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平成28年度新入生に対する告示

 本日、山形大学に入学された2,337名のみなさん、入学おめでとうございます。みなさんは今日から我々の仲間です。我々山形大学教職員一同は、みなさんとともに、この山形大学で過ごせることを嬉しく思っています。

 みなさんは、入学試験という難関を乗り越え、多くの入学希望者の中から、選ばれた人です。山形大学の学生であることに自信と誇りを持ち、山形の地で、おおいに学業に励んでください。

 ご列席のご家族のみなさん、新入生をこれまで支え、励ましてこられたことに、深く敬意を表します。今日のこの良き日を迎えられたこと、心からお祝いを申し上げます。

 私自身も、48年前に、新入生のみなさんと同じように、この山形大学に入学しました。当時の工学部は電気、機械、化学、繊維の4つを第1志望から第4志望まで選べることになっていました。私は、第1志望から第3志望は不合格で、第4志望の繊維に合格しました。入学できたことの安堵感はあったものの、第4志望の入学ということで、強いコンプレックスがありました。教室においても気後れしていました。しかし、学年が進むにしたがって、授業に夢中になり、大学を卒業するころには、コンプレックスはすっかりなくなっていました。

 さて、皆さんがこれから学ぶ山形大学について紹介いたします。

 山形大学は、明治11年、山形県師範学校の創立が出発点です。現在では、学生9000名、教職員3000名の規模の総合大学です。山形大学の使命として、「地域創生」、「次世代形成」、「多文化共生」の3つを掲げています。その使命を基盤として、学問に励み、自分自身を磨く同志が集う場所であります。

 卒業生は10万人を超え、企業人、公務員、医療人、教育者など、広く社会で活躍しています。そのなかには、ブリヂストンの西海社長やファミリマートの上田会長、アキレスの伊藤社長など、世界をリードする経営者もいます。小説家の藤沢周平さんや、漫画家の冨樫義博さんも山形大学で学んでいました。

 長い歴史と伝統を誇る山形大学ですが、6学部はそれぞれの地域と密着した形で創立されています。
 その例として、みなさんが4月から学ぶ小白川キャンパスの成り立ちを紹介いたします。
 大正9年に山形高等学校の設立が決まりました。土地、建物、設備などの経費を山形県と山形市で予算化したのですが、必要な経費には届かず、県内の資産家に寄付をお願いしました。しかし、それでもなお、資金が足りず、残りの必要なお金を県民特別税としました。この県民特別税は、県内に住む各世帯が収めてくれたものです。まさに、学校設立はすべての県民の悲願だったのです。山形県民の支援がなければ、今の小白川キャンパスは存在していません。この地域の人々の山形大学に対する想いを、頭の片隅において、しっかり学んでください。

 さて、学部に入学されたみなさんは今日から大学生となります。大学生としての学びについて2つ申し上げます。

  1つ目は、「生徒から学生へ」、ということです。みなさんは、これまでは、生徒として、先生から教えを受けていました。ところが、大学では大きく異なります。学生として、自ら、学ぶ科目、あるいは分野を選び、自分自身で学ぶのです。
 授業を受ける際に心がけて欲しいことがあります。授業で教員と向き合うときには、対等な立場の意識を持って下さい。教員の話を聞いて、その考えに賛同すれば頷いて下さい。教員の話に感動すれば拍手をして下さい。みなさんとの共鳴感があればすばらしい授業となるでしょう。山形大学の教員は、世界でも有数の研究者ばかりです。しかし、教育においては、常に悩み苦労を重ねながら、授業に立ち向かっているのです。授業をより良いものとするには、みなさんとの共同作業が必須です。

  2つ目は、「広い分野から狭い分野へ」であります。高校までは、多くの分野をバランス良く学ぶことが中心でした。勉強の分野をベクトルに例えると、みなさんは全ての方向にベクトルを伸ばしてきています。これまで、みなさんは知識量を球の形を保ったまま大きくしてきています。
 それに対し、大学の学びは様々でありますが、1つの例を挙げますと、大学ではきわめて狭い分野を学ぶことであります。特に、ゼミや研究室では世界中で自分しかやっていないことを学びます。極論すると、自分で決めた1つのベクトルの方向を学ぶことになります。球状の知識の上に、新たに、狭くて高い、針のような知識を築きあげることになります。
 1つの分野を完成したら、地球の上にそびえ立つ富士山のように裾野を大きく広げていくことが大切です。
これらの分野の選択と学び、そして裾野を広げる手法を身につけるには、みなさんが最初に学ぶ基盤教育が重要なものとなります。

 さて、大学院に入学されたみなさんにとって、今日は、研究者としてのスタートの日となります。狭い分野をさらに深く探求し専門性を高めることが必要です。その際に重要なことがらは、広く国内外の研究者との切磋琢磨であります。特に、世界の研究者との交流を通して、自分の研究のレベルを高めるとともに、世界の中での自分の研究の位置づけも行ってください。また、大学院生は、とかく狭い専門に集中するが故に、社会との関係を見落としがちです。社会のなかで多くの人とかかわりを持ちながら、人間として生き抜くための基盤として、社会人力あるいは人間力をさらに向上させることが必要です。

 ところで、今、日本は、少子高齢化と人口減少など様々な課題に直面しています。これらの課題解決には、みなさんのような若い世代の力が必要です。その一つの現れが、選挙権年齢の引下げであります。
 みなさんの多くは、今年の参議院選挙から選挙権を持つことになります。みなさんの意志で、この地方を、そして日本の国をより良く変えていくために、貴重な一票を投じましょう。

 いよいよ、みなさんの大学生活が始まります。みなさんのスタイルで、大学生活を設計し、心から楽しみましょう。
 山形大学で、何を学び、何を感じ、誰と出会うかによって、みなさんの人生は大きく変わっていきます。どうか、みなさんの目線を、前へ、外へ、上へ、向けて下さい。
 みなさんの、山形大学での学生生活が、真に豊かで、充実したものとなることを心から祈念しまして、私の歓迎の言葉といたします。
  

平成28年4月5日 山形大学長 小山清人