写真

校長室だより

全校朝会②オンライン講話
~弦楽部・合唱部の皆さんの取り組みから学ぶ~

令和6年9月12日 校長 武田 重泰

全校の皆さん、おはようございます。今回は、日頃から熱心に活動をしている弦楽部・合唱部の皆さんの取り組みについてお話をします。お話のタイトルは、「弦楽部・合唱部の皆さんの取り組みから学ぶ」です。
 まず、それぞれの部の概要について確認をしましょう。一覧表を見てください。現在の部員数は、弦楽部が計71名、合唱部が計56名です。それぞれに担当の先生が3名ずついます。通常時の活動日時は共通していて、一覧表にあるとおり、水曜日の15:10~16:30、木曜日と金曜日の16:00~16:30となっています。ただ、実際には、それらの曜日に様々な行事や先生方の会議が入っていることも多く、週1回の活動に留まる週も多々あるそうです。
 私は、今年度5年ぶりに附属小へ戻ったので、始業式や入学式、創立記念式、夏休みに開催されたNHK全国音楽コンクールなど、様々な機会にそれぞれの部の演奏を聴きました。すると、どちらの部の演奏も、そして、いつの演奏であっても、「なんてきれいな音色なのだろう、もうしばらくの間、聴いていたい。」と思うほど、質の高い演奏だったのです。いつもあまりにも心が動いたので、先日、勤務年数の長い先生に、「毎年、このぐらい上手なのですか?」と尋ねてみました。私の質問を受けた先生の答えは、「そうですよ。毎年毎回、このぐらい素晴らしい演奏です。」というものでした。そこで、私は、たいへん驚きました。
 なぜ私が驚いたのか。その理由を折れ線グラフで表現しましたので、見てください。【折れ線グラフを提示】青い線は、どれぐらい心が動いたか。赤い線は、1週間当たりの活動時間の量です。何に驚いたか見当がつきますか。(間を空ける)
 これら二つの折れ線の関係性を見たときに、気づいた人も多いのではないかと思います。私が驚いた理由は、近年、それぞれの部の1週間当たりの活動時間が減っているのにもかかわらず、演奏を聴く人の心が動くくらい、質をしっかり保っているということです。これは、一体どういうことなのでしょうか。とても不思議に感じたので、それぞれの部の部長さんに話を聞き、その要旨を再度一覧表にまとめてみました。①現在の目標、②活動の際の工夫、③やりがい の3つのことについて質問しました。質問に対しての回答から、何かしらのヒミツが見えてくるのでしょうか。

◆まず、現在の目標について。

≪弦楽部≫弦楽器の扱いはとても難しく、いい加減に扱ってしまうと、楽器が壊れたり、変な音が出て他の人に迷惑をかけたりしてしまいます。だから、全員が正しく丁寧に楽器を扱うようにしています。演奏している最中には、聞き手の表情が笑顔になっているか確認をしています。演奏で大事なことをしっかり踏まえたり、聞き手の反応を感じたりすることで、演奏自体が楽しくなります。
 ≪合唱部≫もちろん大会に出場する経験も楽しいけれど、一番は、歌を歌うことを通して、前向きさなど人として大事なことを自分たちの手でレベルアップさせられることが楽しいです。

◆次に、活動の際の工夫について。

≪弦楽部≫パート練習の際には、パートリーダーを中心に自分たちの判断で練習を進めています。演奏のポイントがあるので、そのポイントを部活中にも自宅でも重点的にくり返し練習しています。
 ≪合唱部≫自分たちの課題を自覚し、その課題を解決するために自宅でも練習に取り組んでいます。

◆最後に、やりがいについて。

≪弦楽部≫演奏すること自体が楽しいです。聞き手の表情を見るとうれしくなります。
 ≪合唱部≫演奏すること自体が楽しいです。部員全員で笑顔になれます。聞き手の反応があると達成感があります。

さて、全校のみなさんは、弦楽部と合唱部の皆さんが、短い活動時間しかないにもかかわらず、演奏の質を落とすことなく、高い状態を維持しているヒミツ、いや秘訣をもっていることに気づくことができましたか。私は、実はたくさんの秘訣があると思いましたが、特に次の2つのことが大事だと思いました。
 その一つは、「制限された状況をできない理由にせず、創意工夫し力を尽くす」ということ、もう一つは、「演奏する上で必要な技量にこだわり身につけること自体を演奏の楽しさととらえていること」です。
 このような何とも頼もしい弦楽部と合唱部ですが、両部は、これまでにない初の取り組みにも挑戦する予定です。それは、10月16日(水)に松波地区にお住いの方々をお招きし、スクールコンサートを開催することです。その予定を聞いただけで、当日、地域の方々が両部の演奏を笑顔で聞いてくださる様子が思い浮かんできます。
 制限された状況をできない理由にせず、創意工夫し力を尽くし、かつ、演奏する上で必要な技量にこだわり身につけること自体を演奏の楽しさととらえて活動してきた姿勢が、新たな世界を切り拓こうとしています。両部の皆さんには、演奏の素晴らしさだけでなく、物事への向き合い方をも学ぶことができています。ありがとう。
 最後に、合唱部の皆さんは、10月15日(日)、宮城県名取市で開催されるNHK全国音楽コンクール東北地区大会へ出場します。皆さんの美しい演奏を東北の方々に披露してきてください。
 以上でお話を終わります。