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校長室だより

令和5年度 卒業証書授与式(校長式辞)

やわらかな日差しが、春の訪れを感じさせる今日のよき日に、PTA会長 長谷川吉之介様、同窓会長 和田宏司様をはじめとするご来賓の皆様のご臨席を賜り、令和5年度の卒業証書授与式を挙行できますことに、心より厚く感謝申し上げます。
 さて、卒業証書を手にした「とちのき学年」97名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、保護者の皆様におかれましては、たくましく成長したお子様の姿に、喜びもひとしおのことと思います。

今日は、卒業という節目に際し、「変化はチャンス」ということについてお話しします。中学校への進学にあたり、皆さんは「不安」と「楽しみ」が入り混じった気持ちだと思います。今は、不安と楽しみ、どちらの気持ちが大きいですか?不安のほうが大きい人は、新しいことに対して「自分にはできるだろうか」と考えてしまい、知らずにブレーキをかけてしまうタイプです。一方で、楽しみが大きい人は、できるかどうかよりも「どうやったらできるだろうか」と考え、前へ進もうとするタイプです。こうした心の違いは、楽しく中学校生活を送れるかどうかということだけでなく、将来、自分が大きく成長できるかどうかにもかかわる大事な問題でもあります。もし、変化を恐がって前に進もうとしなければ、自分が成長する機会をなくしてしまうことになります。では、変化することに不安が大きいタイプの人は、どうすれば自分を変えることができるのでしょうか。
 そのヒントが、皆さんが初めて取り組んだ「みのりの時間」にあります。これは、ふだんのみのり班活動とは違い、遊びの中の学びに着目した新たなチャレンジでした。班の仲間と相談して考えたスライムづくりや空気砲づくり、ホットケーキづくりやアイスクリームづくり、ボッチャや風船バレーなどの楽しい企画の数々。それらを実施するために、班長である皆さんは、率先して準備を進めました。なかには、家庭で何度も試作を繰り返した人もいましたね。計画した通りに実現できるかどうか、ドキドキした人もいたことでしょう。新しいことを始めるときは、緊張や不安で誰でもドキドキしますが、「こうすればうまくできるかもしれない」「あの人と力を合わせればうまくいくかもしれない」と少しだけ前向きに考えると、ちょっとずつ楽しい気持ちになってきます。そして、いつの間にかワクワクした気持ちとなって「もっとこうしたい」「あんなふうにしたい」と新しいことにチャレンジしたくなります。みのりの時間での皆さんの様子は、まさにドキドキをワクワクに変え成長している姿でした。
 これから中学校という新たな世界に向かって歩み始める皆さん、環境が変化するときこそ大きなチャンスです。決して変化を恐れず、変化を楽しんでください。小さな勇気で一歩を踏み出し、ワクワクしながら前へ進めば、きっと夢中になれる楽しいことが見つかります。どうか、自分がもつ可能性を信じ、やりたいことを夢中になって思いきり楽しんでください。

保護者の皆様、本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。小学校生活の多くは、コロナ禍による制約を余儀なくされましたが、厳しい環境にも負けず、たくましく歩んできました。今、子どもたちは独り立ちの準備の真っただ中にあります。心と身体の著しい成長を遂げる楽しみな時期であると同時に、心を悩ませる時期でもあろうかと思います。どうぞ、どのようなときもお子様との対話を大切にされ、温かく支えていただきたいと思います。これまで、本校の教育活動にご理解とご協力をいただきましたことに、心より御礼申し上げます。

卒業生の皆さん、いよいよお別れのときです。
「とちのき」の花言葉「博愛」のように、ひろく人を愛し、いつか誰かを支えるために、いつか誰かを守れるように力強く歩んでいってください。
 巣立ちゆく皆さんの前途に幸多からんことを祈念し、式辞といたします。

令和6年3月19日 山形大学附属小学校 校長 林 敏幸