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わたしたちの取り組み2022

1 わたしたちが目指していること
 わたしたちは、これまで「自ら問題解決を進める子ども」は、子どもが事象との関係の中で思いや願いをもち、問題を解決することを繰り返していくことで実現されることだと考え、実践に取り組んできた。そんな中、世界を揺るがしたのが新型コロナウイルス感染症である。「予測が困難な時代」がやってくると言われてきたが、今、まさに毎日が予測困難になっている。そのような中でも、目の前にいる子どもたちは、よりよい自分に向かって前向きに歩み続けてきた。感染者の増加に伴って活動が厳しく制限される中、子どもたちは、学校生活の全ての場面で、「今、何ができるのか」「どうすればできるのか」と考え続け、思いや願いの実現に向けて問題解決を進めてきた。
 わたしたちが望んでいるのは、子どもが自ら問題解決を進めていくことができるようになることである。子どもが事象と出合った時に、自身の思いや願いによってさまざまな見方・考え方を働かせて事象に関わり、問題解決を進める子どもを育てたい。そのような子どもが、持続可能な社会の創り手としてこれからの時代を豊かに生きていくことになると考えている。そこで、わたしたちは、次の研究主題を掲げる。
自ら問題解決を進める子ども
この研究主題のもと、自ら問題解決を進める子どもに必要な資質・能力を明確にし、子どもがそれらの資質・能力を育むことができるカリキュラムを計画・実施していく。そして、迫ることができたのかを評価することで、子どもが問題解決を進めることができるカリキュラムを更新し続けることが大切だと考えている。これは、子どもの学びの姿を洞察し、働きかけることを大切にしてきた本校だからこそできることであると考えている。
2 わたしたちの取り組み2022で大切にしたいこと
 子どもが問題解決を進める中で、資質・能力を育んでいくためにも、わたしたちはより一層子どもの洞察にもとづいた働きかけが重要になってくると考えている。子どもの問題解決を支えるための働きかけとして、今年度は、以下の4点を意識して取り組みを進めていきたい。
(1)育みたい資質・能力を明らかにする
 わたしたちは、学校教育目標「『太陽の子』本質を見極める」「『北国の子』強い意志をもつ」「『日本の子』高い価値を目指す」が目指す資質・能力を、これまでの実践で見てきた子どもたちの姿をもとに、知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性の3つの柱に即して系統表に整理した。(下記資料)今年度は、この系統表で示す資質・能力を育むための実践を重ねていく。一つの単元を構成していく中でも、その教科内容に応じて子どもに育むことができる資質・能力が、学校教育目標で示す汎用性をもった資質・能力の育成にどのようにつながるのかを考えていく。
(2)各教科等の見方・考え方をどのように働かせて(鍛えて)いくのか、各教科・領域毎に考える
 2021年度の取り組みでは、単元において働かせたい見方・考え方を明確にもち、子どもの歩みに合わせた単元を構成することに取り組んだ。その取り組みから、次のような成果が出された。成果の一点目は、単元や領域の見方・考え方は何かを検討し、実践を行ったことで、目指す子どもの姿に迫ることができ、子どもたちが教科を越えて、その見方・考え方を働かせている姿を見取ることができたことである。二点目は、教師の教科内容研究から子どもが働かせる見方・考え方を予測することで、子どもの学ぶ姿をよりていねいに洞察できるようになったということである。
 一方で、課題として次のことが挙げられた。各教科等によって、見方・考え方の階層が違うように感じられ、それは各教科等の特性なのか、それとも各教科等で同じように言い抜くことができるのか検討が必要であるということである。
 これらの成果と課題を受けて、2022年度は、引き続き、子どもが見方・考え方をどのように働かせながら問題解決を進めていくのかを、具体的な子どもの姿から捉えていく。そのためには、教師が「その単元や領域で子どもが見方・考え方をどのように働かせるのか」を予測し、子どもの歩みに合わせて単元を構成していく必要がある。このように見方・考え方を考えるときには、一つの単元、学習内容からだけ迫るのではなく、各教科等を学ぶ意義から迫ることや、学習内容における系統から迫ること等に取り組みたい。このようにして、子どもが見方・考え方を働かせ鍛えていくことができる単元をつくる取り組みが、ゆくゆくは、子どもが学習や生活の場面において見方・考え方を自在に働かせて自ら問題解決を進める姿となって表れていくことになると考えている。
(3)見方・考え方を働かせ、資質・能力を育むカリキュラム・マネジメントを行う
 わたしたちは、「どのような子どもを育てたいのか」「育てたい子どもに迫るために、各教科等で何を担う必要があるか」「そのためには、どのように見方・考え方を働かせながら学んでいくか」を常に意識しながら、それらが一体となって十分に機能しているのかを、目の前の子どもの姿で確かめていくことが大切であると考えている。この考えに基づき、本校では、「学年・学級カリキュラム」をつくり、実践してきた。子どもの育ちを支えるこの取り組みをより一層進めるためにも、学校として明確にした資質・能力の育成に向けたカリキュラム・マネジメントの充実を図りたい。
 本学では、現在、「“郷土YAMAGATA”を基盤にした『グローバル シティズンシップ教育』」の推進を掲げ、郷土愛を基盤にSDGs(持続可能な開発目標)を踏まえた教育の創造を目指している。わたしたちは、子どもたちに、これからの持続可能な社会を創っていく存在となることを期待している。子どもたちが、社会の問題に目を向け、それを解決していくためには、各教科等の学びで働かせ鍛えてきた見方・考え方を活用していくことが大切である。加えて、特定の教科等の視点だけでは捉えきれない広範な事象を多様な角度から俯瞰して捉え、課題の探究を通して自己の生き方を問い続ける総合的な学習の時間特有の探究的な見方・考え方や、身近な人々、社会及び自然を自分との関わりで捉えよりよい生活を目指す生活科の生活に関わる見方・考え方を働かせていくことが必要になると考えている。
 そのためにも、子どもが、身近な生活に目を向け、実社会や実生活の中から課題を見付け、その解決に向けて問題解決を進める総合的な学習の時間(本校ではタイム)や生活科の充実を図ることが大切だと考えている。本校は、教科の専門性を高めるために教科部をもっている。この専門性を生かし、これまで以上に各教科の学びと総合的な学習の時間、生活科の学びの関わりを意識したカリキュラム・マネジメントを実施していきたい。
(4)子どもの問題解決の歩みを支えるGIGAスクールの取り組みを推進する
 GIGAスクールの実現に向けた取り組みによって、子どもは、これまでよりもダイレクトに情報にアクセスし、自ら問題解決を進めることができるようになった。子どもが問題解決を進める際の手段が大きく変わろうとしている。
 本校では、「山形大学附属学校園『GIGAスクール構想』基本計画」で、ICTを含むさまざまなツールを駆使した探究的な学びと一人一台のタブレット及び一体型のICT機器で広がる多様な学びの実現を目指している。この計画に基づき、昨年度は全ての子どもに一台ずつ端末が整備され、指導者がさまざまな活用方法を考え、日々実践に取り組んできた。今年度は、一斉学習、個別学習、協働学習でのより一層の活用と、研究会等でICT機器を活用した授業を提案することに力を入れていきたい。子どもがよりよい問題解決の歩みを進めるためのツールとしてICT機器を活用できるよう、わたしたちの働きかけを吟味していきたい。
資質・能力系統表
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