ホーム > 研究 > 注目の研究 > 農学 > メタボローム育種を利用した疾患予防
掲載日:2023.10.02
多くの植物の地上部に含まれるシュウ酸は、ヒトや家畜においてカルシウムや鉄、亜鉛などのミネラル不足や腎結石を引き起こす原因物質です。近年、ミネラル不足や腎結石の患者が増加しており、ホウレンソウなど作物に含まれるシュウ酸含有量の低減は喫緊の重要課題となっています。しかしながら、植物におけるシュウ酸合成経路には不明点が多く、なぜ、どのようにシュウ酸が蓄積するのか、未だに良く分かっていません。
そこで、私は、質量分析装置を用いたメタボローム解析(代謝物の一斉解析)を主軸として、イネやエゾノギシギシなどの葉を材料にシュウ酸合成経路の解明を目指しています。また、シュウ酸を低減させた作物を育成することにより、味や機能性成分に関わるような他の代謝物の含有量を制御し、作物の品質向上やブランディング、ひいてはヒトや家畜の疾患予防に役立てたいと考えています。