
校長室だより
全校朝会①オンライン講話①
令和6年5月9日 校長 武田 重泰
みなさん、おはようございます。今日は、オンデマンドで皆さんにお話をしますので、モニターに注目してください。
まずは、この左右のイラストを見比べてください。※図1を提示(2枚のイラスト)。皆さんだったら、左と右どちらの窓の状態が好ましいと思いますか。指を指してみてください。【間を空ける】
そうですよね。これは、ほとんどの人が左の窓の状態の方が好ましいと判断すると思います。
さて、ここで一つキーワードを出します。
※図2を提示→「割れ窓理論」「われまどりろん」と読みます。「理論」という難しい言葉が出てきましたが、これは、言い換えると、「考え方」という意味です。
「割れ窓理論」とは、1枚の割られた窓ガラスをそのままにしていると、さらに割られる窓ガラスが増え、いずれ街全体が荒れ果ててしてしまうという、アメリカ合衆国のある学者が提唱した考え方のことです。
かつて、危険で住みにくいと言われたニューヨーク市で、当時の市長さんが、この「割れ窓理論」を活用し、割れ窓の修理や落書きの防止などで街の環境を整えたところ、次第にニューヨーク市民の意識がよい方向に変わり、住み心地のよい街になったと言われています。これは、環境が人の意識を変えることを意味しています。つまり、よい環境は人の意識を高め、悪い環境は人の意識を低くさせるということになります。
さて、アメリカ合衆国だけでなく、ここ日本にも、似た考え方を表す言葉があります。それは、※図3を提示→「残り姿」です。「残り姿」というのは、※図4を提示(「残り姿」の意味)「終わったあとの姿、みんなが去ったあとの姿」のこと、特に「心が表れた気持ちのよい姿」のことを意味します。実は、この「残り姿」を示すことは、日頃から、皆さんがこの言葉を知らなかったとしても、意識的にまたは無意識的にもよく行っていることなのです。
昨日、何枚か写真を撮ってきましたので、皆さんが行っている「残り姿」の一部を確かめてみましょう。※図5~図13を提示(スナップ写真)しながら説明する。
まずは、①昇降口の下駄箱、これは、6年2組3組の下駄箱です。6年2組3組の皆さんの心が表れた気持ちのよい姿です。次は、②昇降口にあるチラシコーナーです。チラシって、風で吹き飛び易いのに、しっかり重ねてあります。一体、誰の心が表れた気持ちのよい姿なのでしょう。次は、③東中央階段横にあるぞうきんがけ、④図書室前にあるぞうきんがけ、⑤中庭のスコップ、⑥第2音楽室の椅子、そして⑦譜面台、⑧1年生教室前廊下にある掲示物。⑨そして、図工室の机椅子。今見た写真は、全体の中のほんの一部ですが、どの「残り姿」にも、その場にかかわった最後の人の心が表れ、その後に来た人が気持ちのよさを感じることができます。
そして、最後にぜひ紹介したい学級があります。それは、3年1組です。①この写真は、3年1組教室です。机いすが気持ちよく揃えてあります。また、机の上に何も載っていません。さて、この写真にある、3年1組の皆さんの「残り姿」のすごさがわかりますか。1枚の資料を出します。※図14を提示(時間割)→そう、この写真は、帰りの会が終わってから放課後に撮影したものではなく、4時間目に撮影したものなのです。ということは、3年1組の皆さんは、3校時の算数の授業が終わった後に、教室をこのような状態に整え、それから体育の学習をするため体育館へ移動しているのです。学校生活の途中途中で、このように教室環境を整えるのは、相当に意識していないとできないことなのです。でも、もしかしたら、これまで意識し続けたことで、やって当たり前の状態になっているのかもしれませんね。
気持ちのよさを感じたのは、机椅子ばかりではありませんでした。例えば、※図15~図19を提示(3年1組教室スナップ写真)①教室後ろの棚に並べられた絵の具道具、そして、フックに揃えてかけられた布袋、ロッカーに向きを揃え大事に入れられたランドセル、③棚の上に、どの班のものか、そして、発芽の経過が一目でわかるように置かれた実験装置、④黒板を見ると、名前磁石が左側、他の磁石が右側に並べられ、チョークや黒板消しが使いやすい位置、使いやすい向きに置いてありました。誰一人いない教室でしたが、そこに身を置いた私には、3年1組の皆さんの心が表れた気持ちのよさを感じることができました。
最後になります。これまでお話をしてきたとおり、環境は、人の意識を変えます。これまで以上に、全校の皆さんと先生方とで、「残り姿」を大切にすることでよりよい環境を整え、より意識を高くして学校生活を送っていけるようにしましょう。そうすることが、「今の自分の世界、今の自分の枠を広げることで、心を動かす」、つまり、「ドキドキわくわく」する取り組みの一つになっていくのです。
以上で、お話を終わります。