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生き物がもつ”光を集めるアンテナ”の研究

掲載日:2022.12.01

准教授 河合寿子(光合成生物学

  光合成生物がいるところに動物あり。太陽光エネルギーをもとに光合成を行い、有機物を合成することができる光合成生物は、生態系の根幹に位置している。砂漠や南極の氷上のように遮るものが無く直接光が当たる場所から、水深が増すほど光の量や質(波長)が限られる海の中まで、地球表面の多様な環境に生育し、その場所の生態系を支えているのだ。
  光合成生物は、光合成反応に必要な光エネルギーを集めるためにタンパク質と色素からなる独自の集光アンテナを備えている。地球表面の環境はこんなにも多様であるから、求められるアンテナも多様である。私は、多様な光合成生物が持つ様々な集光アンテナタンパク質に魅せられ、研究を続けてきた。古くから植物の光化学系Iは4分子からなる小型アンテナを持つことが知られていたが、私は緑藻が10分子からなる大型のアンテナを利用することを明らかにした。この研究を通して、太陽の光が直接降り注ぐ陸上に生息する植物と比較して、光が限られる水中に生息する緑藻はより積極的に光を集める仕組みを持っていることが示されたのだ。この他に、サンゴに共生する褐虫藻のアンテナについての研究なども行ってきた。これからも人生も、光合成生物が進化する過程で最適化してきた“光を集める巧妙な仕組み”について、光合成生物に教えてもらおうと計画している。

光合成タンパク質の精製(10℃の部屋)の画像
光合成タンパク質の精製(10℃の部屋)

光合成生物の培養の画像
光合成生物の培養

光合成タンパク質のオープンカラム精製の画像
光合成タンパク質のオープンカラム精製

密度勾配遠心法による光合成タンパク質複合体の分離の画像
密度勾配遠心法による光合成タンパク質複合体の分離

密度勾配遠心法による光合成タンパク質複合体の分離の画像
密度勾配遠心法による光合成タンパク質複合体の分離

光合成生物の培養の画像
光合成生物の培養

光合成生物の観察の画像
光合成生物の観察

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