進すれば正門ですが、道を左に辿ると、緩く湾曲しながら197ヘクタールあるキャンパスを迂回して、裏手の水田地帯に達します。道の両側には、飲食店、カラオケ、インターネット、ビリヤード、学生アパート等がひしめく学生街が広がっています。オートバイが行きかう道は、狭いうえに、片側に幅3メートルほどの堀が流れていました。この堀にコンクリートの蓋が被せられ、道路拡張の最中でした。

 私の住む大学ゲストハウスは、正門から大学本部に至るバス通りに面した、キャンパス内の塀に囲まれた小区画内にあります。同じ区画には、緑陰にも席を設けたカフェと、頭上に密に垂れ下がる植物の気根を屋根代わりにした軽食喫茶店と、練炭七輪を9つ並べた大食堂のグリーンフア(Green HUA)と、テニスコートが2面ありました。

 野外軽食喫茶店には、毎朝多くの人が来て、フォーというベトナムうどんを食べていましたが、この敷地が潰され、コンクリートで固められ、野外にも席のあるプロパンガスを使うレストランに変わっていました。ハノイ市中に本店のあるレストランだそうです。隣のグリーンフアは、昼食や夕食、そして山大関係者が来た折にも良く用いたのですが、客足が遠のいたので、12月半ばに閉店し、昨年の暮れに初孫を生んだ長男の嫁の実家のある田舎町に移り、また食堂を開くと、店を切り盛りしている奥さんが話していました。

 11番系統のバスに乗ると、私や妻は、何時でも席を譲られます。座っている乗客が私たちに気づかないと、立っている他の乗客や車掌が声を掛けて、直ぐに席を空けてくれます。先日、朝6時過ぎにバスに乗りました。ハノイ農業大学の1時間目の授業は6時45分に始まります。ハノイ市中に戻って行くバスにも通勤客が一杯乗っていましたが、即座に席を譲られました。途中でバスは臨時停車し、バスの外に飛び出していった車掌が、運転手のために、飲食店からコップになみなみと注いだお茶を買って戻って来ました。

 週末に、乗客のまばらな郊外乗合バスに乗りました。交差点で一時停車したときに、車掌がドアを開け、歩道に3mほどの長さのサトウキビを並べて売っている男に声を掛けました。男は車掌に駆け寄り、ビニール袋に入った、皮を剥いた輪切りのサトウキビを手渡しました。車掌は代金を払い、それを、別のビニール袋に小分けに入れ直し、運転手と私達周囲の乗客に、食い粕入れの袋と一緒に勧めてくれました。車掌は皆、男性です。

大学正門を出る11番系統のバスの画像
大学正門を出る11番系統のバス

学生達が行きつけのカラオケ店の前の、道路の左側の堀にコンクリートの蓋が被せられたの画像
学生達が行きつけのカラオケ店の前の、道路の左側の堀にコンクリートの蓋が被せられた