わたしたちは,人・社会・自然などさまざまな対象とかかわりながら,自分の今もっている道徳的価値に基づき生活している。それだけに,道徳性を豊かにすることが,人・社会・自然などとかかわりながら,よりよい生活をつくっていくことにつながっていくものと考える。
こうしたことから,子どもが道徳を通して自ら学びをもとめ続けるということは,自分の内面にある道徳的価値を見つめ直したり,それをもとにこうありたいと思う自分について考えたりしていくことで,より豊かな自己を形成していくことであると考える。そこで,本校の道徳で目指す子どもの姿を次のように設定した。
| 心に感じたことをもとに自分を見つめ,よりよい自分をもとめていく子ども |
2 道徳を通して豊かな自己形成に向かっていることを実感するとは
子どもが,心に感じたことをもとに自分を見つめ,よりよい自分をもとめていくためには,次のようなことに対して豊かになってきている自己を実感することが必要であると考える。
(1) 自分の中にある道徳的価値を見直す中で,他者と深くかかわりあうこと
自分の中にある道徳的価値を見直す中で,他者と深くかかわりあうこととは,自分の中にそれまでもっていた道徳的な価値をふり返ったり,新たな価値に出合ったりしながら,他者の考えや思いに触れたり,自分の考えや思いと他者の考えや思いを交流したりして,他者を理解しようとすることである。他の人との心の交流を深め,人間愛の精神に支えられることによって,人は力強く生きることができる。子どもは,道徳の学習を通して,自分の道徳的価値をさらに強めたり,自分の道徳的価値を新たな道徳的価値に転換したりしながら,仲間や教師という他者との心の交流を深め,その思いや考えを理解しようとしていく。
(2) 自分の中にある道徳的価値を見直す中で,自然や崇高なもの,集団や社会と深くかかわりあうこと
自分の中にある道徳的価値を見直す中で,自然や崇高なもの,集団や社会と深くかかわりあうこととは,自分の中にそれまでもっていた道徳的な価値をふり返ったり,新たな価値に出合ったりしながら,自然や崇高なものと触れあったり,さまざまな社会集団とかかわりあったりして,それらのよさや大切さに気づき,それらとよりよくかかわろうとすることである。子どもは自然との触れあいによって,豊かな心を形成し,生命あるものすべてをかけがえのないものとして感じ,大切にしようとする思いをもち,崇高なものとのかかわりを通して,人間としての在り方や生き方の自覚を一層深めていく。また,子どもはさまざまな社会集団とのかかわりの中で価値観を形成し,積極的にかかわることによってそれらに愛着をもち,自己の役割や責任を自覚してともに成長を図ろうとする。
(3) 自分の中にある道徳的価値を見つめ,自分のよりよい生き方について考えていくこと
自分の中にある道徳的価値を見つめ,自分のよりよい生き方について考えていくこととは,これまでの経験やかかわりの中で育まれてきた自分の中のよりよく生きていこうとする思いをとらえながら,「自分はこうありたい」「こんな自分になっていきたい」との願いをもち,未来の自分にあこがれをもつことである。子どもは,自分の中の道徳的価値を見つめ,「なりたい自分」を思い描くことができたとき,その実現に向けて動き出そうとする。そのことが,生活の中でよりよい自分をもとめていくことにつながっていく。